68 / 118
第六章 雪景色と温泉
坂道の飯屋
しおりを挟む
さて、猫を布団の敷いた部屋に案内し、水の入った器を置いて別荘を出た。
妊娠してるっぽいし、あまり構わない方がいいだろう。
俺たちは別荘を出て、繁華街の入口に来た。
「おおお~……いいね、俺好みの繫華街だ」
繫華街の入口には鳥居みたいなゲートがあり、坂道ぎみの道が真っすぐ伸びている。
石畳の広い道、両サイドには飲食店、土産屋、武器防具屋や八百屋、パン屋など、様々な店が並んでいる。
立地的には、この坂道を登って行くと、町の中央に出る感じだ。
中央にはデカい宿屋、冒険者ギルドや商業ギルドなどがある。俺の買った別荘は、繫華街に通じる道の一つで、繫華街を降りた先にある元宿屋って感じか。
俺たちは、飲食店街をキョロキョロしながら歩く。
「……寒いな」
長袖を着てきたが……あちこちに雪が積もっている。
除雪は完璧にされているそうだが、屋根や細かいところには雪が積もっている。まあ、少しは雪が残っている方が冬っぽい。
ちなみに、こっちの方は一年の半分以上が冬らしい。今は冬真っ盛りだそうだ。
とりあえず、冬が終わるまで滞在の予定。今のうちに、いい感じの居酒屋とか飯屋、探しておくか。
「おじさん、レレドレの町、お鍋が有名。雪山で採れた山菜鍋、雪山の魔獣肉、雪山の川魚のお鍋とかあるみたい」
「詳しいな、調べたのか?」
「うん、役に立つ?」
「ああ、ありがとな。さすがアオだ」
アオはにっこり笑った……猫みたいで可愛いと思ってしまった。
というわけで、アオがおススメの鍋屋へ。
坂道の真ん中にある大きな鍋屋で、広めの個室に案内された。
シュバン、マイルズさんは遠慮しようとしたが、俺がお願いして一緒に席にしてもらった……慣れたとはいえ、若い女の子しかいない空間はおっさんには厳しいぜ。
テーブルは円卓で、最新式の大型魔導コンロが中央に設置されている。
テーブル埋め込み式で、テーブルの中央に電熱線が埋め込まれ、そこに鍋を直接置いて温めるタイプだ。鍋は最大で四つまでおける……すごい。
メニューを見ると、アオが言った通りだった。
「はいはーい!! アタシこの『雪山熊の肉鍋』がいい!!」
「わ、私もそれがいいかも」
ロッソ、ヴェルデは肉鍋……ある意味予想通りだ。
「……私、『雪泡スズキと氷蟹の鍋』がいい」
「あら、わたくしもそれがいいと思ってましたの」
アオ、ブランシュは魚系か。俺も気になってたんだよね。
「では私は『雪山菜鍋』で」
「オレも同じもので」
マイルズさん、シュバンは山菜鍋か。ヘルシーで美味そうだ。
さて、残りは俺。
「う~ん……お? なんだろう、この『雪中まんぷく鍋』って。気になるしこれで」
俺は『雪中まんぷく鍋』にした。名前からしてお腹いっぱいになりそうだ。
さて、酒のメニューを見て驚いた。なんと『雑酒』こと日本酒があった。
俺は迷わず注文。シュバン、マイルズさんも飲むのかと思ったら。
「申し訳ございません。お嬢様の護衛中ですので」
「悪いな、仕事中は飲めないんだ」
「そんなあ……」
ちょっとがっかり。するとヴェルデが言う。
「シュバン、マイルズ。今日のお仕事はおしまい。ゲントクに付き合って飲んでもいいわよ。今日はどうせ、ゲントクの別荘にお泊りだし、すぐそこの距離だしね」
「……では、せっかくなので」
「へへ、ありがとうございます。お嬢様」
「よっしゃあ!! マイルズさん、雑酒は知ってます?」
「確か……ザツマイから精製したお酒でしたね。東方で作られるという」
「そうそう!! これが美味いんすよ。シュバンも飲もうぜ!!」
「いいね。オレ、酒は強いぜ?」
「……おじさん、なんか楽しそう」
「ちょっと、アタシも飲むし!!」
「ふふん。では私も。こう見えて強いんですからね!!」
「わたくしは食べる方に集中しますわ」
そして、料理と酒が運ばれ、俺たちは乾杯する。
テーブルの上では、鍋がぐつぐつ煮えている。
ロッソは肉鍋を見て目を輝かせた。
