前世って信じる?

キイロ

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(0-2)で、今生での俺の話

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生まれて数年経ったとき、俺は、あの神さまが放った言葉の意味を知った。


「君っ、君可愛いね……っ! お、おじさんのキャンディーた、た、食べてみない?」
「お巡りさ――――んっ!!! 助けて――――っ!!!!」


幼稚園の時、脂ぎった気持ち悪いオヤジに捕まった。視界に掠ったお巡りさんを必死に呼んだが、駆けつけてくれたときには、俺のズボンとパンツはオヤジに浚われてた。命や体は助かったが、怖くて泣いた。超泣いた。


事件はこれだけに終わらない。塾の先生に襲われそうになったり、教育実習生にお持ち帰りされそうになったり、バスで尻を触られたり、着替えが消えたり、色々だ。ホントに色々だ。

共通して言えることは、すべて俺を襲うのは男と言うこと。俺には男ホイホイのオーラだかフェロモンだか出てるのか、これでもかと男しか寄ってこない。なぜ女じゃないんだ! なぜ! 女の子には、「なんか臭う」「傍に居られると寒気がする」とまで言われる。なぜだ、なぜなんだ!


そこでよみがえるのが、あの神さまモドキの言葉である。


 ――――「なんとなんと、可哀想に……。そうだな。今生でのお前の人生を鑑みて、相応しい後生にしてやろう」


可哀想にって! 可哀想にって言ったくせに! それって俺が好き勝手した女たちへの哀れみの台詞だったのか畜生! つまり俺、前世で女を散々な目にあわせたため、今生では女に嫌われ、男に寄りつかれる運命なのだった。笑えない。ぜんぜん笑えない。


しかもなんか、せっかく無事12歳まで処女を守りきったのに、親が勝手に俺の常盤学園への入学を決定した。常盤学園とは、中高大と一貫の男子校で、それなりの知名度と進学率を誇るマンモス校だ。ただし、俺は知っている。巷では、ホモの巣窟だと噂されていることを。

そりゃ健全な男子生徒だもなっ! 思春期にそんな男ばっかりの環境にいたらそうなるよなっ! ただしそんな環境に俺つっこむのやめて! ホントやめて! 俺、残念ながら男ホイホイだから! 死ぬまで処女でいるって決めてるから!

必死で親に頼み込んだが、親は首を振って「NO!」の一言。


「お前は、困れば何でも親が助けてくれると思ってる。周りの友人や環境も、金や地位で周るものだと思ってる。だがな、そんなに人生は甘くない。今のうちに、その腐った性根を叩き直してこい」
「やだパパン、イケメン……っ!」


でもそれ、できれば前世で聞きたかったっ!!!!


こうして無情にも、俺は常盤学園へ入学することと相成った。
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