上 下
55 / 100
第二章

第54話 一夜の勉強会

しおりを挟む
「ラミちゃぁぁぁん!」

 完全にのビー太がド〇えもんに助けを求めるテンションで来てるな……。

「ラミえもぉぉぉん!」
「何!? 何で異世界の文化(?)知ってるの!?」

 相変わらずバグ起こりすぎだろ……。

「テスト勉強しない?」
「あー……」

 この男、学年で上位に食い込んでるくせに普段から物凄く勉強しているという訳ではないのだ。天才め。
 ではなぜ上位に食い込めるのか? その問いに答えるのには一語しか必要としない。そう。

「ラミちゃんの声で答えだかパターンだかを言ってもらえれば絶対覚えれるから!」

 一 夜 漬 け で あ る 。
 個人的に一番やっちゃいけない方法だとは思うが(カンニングなどの不正行為除く)、もう過ぎちゃった時間は仕方ない。ていうか一夜漬けで取れるテストの方が悪いだろ。(責任転嫁)

「で、どの教科?」
「哲学」

 中学生のやる内容ちゃうソレ。
 とも思ったがやってるっちゃあやっているのである。授業はふざけてるけど。(国語のときにチラッとやった程度なので分類的には国語になるらしい)

「どの問題?」
「問一」

 その問題はこんな感じだった↓

『【問一】たかしくんは学校から帰って、日課の1+1=2である証明をしていました。そして、数字と数字で邪な妄想をして股間から白い液体が出ました。
 次の問いに答えなさい。

(1)その後たかしくんの作業は驚くほど進んだそうです。なぜですか』

 答え:賢者になれたから(賢者モードという意味が書かれていれば正解)

 頭おかC。

「確かに森羅万象見通せそうな気分になるよね」
「おい」

 ふむふむと納得し始めたカイルを置いておいて、私はふと次の問題に目を移した。

『(2)数字で邪な妄想をしてしまった兄・たかしくんを見た妹の花子ちゃんはドン引きしてしまいました。なぜですか』

 妹目撃してたァァァ!
 引くのもおかしくないよね……。特殊性癖どころの話じゃないもの…………。
 答えは『人の心は見通せないので回答不可』とのこと。国語教師仕事しろ。いつも不確定要素しかないのに心象訊いてくるじゃねぇか。てかこれ哲学なん?

『(3)たかしくんは北海道にいます。僕の彼女はどこにいますか』

 どうでもいいわ。なんで彼女の所在地訊いてんだ国語のタナカ。

『答え:二次元』

 タナカァァァァァァ!(哲学のプリントはタナカ先生が作っています)

「タナカ先生……43歳の誕生日おめでとう」

 カイルがぼそりと呟いた。
 サチコ・タナカ(43♀)。私は別にいいと思うよ。二次元で……。
しおりを挟む

処理中です...