「おおお、美味しそ~!!」
「お肉、お肉!! ロッソ、食べるわよ!!」
「もち!! ほら、お皿よこしなさいよ」
「え、あ……うん」
ロッソは、ヴェルデの皿に肉をたっぷり入れてやってる。なんだろう、急に優しくなったぞ。
「……お魚、フワフワで美味しい」
「ん~、海のカニもですけど、川のカニも美味しいですわね」
アオとロッソは、川魚とカニの鍋だ。
飲むんじゃなくて食べる方に集中しているのか、がっついている。
「美味い。山菜のダシが出ていますね」
「うん、これは雑酒に合う。ささ、マイルズさん」
シュバン、マイルズさんは山菜鍋を食べ、雑酒を飲んでいた。
すごいな、山の幸たっぷりの鍋……しかもこれ雑酒に合う合う。めちゃくちゃ美味い。
さて、俺の『まんぷく鍋』だが。
「これ、ちゃんこ鍋じゃねぇか。塩味めちゃくちゃ利いててうめえ!! しかも雑酒に合う!!」
『雪中まんぷく鍋』……これ、ちゃんこ鍋だ。
肉、魚、山菜に野菜がふんだんに使われ、鳥っぽい出汁、そして塩味だ。
うまい。ちょっとしょっぱいけど、酒が進む進む。
「うっめえ!! おいシュバン、こっちも食え食え!! マイルズさん、お酒どうっすか? あっはっは!!」
「おじさん、酔ってるね」
「でも、楽しそうですわ」
俺はマイルズさんにお酌し、シュバンに酒を注いでもらう。
すると、酔ったロッソが隣に来て、肩を回す。
「おっさ~ん!! ザナドゥに続いて別荘二軒目!! しかもめちゃくちゃいい物件じゃん!! 羨ましい~!! ね、ね、アタシと結婚しよ!! アタシもおっさんの別荘に住みたい~!!」
「アホ助。子供に興味ねーし!! ってか俺結婚しない!!」
「え~なんでよお。おっさん好き好き~」
ロッソがキスしようとしてくるが、俺は頭を掴んで押しのける。
すると、酔っぱらったヴェルデが俺の反対側へ。
「ロッソぉぉぉ……私、私、謝るぅぅぅ!! ごめんなさい~……!! うぇぇぇぇぇぇん!!」
な、泣いてる……な、なんだこいつ。
すると顔を真っ赤にしたロッソ、俺を押しのけヴェルデの前へ。
「にゃぁによ。謝るぅ?」
「うん、私、あなたに、いっぱいひどいことして、うぇぇ……ごめんね、ごめんね。わたし……ほんとは友達になりたいの。でも、素直になれなくて、ひどいこといって……アオに、ブランシュのことも、傷付けて……う、うぇぇぇ」
「ゆるす!! ばか!! あんた、いつまでも謝んないから、わかる? ケジメ、冒険者だからケジメは大事なの!! もうゆるす!! ね、アオ、ブランシュ!!」
「……まあ、うん。謝ってほしいとは思ってたけど。でもこんな形とは」
「え、ええ……ヴェルデ、酔ってますの?」
ヴェルデ……いろいろ謝る作戦とか考えてたけど、全部吹っ飛んでるぞ。
まさかの泣き上戸。さっき「酒に強い」とか言ってなかったっけ。
俺も酔ってたけど、なんか吹っ飛んじまった。
「ごめんね。ごめんね。私……ロッソ、アオ、ブランシュと友達になりたい。いっしょに冒険したり、ごはん食べたり、うぇぇ、あそんだりしたいの!!」
「やろう!! アタシも、アンタと友達になる!! 雑酒おかわり!!」
「ロッソぉぉぉぉ~!! 雑酒おかわりぃぃぃ~……」
の、飲みながら仲直り……これ、明日になったら「なんのことだっけ?」とかならないよな。
俺はアオ、ブランシュを見る。
「ま、まあ……こうして謝ったし、わたくしはもう許しますわ」
「……私もいい。ケジメ、付けたしね」
「そ、そうか。マイルズさん、シュバンはいいのか?」
「……ええ。お嬢様に従います」
「オレもだ」
こうして、ずっとわだかまりのあったロッソ、ヴェルデ、そしてアオとブランシュは仲直りをした
いろいろ計画立ててたんだが……まさか鍋屋で、酒飲んで、酔った勢いで和解とは思わんかった。
酒飲むと素直になるってのはあるけど、まさかこんな感じになるとは。
「ヴェルデ、仲直りのちゅ~」
「ちゅ~」
き、キスしてる……もうめんどくせぇし、俺も飲むか!!
