独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~

さとう

文字の大きさ
上 下
37 / 144
第四章 海の国ザナドゥでバカンスを

別荘を手に入れた!

しおりを挟む
 織田玄徳は別荘を手に入れた!!
 地球、日本に住んでいたら絶対手に入らないであろう、大豪邸。
 日本で買ったら数億じゃきかないレベル。まあ事故物件だったけど……ブランシュの浄化のおかげでゴースト系魔獣は消滅したし、部屋に飾ってある絵画の裏にお札貼ったからもう安心。
 念願のリゾートバカンスが始まった!! ……と、思ったら。

「ん~……素材はエアコンドルの骨をベースに、側は密封。そして……そうだ、軽い素材ならアクアリザードの皮を加工して使うか」

 現在俺は、クソ暑い地下室で魔道具開発をしていた。
 部屋には大量の素材があり、加工済みの物や、これから加工する物、魔石とたくさんある。
 別荘を手に入れて数日、俺は『遊ぶ』ために必要な魔道具や、生活に必要な家具をいくつも作っていた。

 ◇◇◇◇◇◇

 最初は、単純に暑いのでエアコンを作った。
 商業ギルドで必要そうな素材を大量に買い、追加料金支払って全部倉庫に入れた。
 魔石もいっぱい買い、全部屋にエアコンを設置。ついでに扇風機を作り、プロペラの回転を見てシーリングファンを思いつき、さらにアクティビティ用の魔道具も作った。
 
「ふぅ~……いやあ、いい魔道具いっぱいできた……じゃねえ!! なんで俺こんなクソ暑い部屋で汗だくで魔道具作ってんだ!?」

 海底の作業室で絶叫……ここ、窓あるけど開けられないから熱籠るんだよな。いちおう天井に換気扇みたいな穴が空いてるけど。
 俺はシャツ一枚、短パン姿で地下から一階へ……すると。

「おっさーん!! ビーチで遊ばせて~!!」

 ロッソの声。
 玄関を開けると、ロッソにアオ、ブランシュ。そしてユキちゃんを抱っこしたスノウさんだ。
 俺を見て、ロッソは顔をしかめる。

「なに疲れた顔してんの~?」
「……バカンスってこと忘れて魔道具作ってた」
「いや意味不明……ね、じゃあ一緒にあそぼ!! プライベートビーチでさ!!」
「……そうだな。遊ぶか!!」

 切り替えていこう。
 せっかく目の前にプライベートビーチあるんだし、遊ばないと損だ!!
 と、スノウさんとユキちゃんが気になったのか見ていると、ブランシュが言う。

「実は、お二人を正式に『鮮血の赤椿スカーレット・カメリア』で雇うことにしましたの」
「え? 雇うって……露店は?」

 首を傾げると、スノウさんが申し訳なさそうに頭を下げる。

「申し訳ございません。実は……」

 話を聞くと、俺の考案したスイートポテトが大人気となり、店に人が殺到。スノウさん一人では仕事が追い付かず、たまたま近くを通ったロッソたちがお手伝いしたそうだ。
 スノウさん、ほとんど寝ずに仕込みをしていたせいか顔色も悪く、このままでは倒れてしまう危険があった。
 なので、アオの提案で、スイートポテトの権利を商業ギルドに売ってお金にし、その後は親子でエーデルシュタイン王国に来て、『鮮血の赤椿スカーレット・カメリア』の拠点で住み込みの仕事をすることになったそうだ。
 ブランシュが言う。

「というわけで、スノウさんとユキちゃんは、エーデルシュタイン王国で私たちの拠点のお掃除などしてもらうことになりました」
「へえ、そうなんだ」
「申し訳ございません……ゲントクさん、いただいたオーブントースターですが、商業ギルドの方がぜひ買いたいと申されまして」
「ああ、いいですよ別に。どうせ試作機ですしね」
「にゃうー」
「ははは。久しぶりだね、ユキちゃん」

