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怖くない怪談
手
しおりを挟む自分で出会した話じゃないので趣旨がズレますが、体験談があまりにも残念なものですから仕事場のひとに「ないですか?」と訊ねてみました。書いていいよと許可はいただいています。
なんでも昔怪談系の活動をしていたことがあるらしくてその頃の話はあるけどなぜか忘れて思い出せないと言いつつ、そういえばと話してくれたのが以下です。仕事場が機械音でうるさいため細部はよく聞き取れなかったこともあり、想像で補っています。
始まりは先輩の引越しだったそうです。
安い物件イコール訳あり物件。そうと知っていても安い家賃というのは魅力的なもので、先輩は既に契約をして引っ越していたそうです。それでもやはり気になるというのは、後悔先に立たずの良い例かもしれません。
先輩に相談された彼は友人のA君に相談を持ちかけました。なぜなら、ままあることですが、A君は霊感が強いタイプだったからです。何かが見えるようならということで、先輩のアパートにお邪魔することになりました。
案内された部屋に入る頃にはA君はすでに挙動不審で、彼やっぱりと思いつつも見えない自分や先輩には実害がないため夕ご飯をご馳走になることになりました。
しかし。
5
窓を背中に先輩が座り、テーブルを挟んで対面する彼とA君。
和やかな食事です。
4
テレビで流れる画像に笑い声すら上がります。
3
「それはないだろう」とか、「お約束だよな」とか。
チラチラとA君は視線を先輩の方へと向けてしまうたびに慌てて顔を背けます。
先輩は気になるようですが、元々おおらかな性格というのもあって特に何も言いません。
2
いいかげんキレそうになったのは彼の方でした。
1
けれどそれより早く、A君が動きました。
先輩に顔を向けたと思うと勢い立ち上がり、何も言わずに部屋を出て行ったのです。
先輩に挨拶もそこそこ彼はA君を追いかけました。
「なんだよお前の態度!」
アパートの外で追いついた彼がA君の肩を掴み、詰ります。
「怖かったんだよ!」
色をなくした顔のまま、A君が彼に叫ぶように答えます。
「何があったんだよ」
彼には分かりません。けれど、A君の表情が尋常ではないのだけは分かります。
「手があったんだよ」
ポツポツと説明するA君によれば、彼が先輩の方に視線を向けるたびに彼の背後に人の手だけが見えたのだそうです。それも、
「指がだんだん減ってくんだ」
「?」
「最初は五本だった」
片手だからな。
それから現れるたびに四本三本と減っていって、最後一本になったときにA君は耐えられなくなったと。
「わかるだろう?! カウントダウンしてたんだ。次に顔をあげたとき何が起きるのか怖くてたまらなかったんだ」
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