◇◇◇◇◇◇
さて、酔いつぶれたロッソをブランシュが担ぎ、ヴェルデはシュバンがおんぶ。
俺、マイルズさん、アオが先頭を歩いていると、マイルズさんが言う。
「ゲントク様、今回はありがとうございました。まさか……このような形で和解するとは」
「俺もびっくりだよ……なあアオ、明日になったら「何のこと?」とかならないよな?」
「大丈夫。ロッソ、飲んでも記憶はばっちり。それに、私もブランシュも覚えてる」
「……お前は許したのか?」
アオに聞くと、頷いた。
「冒険者はケジメが大事。ヴェルデ、私とブランシュを馬鹿にしたこと言って、ロッソがキレて大喧嘩した……そのまま謝罪するなら許したけど、謝罪もせずにしつこく付きまとってくるから、無視してた。でも、ヴェルデが素直になれないことも気付いてた」
「……お前、もしかして」
「おじさん、ヴェルデが二人で相談してたの知ってる。ロッソも、ブランシュも。そこまで真剣だってわかったから、ちゃんと謝ったら許すって三人で決めてたの」
「……そうだったのか」
「うん。おじさん、明日はブランシュの別荘見に行く。ヴェルデも一緒に」
「ああ、そうしな。俺は商業ギルドに行くから、お前たちの別荘には暇な日にでも招待してくれ」
「うん」
喋っているうちに、俺の別荘へ到着した。
そのままみんなを客間へ……と、思っていたが。
『ニャア』
『ミー』
「……マジかよ」
なんと、百年猫の傍に子猫……俺たちが飲んでいる間に、子供が生まれていた。
妊娠してるっぽいし、あまり構わない方がいいだろう。
俺たちは別荘を出て、繁華街の入口に来た。
「おおお~……いいね、俺好みの繫華街だ」
繫華街の入口には鳥居みたいなゲートがあり、坂道ぎみの道が真っすぐ伸びている。
石畳の広い道、両サイドには飲食店、土産屋、武器防具屋や八百屋、パン屋など、様々な店が並んでいる。
立地的には、この坂道を登って行くと、町の中央に出る感じだ。
中央にはデカい宿屋、冒険者ギルドや商業ギルドなどがある。俺の買った別荘は、繫華街に通じる道の一つで、繫華街を降りた先にある元宿屋って感じか。
俺たちは、飲食店街をキョロキョロしながら歩く。
「……寒いな」
長袖を着てきたが……あちこちに雪が積もっている。
除雪は完璧にされているそうだが、屋根や細かいところには雪が積もっている。まあ、少しは雪が残っている方が冬っぽい。
ちなみに、こっちの方は一年の半分以上が冬らしい。今は冬真っ盛りだそうだ。
とりあえず、冬が終わるまで滞在の予定。今のうちに、いい感じの居酒屋とか飯屋、探しておくか。
「おじさん、レレドレの町、お鍋が有名。雪山で採れた山菜鍋、雪山の魔獣肉、雪山の川魚のお鍋とかあるみたい」
「詳しいな、調べたのか?」
「うん、役に立つ?」
「ああ、ありがとな。さすがアオだ」
アオはにっこり笑った……猫みたいで可愛いと思ってしまった。
というわけで、アオがおススメの鍋屋へ。
坂道の真ん中にある大きな鍋屋で、広めの個室に案内された。
シュバン、マイルズさんは遠慮しようとしたが、俺がお願いして一緒に席にしてもらった……慣れたとはいえ、若い女の子しかいない空間はおっさんには厳しいぜ。
