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第九章 玄徳、第二のロマン
決戦!! 闇の魔導組織『クーロン』③
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この日の作業を終え、俺とホランドは再び地下牢へ。
地下牢……ここ、地下の階段を降りてすぐに格子があり、窓もないので見張りもいないんだよな。広さも大したことないし、男が十人ほど詰め込まれて正直きつい。
でも、今はありがたい……なぜなら、ひそひそ話ができるから。
「全員、静かに聞いてくれ」
俺は、この場にいる全員を集める。
全員男。最年少は二十代後半の青年で、どこか疲れた顔をしている。
男たちは顔を寄せ、ぼろいランプの下に集まって俺の話を聞いていた。
「俺は、ここから脱出……というか、この組織を潰すつもりだ。そのための作戦もあるんだが、お前たちの力を借りたい」
「だ、脱出……だと」
年長者のおじいさんが驚いたように言う。
俺は頷く。
「全員、人質を取られてるんだろ。だからまず、俺は人質の安全を確保する。その後で、ここにいる組織の連中を全員倒す」
「おいおいお前、そこまで強いのか?」
「俺自身はそこそこ。でも、切札がある」
「切札……? なんじゃ、それは」
「まだ内緒。でも、確実に言える……あのボスも、俺なら倒せる」
切札……言ってもいいけど、この中にユダがいる可能性も否定できない。
男たちは「ほんとかよ」とか「どうする」と話し合い、全員が俺を見た。
「……もし、失敗したらどうなる」
「俺が死ぬだけだ。あんたらに責任はないようにする」
「……いいだろう。で、何をすればいい?」
「魔石だ。明日の作業で支給される魔石を、失敗したフリをしてポケットに忍ばせて、後で俺にくれ。そいつを利用して、人質の位置を確認する」
「魔石……つまり、魔道具を作るのか?」
「いや、そこまでじゃない。魔石に特殊な魔導文字を彫って使う……今日、いくつか実験する」
俺はポケットから、俺に支給された魔石を二つ、ポケットに入れて持って来た。
そして、そこに魔導文字を刻む。
「一つ目……全員、しっかり口を手で押さえてくれ。いいか、絶対に声を出すな」
「「「「「……?」」」」」
全員が口を押えたのを確認、俺は魔石に魔力を込めると……出た。
「「「「「──……!!」」」」」
全員、眼を見開いて驚いていた。
だが、その『効果』は数分で消える。
「こいつが、クーロンの発見した魔導文字の効果だ。というか、俺も驚いた……そして、もう一つ」
俺は、もう一つの魔石を手にし、魔力を注ぐ。
すると、効果はきちんと出た……が、二分ほどで魔石が砕けた。
「一つ星じゃこんなもんか。というわけで、この魔石を使って隙を作って行動に移す。魔石はあればあるだけ欲しい……それと、ここにいる全員の知っている情報を、なんでもいいから教えてくれ」
「……本気なんだな、あんた」
「当然だ。仕事も詰まってるし、専属の商会も俺の捜索してるだろうしな。それにここ、コーヒーは飲めないし煙草も吸えねぇし、仕事終わった後に居酒屋寄って焼き鳥や雑酒で一杯やれねぇしな」
「……はは。酒か、いいなあ」
「ここから出れば飲めるぜ。というか……さっさと出て、全員で乾杯しようぜ。いい酒場知ってるから、貸し切りにしてよ、朝まで飲み明かそうぜ」
俺が言うと、全員に少しずつ笑顔が戻って来た。
酒、たばこの話、家族の話、自分の店の話……何人かは泣いてしまい、俺もウルっときてしまう。
ここにいる十人の心が一つになった気がした。
「あんたに協力する。なんでも聞いてくれ」
「オレもだ。家に帰れるならなんだってする」
