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第四章 海の国ザナドゥでバカンスを
別荘を手に入れた!
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織田玄徳は別荘を手に入れた!!
地球、日本に住んでいたら絶対手に入らないであろう、大豪邸。
日本で買ったら数億じゃきかないレベル。まあ事故物件だったけど……ブランシュの浄化のおかげでゴースト系魔獣は消滅したし、部屋に飾ってある絵画の裏にお札貼ったからもう安心。
念願のリゾートバカンスが始まった!! ……と、思ったら。
「ん~……素材はエアコンドルの骨をベースに、側は密封。そして……そうだ、軽い素材ならアクアリザードの皮を加工して使うか」
現在俺は、クソ暑い地下室で魔道具開発をしていた。
部屋には大量の素材があり、加工済みの物や、これから加工する物、魔石とたくさんある。
別荘を手に入れて数日、俺は『遊ぶ』ために必要な魔道具や、生活に必要な家具をいくつも作っていた。
◇◇◇◇◇◇
最初は、単純に暑いのでエアコンを作った。
商業ギルドで必要そうな素材を大量に買い、追加料金支払って全部倉庫に入れた。
魔石もいっぱい買い、全部屋にエアコンを設置。ついでに扇風機を作り、プロペラの回転を見てシーリングファンを思いつき、さらにアクティビティ用の魔道具も作った。
「ふぅ~……いやあ、いい魔道具いっぱいできた……じゃねえ!! なんで俺こんなクソ暑い部屋で汗だくで魔道具作ってんだ!?」
海底の作業室で絶叫……ここ、窓あるけど開けられないから熱籠るんだよな。いちおう天井に換気扇みたいな穴が空いてるけど。
俺はシャツ一枚、短パン姿で地下から一階へ……すると。
「おっさーん!! ビーチで遊ばせて~!!」
ロッソの声。
玄関を開けると、ロッソにアオ、ブランシュ。そしてユキちゃんを抱っこしたスノウさんだ。
俺を見て、ロッソは顔をしかめる。
「なに疲れた顔してんの~?」
「……バカンスってこと忘れて魔道具作ってた」
「いや意味不明……ね、じゃあ一緒にあそぼ!! プライベートビーチでさ!!」
「……そうだな。遊ぶか!!」
切り替えていこう。
せっかく目の前にプライベートビーチあるんだし、遊ばないと損だ!!
と、スノウさんとユキちゃんが気になったのか見ていると、ブランシュが言う。
「実は、お二人を正式に『鮮血の赤椿』で雇うことにしましたの」
「え? 雇うって……露店は?」
首を傾げると、スノウさんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「申し訳ございません。実は……」
話を聞くと、俺の考案したスイートポテトが大人気となり、店に人が殺到。スノウさん一人では仕事が追い付かず、たまたま近くを通ったロッソたちがお手伝いしたそうだ。
スノウさん、ほとんど寝ずに仕込みをしていたせいか顔色も悪く、このままでは倒れてしまう危険があった。
なので、アオの提案で、スイートポテトの権利を商業ギルドに売ってお金にし、その後は親子でエーデルシュタイン王国に来て、『鮮血の赤椿』の拠点で住み込みの仕事をすることになったそうだ。
ブランシュが言う。
「というわけで、スノウさんとユキちゃんは、エーデルシュタイン王国で私たちの拠点のお掃除などしてもらうことになりました」
「へえ、そうなんだ」
「申し訳ございません……ゲントクさん、いただいたオーブントースターですが、商業ギルドの方がぜひ買いたいと申されまして」
「ああ、いいですよ別に。どうせ試作機ですしね」
「にゃうー」
「ははは。久しぶりだね、ユキちゃん」
ユキちゃんを撫でると、気持ちよさそうにネコミミを動かした。
さて、立ち話も何だし家の中へ。
「おっさん、着替えるから部屋借りる!! お昼だけど、外に食べに行かない?」
「待った。せっかくだし、浜でバーベキューしようぜ。バーベキューコンロ作ったんだ。食材も大量にあるぞ」
「あら、いいですわね」
「……やった」
「ゲントクさん、お世話になります」
「にゃああ」
こうして、男ひとり、女五人というある意味ハーレムな展開となるのだった。
◇◇◇◇◇◇
女性陣が着替えている間、俺はバーベキューコンロを浜に下ろす。
『バカンスに必要になるかも』と、ノリで作ったコンロが役に立つ日が来るとは。