 ユキちゃんを撫でると、気持ちよさそうにネコミミを動かした。
 さて、立ち話も何だし家の中へ。

「おっさん、着替えるから部屋借りる!! お昼だけど、外に食べに行かない?」
「待った。せっかくだし、浜でバーベキューしようぜ。バーベキューコンロ作ったんだ。食材も大量にあるぞ」
「あら、いいですわね」
「……やった」
「ゲントクさん、お世話になります」
「にゃああ」

 こうして、男ひとり、女五人というある意味ハーレムな展開となるのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 女性陣が着替えている間、俺はバーベキューコンロを浜に下ろす。
 『バカンスに必要になるかも』と、ノリで作ったコンロが役に立つ日が来るとは。
 浜には小さな倉庫みたいなのもあり、そこに椅子やテーブル、タープなどもあった。そういやパラソルってこの世界にないな……暇なとき作るか。
 
「おじさま~、冷蔵庫持ってきましたわ~」
「おう、感謝……」

 ブランシュが、食材の冷蔵庫を丸ごと持って砂浜に出てきた。
 白のワンピース。水着……でっか。いや胸部というか、十七歳とは思えんというか。
 俺の視線に気づき、ブランシュは胸を隠す仕草をする。

「やだ、恥ずかしいですわ」
「す、すまんな。ははは、おっさんには刺激強いぜ」
「ふふ、お褒めの言葉ですか?」

 からかっているのか、ブランシュは俺に近づいて来る。
 ちなみに俺はタンクトップに短パン、ビーチサンダルに麦わら帽子という夏の田舎少年みたいな恰好だ。

「おっさーん!!」
「おじさん」
「ん、おう。お前らも水着か……」

 ロッソは赤のビキニ、でっか。
 アオは青の競泳水着みたいな……うん、普通サイズ。
 ロッソは胸を強調するように見せつける。

「おっさん、どうどう? 色気ある?」
「ああ、いい感じだぞ。うんうん、色っぽい」
「むー、なんか子供扱いしてない? ね、アオ」
「……恥ずかしい」

 アオは身体を隠すようにした……なんかそっちのがエロいな。
 まあ、俺が子供であるこの子たちを意識することはない……が。

「遅れて申し訳ありません、お手伝いしますね」
「あ、はい……どうも」

 人妻……未亡人はちょっとヤバイな。
 スノウさん、年齢は二十六歳で猫獣人。白いロングヘアに引き締まった身体、パレオを巻いたワンピース姿なんだが……この中で一番デカいぞ。スイカ食いたくなってきた。

「にゃあう」
「あ、ユキちゃんか。ははは、水着かわいいね」
「にゃー」

 ユキちゃんが足にしがみついてきたので抱っこする。うん、子供は可愛いな。
 スノウさんも、俺に懐いているのが嬉しいのか笑顔だ。

「よーし!! ユキ、ブランシュ、泳ごう!!」
「ええ、久しぶりに泳ぎましょうか」
「水に関して私が負けるわけない……」

 三人は駆けだした……やっぱ子供だな。
 俺はビーチチェアに座り、煙草に火を着けた。

「スノウさん。ユキちゃん連れて泳いできていいですよ。俺、ここにいますんで」
「い、いいんですか?」
「ええ。忙しくてユキちゃんと遊んでないんでしょ? 今日はたっぷり遊んでやってください」
「……ありがとうございます。じゃあユキ、お母さんとあそっぼっか」
「にゃああ!!」

 スノウさん、ユキちゃんも砂浜で遊び始めた。

「ふぅ~……」

 平和だ。みんな、楽しそうに遊んでいる。
 俺も煙草を吸い、波の音を聞きながら煙を吐き……思い出した。

「あ、そうだ。アクティビティ用の魔道具あったっけ……ちょっと持ってくるか」

 俺は別荘に、遊び用の魔道具を取りに戻るのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 さて、浜辺に戻ると、ビーチチェアに座ったブランシュが果実水を飲んでいた。
 麦わら帽子を被り、ビーチチェアに座る姿は窓辺の令嬢っぽく見える。