「ワシもじゃ。婆さんに会いたい……」
みんな、やる気になってくれた。
ホランドは、俺の肩を叩く。
「やるじゃねぇか。へへ……オレも手ぇ貸すぜ。腕っぷしは自信あるぜ」
「ああ、じゃあ、決行は二日後……みんな、魔石を集めてくれ」
すると、階段を下る音がしたので全員が黙る。
やって来たのは、ホアキン……弁髪野郎だ。
「少し、騒がしいですねえ……ゲントクさん、何か楽しいお話でも?」
「ああ、お前とガチで決闘したら、俺が絶対に勝つって全員に話していたのさ。で、そのあとはお前を逆さづりにして、ブーブー鳴くまでケツをブッ叩いてやろうってみんなで笑ってたんだよ」
「そうですかそうですか。フフフ……ボスに挑んだあなたはなかなかいい動きをしていましたよ。ワタシも手合わせしたいものですねえ」
「いつでも相手になってやる。おい……子供たちはどうしてる」
「お元気ですよ。現在、子供部屋でお休み中です。ふふ、獣人の子供たちが集まる部屋ですので、寂しくはないかと」
「……会わせろ」
「それはダメです。面会は、月に一度のみと決まっていますので」
「…………この野郎」
「では、明日も忙しいと思いますので、早く休むように」
ホアキンはニコニコしながら去って行った。
ちくしょう。あいつの言葉を全部信じるわけじゃないが……獣人の子供たちの集まる部屋ってのがあるんだな。そこを探す必要がある。
「……ゲントク。気負うなよ、準備をしっかりやるぞ」
「ああ、わかってる」
待っててくれ。
それに、恐らくサンドローネとリヒター、ヴェルデも動いているはず。
遅かれ早かれ、助けは来る。
でも……俺がやる。絶対に、この組織を潰して、みんなを助けてやるからな。
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
一方そのころ。
玄徳の職場に、サンドローネとリヒター、イェラン、バリオン。ヴェルデ、シュバンとマイルズが集まっていた。
玄徳がさらわれすでに一日が経過……空気は重い。
「状況はよろしくないわ」
サンドローネが、どこか苛ついたように言い、煙管を噛む。
「ゲントクを攫ったのがどこの誰かわからない。情報が少なすぎる……チッ」
「私のミスよ」
ヴェルデが歯噛みし、拳を強く握る。
「私なら、あの時点で連中を皆殺しにできた。でも……ユキたちに凄惨な光景を見せるなってゲントクが言って、先手を打たれた……追うこともできなかった」
「お嬢様……」
「お嬢様。お嬢様の判断は正しかったと」
マイルズが慰めるが、ヴェルデの表情は変わらない。
イェランも悔しそうに指を噛み、バリオンが言う。
「アメジスト清掃の獣人たちにも捜索してもらっているが、成果は出ていない……相手は相当なプロだね」
「チッ……噂の魔道具技師誘拐、ゲントクが危ないとは思っていたけど」
「私のミス──……」
◇◇◇◇◇◇
(ヴェルデ、聞こえるか……俺はここだ。俺は玄徳、俺はここだ)
◇◇◇◇◇◇
「──……ッ!!」
ヴェルデは顔を上げた。
エーデルシュタイン王国全域に、無意識に展開していた魔力の波が、聞いたことのある声……ゲントクの小声をキャッチしたのである。
「ゲントク……!?」
「お、お嬢様?」
「いる。ゲントクは国内にいるわ……でも、声が小さすぎて場所がわからない」
耳を澄ますが、聞こえない。
ヴェルデは歯噛みし、魔力を最大解放し、国内の『空気の振動』をキャッチする。
だが、あまりにも雑音ばかりが聞こえ、肝心な玄徳の声が聞こえない。
「集中すると周りの雑音ばかり聞こえる……せめて、あと何度かゲントクの声を拾えれば、位置を補足できるんだけど……」
と、ヴェルデが歯噛みした時だった。