浜には小さな倉庫みたいなのもあり、そこに椅子やテーブル、タープなどもあった。そういやパラソルってこの世界にないな……暇なとき作るか。
「おじさま~、冷蔵庫持ってきましたわ~」
「おう、感謝……」
ブランシュが、食材の冷蔵庫を丸ごと持って砂浜に出てきた。
白のワンピース。水着……でっか。いや胸部というか、十七歳とは思えんというか。
俺の視線に気づき、ブランシュは胸を隠す仕草をする。
「やだ、恥ずかしいですわ」
「す、すまんな。ははは、おっさんには刺激強いぜ」
「ふふ、お褒めの言葉ですか?」
からかっているのか、ブランシュは俺に近づいて来る。
ちなみに俺はタンクトップに短パン、ビーチサンダルに麦わら帽子という夏の田舎少年みたいな恰好だ。
「おっさーん!!」
「おじさん」
「ん、おう。お前らも水着か……」
ロッソは赤のビキニ、でっか。
アオは青の競泳水着みたいな……うん、普通サイズ。
ロッソは胸を強調するように見せつける。
「おっさん、どうどう? 色気ある?」
「ああ、いい感じだぞ。うんうん、色っぽい」
「むー、なんか子供扱いしてない? ね、アオ」
「……恥ずかしい」
アオは身体を隠すようにした……なんかそっちのがエロいな。
まあ、俺が子供であるこの子たちを意識することはない……が。
「遅れて申し訳ありません、お手伝いしますね」
「あ、はい……どうも」
人妻……未亡人はちょっとヤバイな。
スノウさん、年齢は二十六歳で猫獣人。白いロングヘアに引き締まった身体、パレオを巻いたワンピース姿なんだが……この中で一番デカいぞ。スイカ食いたくなってきた。
「にゃあう」
「あ、ユキちゃんか。ははは、水着かわいいね」
「にゃー」
ユキちゃんが足にしがみついてきたので抱っこする。うん、子供は可愛いな。
スノウさんも、俺に懐いているのが嬉しいのか笑顔だ。
「よーし!! ユキ、ブランシュ、泳ごう!!」
「ええ、久しぶりに泳ぎましょうか」
「水に関して私が負けるわけない……」
三人は駆けだした……やっぱ子供だな。
俺はビーチチェアに座り、煙草に火を着けた。
「スノウさん。ユキちゃん連れて泳いできていいですよ。俺、ここにいますんで」
「い、いいんですか?」
「ええ。忙しくてユキちゃんと遊んでないんでしょ? 今日はたっぷり遊んでやってください」
「……ありがとうございます。じゃあユキ、お母さんとあそっぼっか」
「にゃああ!!」
スノウさん、ユキちゃんも砂浜で遊び始めた。
「ふぅ~……」
平和だ。みんな、楽しそうに遊んでいる。
俺も煙草を吸い、波の音を聞きながら煙を吐き……思い出した。
「あ、そうだ。アクティビティ用の魔道具あったっけ……ちょっと持ってくるか」
俺は別荘に、遊び用の魔道具を取りに戻るのだった。
◇◇◇◇◇◇
さて、浜辺に戻ると、ビーチチェアに座ったブランシュが果実水を飲んでいた。
麦わら帽子を被り、ビーチチェアに座る姿は窓辺の令嬢っぽく見える。
「あらおじさま。ん……それは?」
「ふふふ、海を楽しむ魔道具だ」
「……ええと」
まあ、見ただけじゃわからないだろうな。
俺は波打ち際に移動。貝殻を砂の城にくっつけているユキちゃんを撫で、素潜りをしていたアオ、ロッソの元へ。
「あ、おっさんも泳ぐ? って……なにそれ」
「……筒?」
「違う違う。まあ見てろ」
俺が持っているのは、取っ手付きの筒だ。
正確には『水中スクーター』っていう魔道具だ。
双眼鏡みたいな形状で、取っ手があり、筒の部分にはプロペラが付いている。
グリップを握るとスイッチが入り、スクリューが回転する仕組み。
俺は自作のシュノーケルを付け、水中スクーターを手に、ビート板で泳ぐようなスタイルで浮かび、水中スクーターのスイッチを入れた。
「っぶぉ!?」
ミスった。
魔力を注ぎ過ぎたせいか、ジェットスキー並みの速度が出た。
魔力を絞り、そこそこの速度で進みだす。
「っぷあぁ!! よしいい感じ……水中行くぞ!!」
大きく息を吸い、俺は潜る。
すると、水中スクーターのアシストでぐんぐん海底へ。さすがに怖くなったので、五メートルほどで水平を維持し進む。
(すっげ……)
水の中は、透き通って綺麗だった。
いろんな魚が泳いでおり、グッピーみたいなのもいればタイみたいなのも泳いでる。
海底にはサンゴが生え、海藻が揺らめき、見上げると太陽の光が海水で青く輝き照らされていた。
絶景。これは感動する……が。
(っぶ……息。でも俺、こんな潜れたっけ?)
