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その後
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事件後、ローラは近衛兵に連れられて会場から姿を消した。
第一王子を殺したとあって、「死刑」を求める声が出たが、裁判官も人だった。情状酌量の余地あり、と終身刑で片がついた。
そして、ローラの証言が正しいのか、調べる過程でヨハネスのこれまでの犯罪の経歴が発覚、さらにそれら全てを国王が揉み消してきたことも白日の元に晒された。
ヨハネスが行った犯罪の中で特に酷かったのは、その異常性。
資料の記述によると、女を見ると暴力を振るわずにはいられなくなるという精神破綻者だったようで、その被害者は200名にも登り、その半数が死亡していた。
しかし表に露見しては王家の恥となってしまうため、ヨハネスが殺した女性達は全て失踪という形で処理されていた。
そして生きていたとしても、王都の中で仕事ができないように、裏で手を回し、邪魔し続け、王都から追い出していた。
なんとか秘匿してきた王家であったが、今回の一件で全てが露呈し、国民からの信用は地に伏し、王族全てが国外追放となった。
その後、その後釜として、パーソン公爵家が次の王家として王国の指揮を任された。
様々な事が一度に起こり、目まぐるしかったが、一応の落ち着きを取り戻したレンドン王国は以前のような生活風景が街の中に戻ってきていて、パーソン公爵家による統治が順調である証拠だった。
そして、私はというと……
「師匠! この前の名推理は、お見事でした! どうかこの私めを弟子に……いいえ、師匠のもとを離れるつもりはないから……そうだ!僕と結婚してください!」
事件後から、毎日のように家へやってきては、求婚されていた。
「それなら入り口の前で、3回回って、ワン!って泣いてみせろ」
と、あしらうのが面倒な私は、一連のやり取りを見て、ヒヤヒヤしている父を見なかった事にして、命令を出す。
「入り口の前ですね」
すると、パーソンは何の躊躇いもなく。
「あ、アン!アン!キャン!」
と、無茶振りにも関わらず、ノリ良くやってくれた。
「こ、これで僕と結婚してくれますか?」
「は?何言ってんの、お前。私は入り口の前で回ってから鳴けとは言ったけど、誰もお前と結婚するなんて言ってないぞ」
「そ、そそそ、そんなああ!!」
私に縋りつき、潤んだ瞳で何かを訴えかけようとしてきたが、そんなものに興味のない私は、
「うるさい。邪魔だ。変態」
と、私はアダムの側に誰もいない……よし、
「ヘブうう!!」
私は、邪魔なアダムを蹴り飛ばした。
第一王子を殺したとあって、「死刑」を求める声が出たが、裁判官も人だった。情状酌量の余地あり、と終身刑で片がついた。
そして、ローラの証言が正しいのか、調べる過程でヨハネスのこれまでの犯罪の経歴が発覚、さらにそれら全てを国王が揉み消してきたことも白日の元に晒された。
ヨハネスが行った犯罪の中で特に酷かったのは、その異常性。
資料の記述によると、女を見ると暴力を振るわずにはいられなくなるという精神破綻者だったようで、その被害者は200名にも登り、その半数が死亡していた。
しかし表に露見しては王家の恥となってしまうため、ヨハネスが殺した女性達は全て失踪という形で処理されていた。
そして生きていたとしても、王都の中で仕事ができないように、裏で手を回し、邪魔し続け、王都から追い出していた。
なんとか秘匿してきた王家であったが、今回の一件で全てが露呈し、国民からの信用は地に伏し、王族全てが国外追放となった。
その後、その後釜として、パーソン公爵家が次の王家として王国の指揮を任された。
様々な事が一度に起こり、目まぐるしかったが、一応の落ち着きを取り戻したレンドン王国は以前のような生活風景が街の中に戻ってきていて、パーソン公爵家による統治が順調である証拠だった。
そして、私はというと……
「師匠! この前の名推理は、お見事でした! どうかこの私めを弟子に……いいえ、師匠のもとを離れるつもりはないから……そうだ!僕と結婚してください!」
事件後から、毎日のように家へやってきては、求婚されていた。
「それなら入り口の前で、3回回って、ワン!って泣いてみせろ」
と、あしらうのが面倒な私は、一連のやり取りを見て、ヒヤヒヤしている父を見なかった事にして、命令を出す。
「入り口の前ですね」
すると、パーソンは何の躊躇いもなく。
「あ、アン!アン!キャン!」
と、無茶振りにも関わらず、ノリ良くやってくれた。
「こ、これで僕と結婚してくれますか?」
「は?何言ってんの、お前。私は入り口の前で回ってから鳴けとは言ったけど、誰もお前と結婚するなんて言ってないぞ」
「そ、そそそ、そんなああ!!」
私に縋りつき、潤んだ瞳で何かを訴えかけようとしてきたが、そんなものに興味のない私は、
「うるさい。邪魔だ。変態」
と、私はアダムの側に誰もいない……よし、
「ヘブうう!!」
私は、邪魔なアダムを蹴り飛ばした。
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