「だーかーらー!! アタシらの勝ちって言ってるじゃん!! トドメ刺したのアタシだし!!」
「ははは。トドメはボクの一撃だったさ。なあ、ウング、リーンドゥ」
「確かにな。ウルツァイト・メタルドラゴンの心臓には、バレンの剣が刺さってたぜ」
「そうそう!! 負け認めなよ~、全裸、全裸!!」
「……ロッソの剣、頭に刺さってた」
「そうですわ。心臓より先に、剣が脳を破壊していましたわ!!」
『わぅぅ』
巨大な荷車には、血抜きされ、首や手足が両断された『討伐不可能』の魔獣、ウルツァイト・メタルドラゴンの死骸が運ばれていた。
かなりの重量だが、ヒコロクは苦も無く運んでいる。
そして、職場に到着。ロッソたちは笑顔で言う。
「たっだいまー!! ウルツァイト・メタルドラゴンの討伐終わったよ!! アタシらの勝ち!!」
「……ロッソ、あんた」
「あれれ、みんな集まってどうしたの? おっさん、おっさんいるー?」
「……ロッソ、落ち着いて聞きなさい。バレンたちも」
ヴェルデが真剣な表情……というか、この場にいる全員がいつもと違う雰囲気だった。
六人の顔も、スッと切り替わる。
ブランシュが言った。
「おじさまに、何かありましたの?」
「ええ。ゲントクは攫われたわ」
ヴェルデがそう言った瞬間、六人の周囲が歪んだような気がした。
「どこ、誰?」
ロッソが言う。
するとアオ、ウングが前に出る。
「……知ってること全部」
「なんでもいい。情報よこせ。半日以内にカタ付ける」
眼が座っていた。
そしてにこやかな表情のバレン、ブランシュ。
「借りを返すチャンスだね……」
「ふふふ。ブッ潰して差し上げますわ」
そして、ヴェルデが前に出る。
「ちょうどいい、七人でやりましょう。私もけっこうキレてるしね」
「……本当に、恐ろしい方々を敵に回しましたね」
リヒターが青い顔で言うと、サンドローネは煙を吐きだした。
「リヒター、ある情報を全て彼女たちへ。あとはもう手を出さなくていい……邪魔になるわ」
「はい、お嬢」
最初で最後かもしれない、『七虹冒険者』の共同依頼が始まった。
地下牢……ここ、地下の階段を降りてすぐに格子があり、窓もないので見張りもいないんだよな。広さも大したことないし、男が十人ほど詰め込まれて正直きつい。
でも、今はありがたい……なぜなら、ひそひそ話ができるから。
「全員、静かに聞いてくれ」
俺は、この場にいる全員を集める。
全員男。最年少は二十代後半の青年で、どこか疲れた顔をしている。
男たちは顔を寄せ、ぼろいランプの下に集まって俺の話を聞いていた。
「俺は、ここから脱出……というか、この組織を潰すつもりだ。そのための作戦もあるんだが、お前たちの力を借りたい」
「だ、脱出……だと」
年長者のおじいさんが驚いたように言う。
俺は頷く。
「全員、人質を取られてるんだろ。だからまず、俺は人質の安全を確保する。その後で、ここにいる組織の連中を全員倒す」
「おいおいお前、そこまで強いのか?」
「俺自身はそこそこ。でも、切札がある」
「切札……? なんじゃ、それは」
「まだ内緒。でも、確実に言える……あのボスも、俺なら倒せる」
切札……言ってもいいけど、この中にユダがいる可能性も否定できない。
男たちは「ほんとかよ」とか「どうする」と話し合い、全員が俺を見た。
「……もし、失敗したらどうなる」
「俺が死ぬだけだ。あんたらに責任はないようにする」
「……いいだろう。で、何をすればいい?」
「魔石だ。明日の作業で支給される魔石を、失敗したフリをしてポケットに忍ばせて、後で俺にくれ。そいつを利用して、人質の位置を確認する」
「魔石……つまり、魔道具を作るのか?」
「いや、そこまでじゃない。魔石に特殊な魔導文字を彫って使う……今日、いくつか実験する」