二分ほど潜っていたが、意外にも息が続いた。
ああそっか。煙草のせいか……薬草の煙草、肺を黒くするどころか、薬効成分が内臓や血を綺麗にしてくれるんだっけ。毎日吸ってるのに健康になっちまったよ。
そして浮上。
「っぷは!! はぁ、はぁ……いいね、水中スクーター、遊べそうだ」
「おっさん!!」
「おじさん!!」
「うおっ」
ロッソ、アオが目を輝かせて近づいてきた。
「めっっっっちゃ面白そう!! アタシやりたい!! 貸して貸して!!」
「ずるい。私が先」
「いいじゃん、アタシも最初がいい!!」
「だめ、私」
「えー? おじさん貸して!!」
「私に貸して」
「お、おいくっつくなって!!」
ロッソ、アオが水中スクーターを借りようと俺にしがみついてくる。
胸とかメチャクチャ当たってるんだが……こんなことになるなら、二台作ればよかった!!
地球、日本に住んでいたら絶対手に入らないであろう、大豪邸。
日本で買ったら数億じゃきかないレベル。まあ事故物件だったけど……ブランシュの浄化のおかげでゴースト系魔獣は消滅したし、部屋に飾ってある絵画の裏にお札貼ったからもう安心。
念願のリゾートバカンスが始まった!! ……と、思ったら。
「ん~……素材はエアコンドルの骨をベースに、側は密封。そして……そうだ、軽い素材ならアクアリザードの皮を加工して使うか」
現在俺は、クソ暑い地下室で魔道具開発をしていた。
部屋には大量の素材があり、加工済みの物や、これから加工する物、魔石とたくさんある。
別荘を手に入れて数日、俺は『遊ぶ』ために必要な魔道具や、生活に必要な家具をいくつも作っていた。
◇◇◇◇◇◇
最初は、単純に暑いのでエアコンを作った。
商業ギルドで必要そうな素材を大量に買い、追加料金支払って全部倉庫に入れた。
魔石もいっぱい買い、全部屋にエアコンを設置。ついでに扇風機を作り、プロペラの回転を見てシーリングファンを思いつき、さらにアクティビティ用の魔道具も作った。
「ふぅ~……いやあ、いい魔道具いっぱいできた……じゃねえ!! なんで俺こんなクソ暑い部屋で汗だくで魔道具作ってんだ!?」
海底の作業室で絶叫……ここ、窓あるけど開けられないから熱籠るんだよな。いちおう天井に換気扇みたいな穴が空いてるけど。
俺はシャツ一枚、短パン姿で地下から一階へ……すると。
「おっさーん!! ビーチで遊ばせて~!!」
ロッソの声。
玄関を開けると、ロッソにアオ、ブランシュ。そしてユキちゃんを抱っこしたスノウさんだ。
俺を見て、ロッソは顔をしかめる。
「なに疲れた顔してんの~?」
「……バカンスってこと忘れて魔道具作ってた」
「いや意味不明……ね、じゃあ一緒にあそぼ!! プライベートビーチでさ!!」
「……そうだな。遊ぶか!!」
切り替えていこう。
せっかく目の前にプライベートビーチあるんだし、遊ばないと損だ!!