テーブルは円卓で、最新式の大型魔導コンロが中央に設置されている。
テーブル埋め込み式で、テーブルの中央に電熱線が埋め込まれ、そこに鍋を直接置いて温めるタイプだ。鍋は最大で四つまでおける……すごい。
メニューを見ると、アオが言った通りだった。
「はいはーい!! アタシこの『雪山熊の肉鍋』がいい!!」
「わ、私もそれがいいかも」
ロッソ、ヴェルデは肉鍋……ある意味予想通りだ。
「……私、『雪泡スズキと氷蟹の鍋』がいい」
「あら、わたくしもそれがいいと思ってましたの」
アオ、ブランシュは魚系か。俺も気になってたんだよね。
「では私は『雪山菜鍋』で」
「オレも同じもので」
マイルズさん、シュバンは山菜鍋か。ヘルシーで美味そうだ。
さて、残りは俺。
「う~ん……お? なんだろう、この『雪中まんぷく鍋』って。気になるしこれで」
俺は『雪中まんぷく鍋』にした。名前からしてお腹いっぱいになりそうだ。
さて、酒のメニューを見て驚いた。なんと『雑酒』こと日本酒があった。
俺は迷わず注文。シュバン、マイルズさんも飲むのかと思ったら。
「申し訳ございません。お嬢様の護衛中ですので」
「悪いな、仕事中は飲めないんだ」
「そんなあ……」
ちょっとがっかり。するとヴェルデが言う。
「シュバン、マイルズ。今日のお仕事はおしまい。ゲントクに付き合って飲んでもいいわよ。今日はどうせ、ゲントクの別荘にお泊りだし、すぐそこの距離だしね」
「……では、せっかくなので」
「へへ、ありがとうございます。お嬢様」
「よっしゃあ!! マイルズさん、雑酒は知ってます?」
「確か……ザツマイから精製したお酒でしたね。東方で作られるという」
「そうそう!! これが美味いんすよ。シュバンも飲もうぜ!!」
「いいね。オレ、酒は強いぜ?」
「……おじさん、なんか楽しそう」
「ちょっと、アタシも飲むし!!」
「ふふん。では私も。こう見えて強いんですからね!!」
「わたくしは食べる方に集中しますわ」
そして、料理と酒が運ばれ、俺たちは乾杯する。
テーブルの上では、鍋がぐつぐつ煮えている。
ロッソは肉鍋を見て目を輝かせた。
「おおお、美味しそ~!!」
「お肉、お肉!! ロッソ、食べるわよ!!」
「もち!! ほら、お皿よこしなさいよ」
「え、あ……うん」
ロッソは、ヴェルデの皿に肉をたっぷり入れてやってる。なんだろう、急に優しくなったぞ。
「……お魚、フワフワで美味しい」
「ん~、海のカニもですけど、川のカニも美味しいですわね」
アオとロッソは、川魚とカニの鍋だ。
飲むんじゃなくて食べる方に集中しているのか、がっついている。
「美味い。山菜のダシが出ていますね」
「うん、これは雑酒に合う。ささ、マイルズさん」
シュバン、マイルズさんは山菜鍋を食べ、雑酒を飲んでいた。
すごいな、山の幸たっぷりの鍋……しかもこれ雑酒に合う合う。めちゃくちゃ美味い。
さて、俺の『まんぷく鍋』だが。
「これ、ちゃんこ鍋じゃねぇか。塩味めちゃくちゃ利いててうめえ!! しかも雑酒に合う!!」
