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第二章

第38話 告白

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「か、カイル……? あなた本当にカイルなの……?」
「失礼じゃない、ラミちゃん? 早く返事聞かせてくれないかな?」

 頬を色づいた紅葉のように赤くさせ、震える声で私に問う。
 え? 嘘でしょ? この狂った世界にこんなラブコメ展開があったの? えっえっえっ?

「あ、いやでもやっぱり早くなくて良いっていうか……いやでも返事は聞かせてほしいわけでっ!」

 かわえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
 かわいいかよカイル。あなたそんなポテンシャルを持ってたのね!? びっくりだわ!

「ラミちゃん?」

 私の目をじっと見つめているカイル。
 どうすりゃええんや。前世から色恋沙汰とは無縁やぞオイ。
 だけどなにかしら返さないといけない。
 あのとき『迎えにくる』と約束した少年が来たときが今なのかもしれない。
 なら私は心のそこから彼を安心させるような言葉を紡ごう。
 どこまでも報われずに変な方向に向かってしまった少年を正すため。
 ヒロインの立場になった悪役令嬢として役目を全うとするため。
 自分の選択肢を自分で決めるために。
 自分の気持ちに正直に。
 家出少年を迎えよう。


「おかえり、


 刹那、私はカイルに抱き締められた。
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