と、スノウさんとユキちゃんが気になったのか見ていると、ブランシュが言う。
「実は、お二人を正式に『鮮血の赤椿』で雇うことにしましたの」
「え? 雇うって……露店は?」
首を傾げると、スノウさんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「申し訳ございません。実は……」
話を聞くと、俺の考案したスイートポテトが大人気となり、店に人が殺到。スノウさん一人では仕事が追い付かず、たまたま近くを通ったロッソたちがお手伝いしたそうだ。
スノウさん、ほとんど寝ずに仕込みをしていたせいか顔色も悪く、このままでは倒れてしまう危険があった。
なので、アオの提案で、スイートポテトの権利を商業ギルドに売ってお金にし、その後は親子でエーデルシュタイン王国に来て、『鮮血の赤椿』の拠点で住み込みの仕事をすることになったそうだ。
ブランシュが言う。
「というわけで、スノウさんとユキちゃんは、エーデルシュタイン王国で私たちの拠点のお掃除などしてもらうことになりました」
「へえ、そうなんだ」
「申し訳ございません……ゲントクさん、いただいたオーブントースターですが、商業ギルドの方がぜひ買いたいと申されまして」
「ああ、いいですよ別に。どうせ試作機ですしね」
「にゃうー」
「ははは。久しぶりだね、ユキちゃん」
ユキちゃんを撫でると、気持ちよさそうにネコミミを動かした。
さて、立ち話も何だし家の中へ。
「おっさん、着替えるから部屋借りる!! お昼だけど、外に食べに行かない?」
「待った。せっかくだし、浜でバーベキューしようぜ。バーベキューコンロ作ったんだ。食材も大量にあるぞ」
「あら、いいですわね」
「……やった」
「ゲントクさん、お世話になります」
「にゃああ」
こうして、男ひとり、女五人というある意味ハーレムな展開となるのだった。
◇◇◇◇◇◇
女性陣が着替えている間、俺はバーベキューコンロを浜に下ろす。
『バカンスに必要になるかも』と、ノリで作ったコンロが役に立つ日が来るとは。
浜には小さな倉庫みたいなのもあり、そこに椅子やテーブル、タープなどもあった。そういやパラソルってこの世界にないな……暇なとき作るか。
「おじさま~、冷蔵庫持ってきましたわ~」
「おう、感謝……」
ブランシュが、食材の冷蔵庫を丸ごと持って砂浜に出てきた。
白のワンピース。水着……でっか。いや胸部というか、十七歳とは思えんというか。
俺の視線に気づき、ブランシュは胸を隠す仕草をする。
「やだ、恥ずかしいですわ」
「す、すまんな。ははは、おっさんには刺激強いぜ」
「ふふ、お褒めの言葉ですか?」
からかっているのか、ブランシュは俺に近づいて来る。
ちなみに俺はタンクトップに短パン、ビーチサンダルに麦わら帽子という夏の田舎少年みたいな恰好だ。
「おっさーん!!」
「おじさん」
「ん、おう。お前らも水着か……」
ロッソは赤のビキニ、でっか。
アオは青の競泳水着みたいな……うん、普通サイズ。
ロッソは胸を強調するように見せつける。
「おっさん、どうどう? 色気ある?」
「ああ、いい感じだぞ。うんうん、色っぽい」
「むー、なんか子供扱いしてない? ね、アオ」
「……恥ずかしい」
アオは身体を隠すようにした……なんかそっちのがエロいな。
まあ、俺が子供であるこの子たちを意識することはない……が。
「遅れて申し訳ありません、お手伝いしますね」
「あ、はい……どうも」
人妻……未亡人はちょっとヤバイな。
スノウさん、年齢は二十六歳で猫獣人。白いロングヘアに引き締まった身体、パレオを巻いたワンピース姿なんだが……この中で一番デカいぞ。スイカ食いたくなってきた。
「にゃあう」
「あ、ユキちゃんか。ははは、水着かわいいね」