俺はポケットから、俺に支給された魔石を二つ、ポケットに入れて持って来た。
そして、そこに魔導文字を刻む。
「一つ目……全員、しっかり口を手で押さえてくれ。いいか、絶対に声を出すな」
「「「「「……?」」」」」
全員が口を押えたのを確認、俺は魔石に魔力を込めると……出た。
「「「「「──……!!」」」」」
全員、眼を見開いて驚いていた。
だが、その『効果』は数分で消える。
「こいつが、クーロンの発見した魔導文字の効果だ。というか、俺も驚いた……そして、もう一つ」
俺は、もう一つの魔石を手にし、魔力を注ぐ。
すると、効果はきちんと出た……が、二分ほどで魔石が砕けた。
「一つ星じゃこんなもんか。というわけで、この魔石を使って隙を作って行動に移す。魔石はあればあるだけ欲しい……それと、ここにいる全員の知っている情報を、なんでもいいから教えてくれ」
「……本気なんだな、あんた」
「当然だ。仕事も詰まってるし、専属の商会も俺の捜索してるだろうしな。それにここ、コーヒーは飲めないし煙草も吸えねぇし、仕事終わった後に居酒屋寄って焼き鳥や雑酒で一杯やれねぇしな」
「……はは。酒か、いいなあ」
「ここから出れば飲めるぜ。というか……さっさと出て、全員で乾杯しようぜ。いい酒場知ってるから、貸し切りにしてよ、朝まで飲み明かそうぜ」
俺が言うと、全員に少しずつ笑顔が戻って来た。
酒、たばこの話、家族の話、自分の店の話……何人かは泣いてしまい、俺もウルっときてしまう。
ここにいる十人の心が一つになった気がした。
「あんたに協力する。なんでも聞いてくれ」
「オレもだ。家に帰れるならなんだってする」
「ワシもじゃ。婆さんに会いたい……」
みんな、やる気になってくれた。
ホランドは、俺の肩を叩く。
「やるじゃねぇか。へへ……オレも手ぇ貸すぜ。腕っぷしは自信あるぜ」
「ああ、じゃあ、決行は二日後……みんな、魔石を集めてくれ」
すると、階段を下る音がしたので全員が黙る。
やって来たのは、ホアキン……弁髪野郎だ。
「少し、騒がしいですねえ……ゲントクさん、何か楽しいお話でも?」
「ああ、お前とガチで決闘したら、俺が絶対に勝つって全員に話していたのさ。で、そのあとはお前を逆さづりにして、ブーブー鳴くまでケツをブッ叩いてやろうってみんなで笑ってたんだよ」
「そうですかそうですか。フフフ……ボスに挑んだあなたはなかなかいい動きをしていましたよ。ワタシも手合わせしたいものですねえ」
「いつでも相手になってやる。おい……子供たちはどうしてる」
「お元気ですよ。現在、子供部屋でお休み中です。ふふ、獣人の子供たちが集まる部屋ですので、寂しくはないかと」
「……会わせろ」
「それはダメです。面会は、月に一度のみと決まっていますので」
「…………この野郎」
「では、明日も忙しいと思いますので、早く休むように」
ホアキンはニコニコしながら去って行った。
ちくしょう。あいつの言葉を全部信じるわけじゃないが……獣人の子供たちの集まる部屋ってのがあるんだな。そこを探す必要がある。
「……ゲントク。気負うなよ、準備をしっかりやるぞ」
「ああ、わかってる」
待っててくれ。
それに、恐らくサンドローネとリヒター、ヴェルデも動いているはず。
遅かれ早かれ、助けは来る。
でも……俺がやる。絶対に、この組織を潰して、みんなを助けてやるからな。
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
一方そのころ。
玄徳の職場に、サンドローネとリヒター、イェラン、バリオン。ヴェルデ、シュバンとマイルズが集まっていた。
玄徳がさらわれすでに一日が経過……空気は重い。
「状況はよろしくないわ」