『雪中まんぷく鍋』……これ、ちゃんこ鍋だ。
肉、魚、山菜に野菜がふんだんに使われ、鳥っぽい出汁、そして塩味だ。
うまい。ちょっとしょっぱいけど、酒が進む進む。
「うっめえ!! おいシュバン、こっちも食え食え!! マイルズさん、お酒どうっすか? あっはっは!!」
「おじさん、酔ってるね」
「でも、楽しそうですわ」
俺はマイルズさんにお酌し、シュバンに酒を注いでもらう。
すると、酔ったロッソが隣に来て、肩を回す。
「おっさ~ん!! ザナドゥに続いて別荘二軒目!! しかもめちゃくちゃいい物件じゃん!! 羨ましい~!! ね、ね、アタシと結婚しよ!! アタシもおっさんの別荘に住みたい~!!」
「アホ助。子供に興味ねーし!! ってか俺結婚しない!!」
「え~なんでよお。おっさん好き好き~」
ロッソがキスしようとしてくるが、俺は頭を掴んで押しのける。
すると、酔っぱらったヴェルデが俺の反対側へ。
「ロッソぉぉぉ……私、私、謝るぅぅぅ!! ごめんなさい~……!! うぇぇぇぇぇぇん!!」
な、泣いてる……な、なんだこいつ。
すると顔を真っ赤にしたロッソ、俺を押しのけヴェルデの前へ。
「にゃぁによ。謝るぅ?」
「うん、私、あなたに、いっぱいひどいことして、うぇぇ……ごめんね、ごめんね。わたし……ほんとは友達になりたいの。でも、素直になれなくて、ひどいこといって……アオに、ブランシュのことも、傷付けて……う、うぇぇぇ」
「ゆるす!! ばか!! あんた、いつまでも謝んないから、わかる? ケジメ、冒険者だからケジメは大事なの!! もうゆるす!! ね、アオ、ブランシュ!!」
「……まあ、うん。謝ってほしいとは思ってたけど。でもこんな形とは」
「え、ええ……ヴェルデ、酔ってますの?」
ヴェルデ……いろいろ謝る作戦とか考えてたけど、全部吹っ飛んでるぞ。
まさかの泣き上戸。さっき「酒に強い」とか言ってなかったっけ。
俺も酔ってたけど、なんか吹っ飛んじまった。
「ごめんね。ごめんね。私……ロッソ、アオ、ブランシュと友達になりたい。いっしょに冒険したり、ごはん食べたり、うぇぇ、あそんだりしたいの!!」
「やろう!! アタシも、アンタと友達になる!! 雑酒おかわり!!」
「ロッソぉぉぉぉ~!! 雑酒おかわりぃぃぃ~……」
の、飲みながら仲直り……これ、明日になったら「なんのことだっけ?」とかならないよな。
俺はアオ、ブランシュを見る。
「ま、まあ……こうして謝ったし、わたくしはもう許しますわ」
「……私もいい。ケジメ、付けたしね」
「そ、そうか。マイルズさん、シュバンはいいのか?」
「……ええ。お嬢様に従います」
「オレもだ」
こうして、ずっとわだかまりのあったロッソ、ヴェルデ、そしてアオとブランシュは仲直りをした
いろいろ計画立ててたんだが……まさか鍋屋で、酒飲んで、酔った勢いで和解とは思わんかった。
酒飲むと素直になるってのはあるけど、まさかこんな感じになるとは。
「ヴェルデ、仲直りのちゅ~」
「ちゅ~」
き、キスしてる……もうめんどくせぇし、俺も飲むか!!
