未来生活

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美沙と秀一と共に雄一は近くの公園に来ていた。どことなく懐かしさを感じる遊具が置かれ幼児向けの遊具も整っている。三人はタイヤが無造作に積み重なってできた少し高い丘のような場所に座った。美沙と秀一は先程の雄一について再び詳しく話を聞こうと試みた。雄一が答えようとするとまた言葉が出てこない。父と母だ。父と母が口止めしてるんだ。雄一は突然怖くなり二人を見ると何かを思い出したように立ち上がると
ごめん行かなきゃ行けな所があるんだ。と雄一は二人に告げた。しかし雄一には行かなきゃ行けない場所がわからない。でも身体が口が脳がそう囁いている。雄一は二人に「またな」と告げると全速力で自転車を「行かなきゃ行けない場所」に急がせた。身体が勝手に目的地へ導いてくれる。その途中に消防車、パトカー、救急車が雄一を追い抜いていくのがわかった。その瞬間雄一の身体は更に目的地へのスピードをあげた。雄一は訳もわからずされるがままに目的地へと連れて行かれた。見慣れた景色。見慣れた庭。「行かなきゃ行けない場所」とはどうやら雄一の家だったようだ。でも何かがおかしい。焦げ臭い。周りの住民がやけに騒いでる。更には消防車が家の前に止まっていて救命活動をしていた。雄一は全てを目にしてしまったのだ。つい先程までの暖かい家庭が消えたのだ。屋根は炎に包まれ至るところから煙が舞い上がり所々で爆破音が鳴り響く。辺りは火の海。とても人が入れる場所ではない。雄一はその場で泣き叫んだ。
母さん!!!!!!
母さん!!!!!地面に大量に流れだす雄一の涙。雄一は叫びまくった。その叫びに答えるかのように炎は更に激しく踊りだす。狂ったように舞い上がる炎。雄一の精神状態は崩壊に近かった。その時一人の消防士が雄一に気づき
「この家の子?危ないから離れて!!!中に誰かいるかい?」消防士の質問に対し雄一は叫んだ
「母さん…母さんがいるんだぁあああああああ」
消防士はそれを聞いて無線を取り出し直ちに救出にとりかかる。雄一は泣き叫ぶしかなかった。その時だった。昼間と同じ現象が再びおこった。
雄一はまた謎の空間に呼び出された。だが一つ昼間とは違う事があった。
暗闇に現れ始める2つの人物。
父と母だ。雄一は驚いた
「父さん!?母さん!?なんでここにいるの!?」二人は答えた。
「父さんと母さん実はもう死んじゃったんだ。雄一をこの空間に呼び出したのも雄一の口止めも全部父さんと母さんがやったんだ。」雄一は不思議に思った。「火事がおきたのってさっきじゃん!どういう事!?」
二人は答えた。「信じられないかもしれないけどこの火事は前にも起きているんだ。この世には2つの世界線というのが存在していて過去と未来に起こる出来事が繰り返されるんだよ。つまりこの火事が起こる前にも同じように火事が起きてるんだ。雄一が今日の朝見た父さんと母さんは過去の父さんと母さんなんだ。この世界線には今の父さんと母さんは最初から存在していないんだ。」

雄一は全く理解できなかった。「どういう事だよ!!!分けわかんねぇよ!」

母は言った。
「落ち着いて雄一。母さんはここにいるよ。
雄一。雄一にはこれから未来に行って貰わなきゃ行けないの…信じられないかもしれないけど未来に行かなきゃならないの」

雄一は言った。
「意味わかんないよ…未来ってなんだよ…父さんと母さんがいない未来なんて望んでないよ…!!!!」

雄一は泣きだした。

父は言った。
「雄一。未来に行くという事は父さんと母さんを助ける事にもなるんだ。雄一が未来に行って別の世界線にいる父さんと母さんを救ってくれ。
大丈夫。雄一なら出来るさ
父さんと母さんは先に未来で待ってるよ。時間がない。早く来てくれよ。
あ そうそう美沙ちゃんも連れておいで
彼女も未来に行かなきゃならないんだ。」

そう雄一に告げると二人は消えた。
雄一は全く理解できなかった。無理もない。突然未来に行けと言われてはいわかったなんて言えるはずがない。 二人が消えると元の場所に戻り火事も消えていた。 雄一は早速美沙に電話をかけた。

美沙「もしもし
雄一君?火事大丈夫だった!?」

雄一は何の前振りもなくこう言った。
「美沙、俺と一緒に未来に行こう。」

~続く~
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