サンドローネが、どこか苛ついたように言い、煙管を噛む。
「ゲントクを攫ったのがどこの誰かわからない。情報が少なすぎる……チッ」
「私のミスよ」
ヴェルデが歯噛みし、拳を強く握る。
「私なら、あの時点で連中を皆殺しにできた。でも……ユキたちに凄惨な光景を見せるなってゲントクが言って、先手を打たれた……追うこともできなかった」
「お嬢様……」
「お嬢様。お嬢様の判断は正しかったと」
マイルズが慰めるが、ヴェルデの表情は変わらない。
イェランも悔しそうに指を噛み、バリオンが言う。
「アメジスト清掃の獣人たちにも捜索してもらっているが、成果は出ていない……相手は相当なプロだね」
「チッ……噂の魔道具技師誘拐、ゲントクが危ないとは思っていたけど」
「私のミス──……」
◇◇◇◇◇◇
(ヴェルデ、聞こえるか……俺はここだ。俺は玄徳、俺はここだ)
◇◇◇◇◇◇
「──……ッ!!」
ヴェルデは顔を上げた。
エーデルシュタイン王国全域に、無意識に展開していた魔力の波が、聞いたことのある声……ゲントクの小声をキャッチしたのである。
「ゲントク……!?」
「お、お嬢様?」
「いる。ゲントクは国内にいるわ……でも、声が小さすぎて場所がわからない」
耳を澄ますが、聞こえない。
ヴェルデは歯噛みし、魔力を最大解放し、国内の『空気の振動』をキャッチする。
だが、あまりにも雑音ばかりが聞こえ、肝心な玄徳の声が聞こえない。
「集中すると周りの雑音ばかり聞こえる……せめて、あと何度かゲントクの声を拾えれば、位置を補足できるんだけど……」
と、ヴェルデが歯噛みした時だった。
「だーかーらー!! アタシらの勝ちって言ってるじゃん!! トドメ刺したのアタシだし!!」
「ははは。トドメはボクの一撃だったさ。なあ、ウング、リーンドゥ」
「確かにな。ウルツァイト・メタルドラゴンの心臓には、バレンの剣が刺さってたぜ」
「そうそう!! 負け認めなよ~、全裸、全裸!!」
「……ロッソの剣、頭に刺さってた」
「そうですわ。心臓より先に、剣が脳を破壊していましたわ!!」
『わぅぅ』
巨大な荷車には、血抜きされ、首や手足が両断された『討伐不可能』の魔獣、ウルツァイト・メタルドラゴンの死骸が運ばれていた。
かなりの重量だが、ヒコロクは苦も無く運んでいる。
そして、職場に到着。ロッソたちは笑顔で言う。
「たっだいまー!! ウルツァイト・メタルドラゴンの討伐終わったよ!! アタシらの勝ち!!」
「……ロッソ、あんた」
「あれれ、みんな集まってどうしたの? おっさん、おっさんいるー?」
「……ロッソ、落ち着いて聞きなさい。バレンたちも」
ヴェルデが真剣な表情……というか、この場にいる全員がいつもと違う雰囲気だった。
六人の顔も、スッと切り替わる。
ブランシュが言った。
「おじさまに、何かありましたの?」
「ええ。ゲントクは攫われたわ」
ヴェルデがそう言った瞬間、六人の周囲が歪んだような気がした。
「どこ、誰?」
ロッソが言う。
するとアオ、ウングが前に出る。
「……知ってること全部」
「なんでもいい。情報よこせ。半日以内にカタ付ける」
眼が座っていた。
そしてにこやかな表情のバレン、ブランシュ。
「借りを返すチャンスだね……」
「ふふふ。ブッ潰して差し上げますわ」
そして、ヴェルデが前に出る。
「ちょうどいい、七人でやりましょう。私もけっこうキレてるしね」
「……本当に、恐ろしい方々を敵に回しましたね」
リヒターが青い顔で言うと、サンドローネは煙を吐きだした。
「リヒター、ある情報を全て彼女たちへ。あとはもう手を出さなくていい……邪魔になるわ」
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