「あらおじさま。ん……それは?」
「ふふふ、海を楽しむ魔道具だ」
「……ええと」

 まあ、見ただけじゃわからないだろうな。
 俺は波打ち際に移動。貝殻を砂の城にくっつけているユキちゃんを撫で、素潜りをしていたアオ、ロッソの元へ。

「あ、おっさんも泳ぐ? って……なにそれ」
「……筒?」
「違う違う。まあ見てろ」

 俺が持っているのは、取っ手付きの筒だ。
 正確には『水中スクーター』っていう魔道具だ。
 双眼鏡みたいな形状で、取っ手があり、筒の部分にはプロペラが付いている。
 グリップを握るとスイッチが入り、スクリューが回転する仕組み。
 俺は自作のシュノーケルを付け、水中スクーターを手に、ビート板で泳ぐようなスタイルで浮かび、水中スクーターのスイッチを入れた。

「っぶぉ!?」

 ミスった。
 魔力を注ぎ過ぎたせいか、ジェットスキー並みの速度が出た。
 魔力を絞り、そこそこの速度で進みだす。

「っぷあぁ!! よしいい感じ……水中行くぞ!!」

 大きく息を吸い、俺は潜る。
 すると、水中スクーターのアシストでぐんぐん海底へ。さすがに怖くなったので、五メートルほどで水平を維持し進む。

(すっげ……)

 水の中は、透き通って綺麗だった。
 いろんな魚が泳いでおり、グッピーみたいなのもいればタイみたいなのも泳いでる。
 海底にはサンゴが生え、海藻が揺らめき、見上げると太陽の光が海水で青く輝き照らされていた。
 絶景。これは感動する……が。

(っぶ……息。でも俺、こんな潜れたっけ?)

 二分ほど潜っていたが、意外にも息が続いた。
 ああそっか。煙草のせいか……薬草の煙草、肺を黒くするどころか、薬効成分が内臓や血を綺麗にしてくれるんだっけ。毎日吸ってるのに健康になっちまったよ。
 そして浮上。

「っぷは!! はぁ、はぁ……いいね、水中スクーター、遊べそうだ」
「おっさん!!」
「おじさん!!」
「うおっ」

 ロッソ、アオが目を輝かせて近づいてきた。

「めっっっっちゃ面白そう!! アタシやりたい!! 貸して貸して!!」
「ずるい。私が先」
「いいじゃん、アタシも最初がいい!!」
「だめ、私」
「えー? おじさん貸して!!」
「私に貸して」
「お、おいくっつくなって!!」

 ロッソ、アオが水中スクーターを借りようと俺にしがみついてくる。
 胸とかメチャクチャ当たってるんだが……こんなことになるなら、二台作ればよかった!!
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十
ファンタジー
異世界で何で魔法がやたら発展してるのか、よく分かったわよ。 戦争の為?。違う違う、トイレよトイレ!。魔法があるから、地球の中世ヨーロッパみたいなトイレ事情にならずに済んだらしいのよ。 で、偶然現地で見付けた微生物とそれを操る魔法によって、私、宿角花梨(すくすみかりん)は、立身出世を計ることになったのだった。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ

さとう
ファンタジー
書籍1~8巻好評発売中!  コミカライズ連載中! コミックス1~3巻発売決定! ビッグバロッグ王国・大貴族エストレイヤ家次男の少年アシュト。 魔法適正『植物』という微妙でハズレな魔法属性で将軍一家に相応しくないとされ、両親から見放されてしまう。 そして、優秀な将軍の兄、将来を期待された魔法師の妹と比較され、将来を誓い合った幼馴染は兄の婚約者になってしまい……アシュトはもう家にいることができず、十八歳で未開の大地オーベルシュタインの領主になる。 一人、森で暮らそうとするアシュトの元に、希少な種族たちが次々と集まり、やがて大きな村となり……ハズレ属性と思われた『植物』魔法は、未開の地での生活には欠かせない魔法だった! これは、植物魔法師アシュトが、未開の地オーベルシュタインで仲間たちと共に過ごすスローライフ物語。

処理中です...