◇◇◇◇◇◇
さて、酔いつぶれたロッソをブランシュが担ぎ、ヴェルデはシュバンがおんぶ。
俺、マイルズさん、アオが先頭を歩いていると、マイルズさんが言う。
「ゲントク様、今回はありがとうございました。まさか……このような形で和解するとは」
「俺もびっくりだよ……なあアオ、明日になったら「何のこと?」とかならないよな?」
「大丈夫。ロッソ、飲んでも記憶はばっちり。それに、私もブランシュも覚えてる」
「……お前は許したのか?」
アオに聞くと、頷いた。
「冒険者はケジメが大事。ヴェルデ、私とブランシュを馬鹿にしたこと言って、ロッソがキレて大喧嘩した……そのまま謝罪するなら許したけど、謝罪もせずにしつこく付きまとってくるから、無視してた。でも、ヴェルデが素直になれないことも気付いてた」
「……お前、もしかして」
「おじさん、ヴェルデが二人で相談してたの知ってる。ロッソも、ブランシュも。そこまで真剣だってわかったから、ちゃんと謝ったら許すって三人で決めてたの」
「……そうだったのか」
「うん。おじさん、明日はブランシュの別荘見に行く。ヴェルデも一緒に」
「ああ、そうしな。俺は商業ギルドに行くから、お前たちの別荘には暇な日にでも招待してくれ」
「うん」
喋っているうちに、俺の別荘へ到着した。
そのままみんなを客間へ……と、思っていたが。
『ニャア』
『ミー』
「……マジかよ」
なんと、百年猫の傍に子猫……俺たちが飲んでいる間に、子供が生まれていた。
406
お気に入りに追加
1,298
あなたにおすすめの小説
男装の皇族姫
shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。
領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。
しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。
だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。
そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。
なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。
何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!
京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。
戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。
で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。
聖剣が最強の世界で、少年は弓に愛される~封印された魔王がくれた力で聖剣士たちを援護します~
さとう
ファンタジー
かつて、四人の魔王が率いる魔族との戦争に敗れて住む地の大半を失った人間たちは、残された土地を七分割し、人間を創造した女神が鍛えし七本の聖剣を『守護聖剣』として、それぞれの大地を守って過ごしてきた。
女神が残した七本の聖剣を模倣して作られた数多の『模造聖剣』……これを手に、人類は今も襲い来る魔族たちと戦いながら暮らしていた。
模造聖剣に選ばれし剣士を『聖剣士』と言い、七つの国最大である『トラビア王国』に作られた『聖剣レジェンディア学園』で武を、剣を学ぶ。
かつて、『聖剣王』と呼ばれた伝説の聖剣士、エドワード・ティラユール。
そのティラユールの血を引く一人の少年、ロイ……彼は、剣の才能というものに全く恵まれず、素振りすらまともにできない『落ちこぼれ』だった。
だが、ロイは諦めずに剣を振った。共に聖剣士になると誓った幼馴染、エレノアのために。
でも───やはりロイは、落ちこぼれのまま。後から剣を習い始めたエレノアにさえ負け続け、父からは「出来損ない」と言われ続ける。
それでも聖剣士になることを諦めきれず……一年に一度開催される『聖剣選抜の儀』に望む。
ここで、自分に適合する模造聖剣を手に入れる。聖剣を手に入れさえすれば、聖剣士になれる。
そう思い参加した『聖剣選抜の儀』で……ロイが手に入れたのは、粗末な木刀。
不殺の聖剣と呼ばれた、ただの木刀だった。
それに対し、幼馴染のエレノアが適合したのは……長らく適合者がいなかった、七本の聖剣の一つ。『炎聖剣フェニキア』
ロイは、聖剣士になる夢をあきらめかけた。
そんなある日だった。
「狩りにでも行くか……」
生きるためでもあり、ロイの趣味でもあった『狩り』
弓で獲物を射る、なんてことの狩りなのだが……ロイが見せたのは、数キロ先から正確に獲物の急所を射抜く、神技級の『弓技』だった。
聖剣こそ至上の世界で、神技の如き弓を使う少年、ロイ。
聖剣士にはなれない。でも……それ以上になれる。
『お前しかいない』
「え?」
そんなロイを認め、『不殺の聖剣』と呼ばれた粗末な木刀が真の力を発揮する。
それは、人間を滅ぼしかけた四人の魔王たちが恐れた、『五番目の魔王』だった。
これは、聖剣士になりたかったけど弓矢に愛された少年と、四人の魔王に封じられた最強最悪の魔王が、世界を救う物語。
筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果
kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。
自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。
魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
第三王子に転生したけど、その国は滅亡直後だった
秋空碧
ファンタジー
人格の九割は、脳によって形作られているという。だが、裏を返せば、残りの一割は肉体とは別に存在することになる
この世界に輪廻転生があるとして、人が前世の記憶を持っていないのは――
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる