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第九章 玄徳、第二のロマン

決戦!! 闇の魔導組織『クーロン』④

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 翌日の夜。
 俺の手には、三十個ほどの一つ星魔石があった。
 作業着のポケットに全部隠し、地下牢の中で毛布にくるまって魔導文字を彫る。
 作戦の決行は明日……ここがどこかわからんし、サンドローネやヴェルデも動いてはいるだろうが、助けの期待はできない。というかしない。
 
「……見てろよ」

 やるべきことは、人質の安全だ。
 安全確保をしたら、行動開始だ。

「よし、完成……」

 毛布から出ると、ホランドが起きていた。

「なんだ、起きてたのか」
「見張ってたんだよ。一応な」
「そうか。で……明日、準備はできてるか?」
「おう」

 俺はホランドに、完成したばかりの魔石をいくつか渡す。
 
「そいつに魔力を込めれば発動する。一つ星だし、実験では十分もつか持たないかだ。それを小分けにして発動して、作業場を混乱させてくれ」
「わかった。仲間同士で連携し、一時間は稼いでみせる」

 ホランドは、俺に手を差し伸べた。

「責任はお前が被る……なんて言うが、オレにそのつもりはない。罰を受けるなら、オレも一緒だ」
「はは、お前……義理堅い奴だな。ここ出たら酒でも飲もうぜ」
「ああ、楽しみにしている」

 俺は、ホランドと固く握手をした。
 決行は明日……明日、俺はこの組織をぶっ潰す。

 ◇◇◇◇◇◇

 翌日。 
 俺たちは作業場へ連れて行かれ、そのまま作業を開始した。
 周りを見渡すと、見張りは十人ほど。そして、奥のドアから数人入れ替わりで出てきた。
 俺はホランドに視線で合図を送り、ホランドは他の仲間にアイコンタクト。
 俺が頷くと、ホランドは小さい声で言う。

「作戦開始だ」

 ホランドが魔石を指ではじくと、魔石から『白いモヤ』が漂い始めた。

「ん? おい、なんだそれは!!」
「わ、わからん!! なんだかおかしい……」

 すると、他のところからも白いモヤが漂い始める。
 ソノモヤは形となり、作業場内を意思があるように動き出した。

「お、おい……貴様、これは何だ!!」
「し、知らねえ!! あんたらに命じられた通り、魔導文字を彫ったらこうなったんだよ!!」
「チッ……おい、止めろ!!」
「無理だ、止まらねぇ!!」

 白いモヤは数を増やし、周囲を舞う。
 それは人の形となり、動物になり、形をどんどん変えて作業場内を漂っていた。
 当然、周りはパニック。白いモヤが魔道具技師たちに襲い掛かるような動きをすると、魔道具技師たちはテーブルをひっくり返し逃げ惑う。
 見張りたちは剣を抜き、白いモヤに斬りかかるが、物流攻撃はモヤに効かない。
 俺はこの隙に、もう一つの魔石を発動させる。

「お前ら、逃げるな!! おい、応援を呼べ!!」
「魔石を破壊しろ!! ええい、そこを動くな!!」

 俺は、奥のドアから応援が来るのを確認……ドアが開いた瞬間、身体を滑り込ませた。

 ◇◇◇◇◇◇

 ドアの奥は、豪華でもボロでもない、普通の通路だった。
 一本道だ。最奥にドアが見える……が。

「魔石の暴走!?」
「ああ、どっかのバカが妙な魔導文字を発動させやがった!!」

 俺は壁に張り付くように、見張りたちを見送る。

「……ふう。どうやらちゃんと効果あるようだ……って、やべっ」

 魔石が早くも一個割れた。
 同時に、『俺の姿』がスウーッと浮き上がる。

「『透明化』の魔石……一つ星じゃ三分しか持たないか。あと二十個はあるけど、一時間持つかな」

 そして、ドアの向こう。

「まさか、この組織が見つけた魔導文字が『霊』とはな」

 俺は、この組織が見つけた魔導文字が『霊』だと直感でわかった。
 なので、一つ星の魔石に『幽霊』と彫り、魔石を使用すると俺のイメージする幽霊が飛び出すような仕掛けを作ったのだ。まあ……オモチャみたいなモンだ。
 一つ星の魔石だし、モヤみたいなのが浮かぶので精一杯。もっと等級の高い魔石ならはっきりとした幽霊が浮かぶはずなんだろうけど。

「おっと、考えてる場合じゃない。速くユキちゃんたちの安全を確保しないと」

 俺はもう一つ魔石を使って透明化し、奥の通路にあるドアを目指すのだった。

 ◇◇◇◇◇

 ドアをゆっくり開けて中に入り、静かにドアを閉める。

「………お」

 ドアの先は、普通の屋敷の通路に見えた。
 ただ、窓には鉄格子が嵌められ、使用人らしき人たちも通っているがほぼ女性……中年だったり少女だったりと年齢差が激しい。
 恐らく、ここで働いている人たちの妻や子供なんだろう。

(さて、探さないと……おっ)

 魔石に亀裂が入ったので、別の魔石をすかさず発動。
 とはいえ、闇雲に探している時間はないぞ。

(広い屋敷だ。やっぱここって貴族街の屋敷なのか?)

 鉄格子から外を見ると、デカい壁があった。
 通路を歩いてキョロキョロしていると、声が聞こえてくる。

「や、やめてください!!」
「へへ、いいじゃねぇかよ」

 ドア越しに声が聞こえてきたのでゆ~っくりドアを開けると……おいおいマジか。
 部屋には大量の檻があり、中には動物がたくさん詰め込まれていた。
 犬猫、狐に狸。他にもたくさん……しかも、全部子供だ。
 そして、世話係なのか、十六歳くらいの女の子が、見張りの男に腕を掴まれ壁に押し付けられていた。男の手は胸に伸び、女の子は苦痛に顔を歪めている。

「人質には手ぇ出すなってホアキン様は言うけどよ、少しくらいいいよなぁ?」
「や、やだ……」
「大丈夫大丈夫。すぐによくなる……」
「いやダメだろ」

 俺は男の後頭部に指で触れ、けっこう強めに電気を流した。
 名付けて人差し指スタンガン……地味だけどけっこう協力、って。

「うお、し、失禁してやがる。泡吹いてるし!! や、やばい……加減間違えた?」

 男は失禁、泡を吹き、白目を剝いていた。
 びくびく痙攣してるし……後頭部に電気ってやっぱまずかったか?

「……あ」
「あ、すまん。えと……大丈夫か?」
「は、はい」

 混乱することなく、女の子は俺の差し出した手を掴んで立ち上がった。
 胸元を直す間、俺は動物たちを見る。

「なんでこんなところに動物が……」
「クーロンの事業の一つなんです。その……実験動物」
「……実験動物」
「はい。魔道具、魔導武器の素材で、動物を使うっていう……」

 女の子を見ると、俯いていた。
 というか、そんなクソ実験までやってたのかよ。このクソ組織は。

「あの、あなたは……?」
「ああ、俺は玄徳……っと。ボヤボヤしてる場合じゃない。あの……聞いていいか? ここの人質たちって総勢何人くらいいる? それと、三歳くらいの子供たちが三人、連れてこられなかったか?」
「えと……子供でしたら、子供部屋にまとめています。人数は、百人以上はいますけど」
「なるほど……それと、ここどこだ? いや、エーデルシュタイン王国の王都かどうか、それだけ教えてくれ」
「は、はい……王都の、第四区にある繫華街って言ってました」
「だ、第四区……マジか」

 エーデルシュタイン王国、王都第四区。
 ここは確か、風俗街とか賭博場とかある、治安の悪い区画だぞ。
 俺も行ったことがない。イェランが「行くな」って言ってたし。
 マフィアとかの稼ぎ場みたいなことも言ってたけど……まさかここが『クーロン』の、マオシンの稼ぎ場だったとは。

「あの、ゲントクおじさん……私のパパ、元気でしたか?」
「え、パパ?」
「はい。ホランドっていう魔導武器職人なんですけど」
「……え、ホランドの娘さん?」

 なんと、ホランドの娘さんだった。
 よく見ると、金髪碧眼でホランドと同じ色してる。

「お母さんと一緒に、もうここで一年ほど働いてます……もう、帰るのは半分あきらめましたけど」
「……きみ、名前は?」
「え、じぇ、ジェシカです」
「ジェシカ。子供部屋を教えてくれ。それと、人質たちを全員、どこか広い場所に集めることできるか?」
「ぜ、全員ですか? えっと……」

 ジェシカ曰く、使用人として働いている人たちは、見張りたちの住む宿舎を掃除したり、料理をしたり、家事を担当しているらしい。
 俺のいるここも、見張りたちの宿舎。見張りは総勢で二百名ほどで、交代制で仕事をしていとか。
 
「全員は、さすがに……」
「さすがに無理か。じゃあ、人質全員が集まれる広い部屋とかある?」
「……使用人専用の、食堂なら」
「よし。じゃあ、嘘でもなんでもいい、とにかく全員に、そこに集まるよう言ってくれ」
「え……な、何をするんですか?」
「大暴れする。俺は、この組織を潰す」
「え……」
「きみのお父さんも、俺に手を貸してくれている。ジェシカちゃん……頼む。俺に手を貸してくれ」
「……ゲントクおじさん」
「任せていいかい?」
「……わかりました。じゃあ、ホアキン様が集まるように言ってると皆さんに伝えます。ホアキン様の言葉だと言えば、みんな信じると思います」
「ホアキン……あいつ、信用できるのか?」
「はい。あの方は優しいです。子供たちにもお菓子をあげたりしていますから」
「……へえ」

 意外なモンだ。あの弁髪野郎がね。
 ジェシカちゃんはペコっと頭を下げ、部屋を出て行った。
 俺は、捕まった動物たちを見る。

「お前たちも、後で解放してやるからな」

 さて、子供部屋に行くぞ……待ってろよ、子供たち。

 ◇◇◇◇◇◇

 子供部屋は、ジェシカちゃんと喋った部屋から近いところにあった。
 ドアを開けると、中は多目的ホールみたいなところで、積み木やら毛布やら絵本やらが散乱している。
 
「──ユキちゃん、クロハちゃん、リーサちゃん!!」

 ドアを閉め、内鍵を掛けると……いた!!
 部屋の隅っこで三人集まり、寄り添うようにして座っていた。
 三人とも、耳がぺたんとしおれている。だが、俺を見て耳をぴんと立てた。

「「「おじちゃーん!!」」」
「おお、よしよし……よかった。よかった!!」

 俺は、飛び掛かってきた三人を抱きしめる。
 三人とも泣いていたのか目元が赤い。俺を見て安心したのかまた泣いてしまう。
 すると、他の子供たちも集まって来た。

「わぅう……だれ?」
「ぐるる、ごろごろ」
「くるる」
「おっとっと。はは、可愛いなあ」

 獣人の子供ばかり。
 熊、犬、ウサギといろんな種族の獣人たちだ。可愛いなあ。
 俺はユキちゃんたちを降ろし、全員の頭を撫でる。

「助けに来た。さあみんな、ここから出よう」
「にゃ、帰れるの?」「おうち?」「でれるの?」
「ああそうだ。みんな、家に帰ろう」

 子供たちは二十人くらいいるだろうか。
 全員を連れ、ここから先にある食堂まで行く……ジェシカちゃんが使用人たちを全員集めているはず。
 俺はドアを開け、左右を確認……やっぱいるな。

「ちょっと待っててな」

 俺は『透明』の魔石を使い、見張りに急接近。後頭部に電撃を当て気絶させ、近くの部屋に放り込んだ。この間五秒である。
 そして、食堂までの道を確認……チャンスだ。

「さあ行こう。みんな、こっちだ」

 俺は子供たちを連れ、食堂へ向かうのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 食堂に入ると……けっこうな人がいた。

「あ、ゲントクさん!!」
「ジェシカちゃん。み、みんな集まったのかい?」
「はい。ホアキン様が集まれって言ったので……でも、まだ全員じゃありません」

 子供たちも合流し、それぞれの親御さんたちがしっかり抱擁している。
 俺は全員に言う。

「皆さん。聞いてください!! これから俺はこの組織を潰します。組織を潰すまで、ドアを閉めて絶対に誰も入れないようにしてください」
「ひ、一人でやるつもりか?」

 誰かが言う。
 もちろんそのつもりだ。

「ええ、俺は強いので。それに、今回はいろいろ解禁するんで、主人公っぽくね」
「「「「「……???」」」」」

 まあわからんよな。
 でも、それでいい……と、思った時だった。

「ほほほ。これはこれは、なぜあなたがここにいるのでしょうねえ」
「……っ!!」

 ドアが開き、ホアキンがニコニコしながら入って来た。
 見つかっちまったか。まあ、仕方ない。
 俺は構えを取る。

「ほほほ。さて……みなさん、今日はいいお天気です。日光浴などするのも気持ちいかもしれませんねえ……ゲントクさん、みなさんを外に案内しては?」
「……は?」
「そもそも、人質というのが気に食わない。そんなの、わたしが望む組織の姿ではありません。ゲントクさん、組織を潰すのならどうぞお好きに……ふふふ」
「……お、お前。何考えてんだ?」
「お忘れですか? クーロンは、九つの頭がある。わたしの仕える頭は、ここではない」
「……まさかお前、スパイ?」
「さあ、どうでしょう」

 ホアキンは、ニコニコしながら出て行った。
 すると、残りの人質が全員入って来た。

「ゲントクさん。あなたが何をするのか、見せてもらいますよ」
「……ヘンな奴だなお前。でも、何かするのは今回限りだ」

 ホアキンはその場を去った。
 人質が全員集まった。ホアキンのヤツ……残りの人質を連れて来てくれたのか。
 いいヤツなのか、悪いヤツなのか。

「皆さん、ここから出ずに。入口を塞いで、俺が戻るまでこのままで!!」

 俺は食堂を出る。
 ドアを冷蔵庫で押さえ、椅子テーブルを積む音が聞こえ始めた。
 食堂の入口はここだけ。ここを死守すればいい。
 見張りの総数は二百人くらい……ふふふ、ようやく暴れることができる。

「ん? おい、なんだお前!!」

 すると、見張りが戻って来た。しかも十人以上いる。
 堂々と歩く俺を見て剣を抜く。

「俺? 俺は魔道具技師だよ。んで、お前たちの組織を潰すモンだ」
「何ぃ?」
「というわけで、お待たせしました皆さん!! 来い、俺の自己防衛アーマー、名付けて『魔導甲殻Mark00・オリハルコンスケイルメイル』!!」

 腰の変身ベルト……じゃなく、ベルトのバックルに埋め込んだ『引寄』の魔石に魔力を注ぐ。
 たぶん身体のチェックされたけど、ベルトのバックルまでは調べなかったようだな。ふふん、変身と言えばベルトだぜ!!
 だが。

「…………」
「…………」
「…………??」
「…………って、そうだよな。ワープするわけじゃないし。ってか鎧、地下に隠してるけど……まさか、地上をブチ破って出て来るのか? え、会社壊れる?」
「…………」
「…………えっと」

 空気が凍る。
 
「捕まえろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「やっぱそうだよなああああああああああ!!」

 俺はその場から、全力で逃げ出すのだった。
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