「にゃー」
ユキちゃんが足にしがみついてきたので抱っこする。うん、子供は可愛いな。
スノウさんも、俺に懐いているのが嬉しいのか笑顔だ。
「よーし!! ユキ、ブランシュ、泳ごう!!」
「ええ、久しぶりに泳ぎましょうか」
「水に関して私が負けるわけない……」
三人は駆けだした……やっぱ子供だな。
俺はビーチチェアに座り、煙草に火を着けた。
「スノウさん。ユキちゃん連れて泳いできていいですよ。俺、ここにいますんで」
「い、いいんですか?」
「ええ。忙しくてユキちゃんと遊んでないんでしょ? 今日はたっぷり遊んでやってください」
「……ありがとうございます。じゃあユキ、お母さんとあそっぼっか」
「にゃああ!!」
スノウさん、ユキちゃんも砂浜で遊び始めた。
「ふぅ~……」
平和だ。みんな、楽しそうに遊んでいる。
俺も煙草を吸い、波の音を聞きながら煙を吐き……思い出した。
「あ、そうだ。アクティビティ用の魔道具あったっけ……ちょっと持ってくるか」
俺は別荘に、遊び用の魔道具を取りに戻るのだった。
◇◇◇◇◇◇
さて、浜辺に戻ると、ビーチチェアに座ったブランシュが果実水を飲んでいた。
麦わら帽子を被り、ビーチチェアに座る姿は窓辺の令嬢っぽく見える。
「あらおじさま。ん……それは?」
「ふふふ、海を楽しむ魔道具だ」
「……ええと」
まあ、見ただけじゃわからないだろうな。
俺は波打ち際に移動。貝殻を砂の城にくっつけているユキちゃんを撫で、素潜りをしていたアオ、ロッソの元へ。
「あ、おっさんも泳ぐ? って……なにそれ」
「……筒?」
「違う違う。まあ見てろ」
俺が持っているのは、取っ手付きの筒だ。
正確には『水中スクーター』っていう魔道具だ。
双眼鏡みたいな形状で、取っ手があり、筒の部分にはプロペラが付いている。
グリップを握るとスイッチが入り、スクリューが回転する仕組み。
俺は自作のシュノーケルを付け、水中スクーターを手に、ビート板で泳ぐようなスタイルで浮かび、水中スクーターのスイッチを入れた。
「っぶぉ!?」
ミスった。
魔力を注ぎ過ぎたせいか、ジェットスキー並みの速度が出た。
魔力を絞り、そこそこの速度で進みだす。
「っぷあぁ!! よしいい感じ……水中行くぞ!!」
大きく息を吸い、俺は潜る。
すると、水中スクーターのアシストでぐんぐん海底へ。さすがに怖くなったので、五メートルほどで水平を維持し進む。
(すっげ……)
水の中は、透き通って綺麗だった。
いろんな魚が泳いでおり、グッピーみたいなのもいればタイみたいなのも泳いでる。
海底にはサンゴが生え、海藻が揺らめき、見上げると太陽の光が海水で青く輝き照らされていた。
絶景。これは感動する……が。
(っぶ……息。でも俺、こんな潜れたっけ?)
二分ほど潜っていたが、意外にも息が続いた。
ああそっか。煙草のせいか……薬草の煙草、肺を黒くするどころか、薬効成分が内臓や血を綺麗にしてくれるんだっけ。毎日吸ってるのに健康になっちまったよ。
そして浮上。
「っぷは!! はぁ、はぁ……いいね、水中スクーター、遊べそうだ」
「おっさん!!」
「おじさん!!」
「うおっ」
ロッソ、アオが目を輝かせて近づいてきた。
「めっっっっちゃ面白そう!! アタシやりたい!! 貸して貸して!!」
「ずるい。私が先」
「いいじゃん、アタシも最初がいい!!」
「だめ、私」
「えー? おじさん貸して!!」
「私に貸して」
「お、おいくっつくなって!!」
ロッソ、アオが水中スクーターを借りようと俺にしがみついてくる。
胸とかメチャクチャ当たってるんだが……こんなことになるなら、二台作ればよかった!!
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