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お姉ちゃん
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さて、子爵家に来ました!
部屋に案内され荷物を置くと、ユリアが「屋敷を案内するわ!」って来てくれた。
断る理由もないし、屋敷を案内してもらう。
「ね、おじいちゃん元気?」
「うん。毎日いっぱいご飯食べてるよ。お仕事忙しそうだけど、おばあちゃんとデートしたり楽しくやってる」
「そ。ふふ、また会いたいなぁ……」
「あの……ユリアお姉ちゃん、私のこと知ってるの?」
「ええ。靴磨きのアリアでしょ? おじいちゃんの靴を毎日磨いてた」
「……そう、だけど」
つまり、スラム街出身ということを知ってる。
貴族の子は、スラム街出身の子をどう思うのかな。
「まぁ、私は気にしないけどね。おじいちゃんが『すっごく聡明な子を養女にした』って手紙送って来てね、最近送ってきたのが『魔法学園に通わせる』って。それで、うちに送るから仲良くしてって」
「…………」
「ふふ、私は可愛い妹ができて嬉しい!! ね、学園でも仲良くしてね!!」
「う、うん。あれ? ユリアお姉ちゃんも学園の生徒?」
「ええ。私にも魔法適正あるからね。あ、ケイモンもだよ」
「ケイモンも……」
「同い年だし、同級生だね。ちゃんと、アリアを守るように言っておくから!!」
「う、うん」
「その前に、いろいろ勉強しないとねー」
「……べ、勉強?」
そう、魔法適正だけじゃない。
学園に行く前に、私は学ぶことがいっぱいあるようだ。
というか……学園に入学するのは、十五歳になってからみたいだしね。
◇◇◇◇◇
次の日から、私は『授業』を受けることになった。
学園入る前から授業って……まあ、仕方ない。
おじいさんに拾われて五年。私、畑や農園の手伝いとか、料理とか、好きなことばかりやってたし。
おじいさんも、私の魔法適正だけ調べるだけで終わらせるつもりだったのかもしれない。なんとなーくだけど、私はあのまま子爵領地で過ごして、町でお婿さん見つけるか、いい人のところへお嫁に行くモンだとばかり思ってた。
でも……そうは問屋が、ってヤツなのね。
「アリア、白属性ってホントなのか?」
「う、うん……」
ケイモンがそう言う。
ちなみに、ケイモンは『風』で、ユリアお姉ちゃんは『水』の適正らしい。
現在、私はケイモンと一緒に、家庭教師からいろいろ習ってる。
「いいですか。学園に入る前の準備として、覚えてもらうことがたくさんあります。礼儀作法はもちろん───」
と、家庭教師の話が延々と続く……ケイモンは普通にしてるけど、私はうんざりだった。
勉強とか、マジで嫌いだし……はぁあ。
でも、学園入る前の事前授業、貴族では当たり前だって。
学ぶこと多いんだよね……この国の歴史とか、魔法の基礎知識とか、礼儀作法とか。
「いやー、わかっちゃいるけどめんどくさいな」
「だよね!!」
ケイモン、平然と授業受けてるけど、やっぱり嫌だよね!!
ちなみに今はダンスの授業。
私はケイモンをパートナーに、ステップを踏む。
「1、2、3、はいターン!! 呼吸を合わせて!!」
先生の声に合わせてステップを踏む。
ケイモンとの距離が近い……うう、綺麗な灰色の髪、緑の瞳、整った顔立ちが近い……イケメンのくせに、全然意識せず顔を近づけないでぇ。
「なんだよ、真面目にやれって」
「や、やってるよ!! 難しいんだってば!!」
「はいそこ静かに!!」
「「す、すみません!!」」
と……こんな感じで、私とケイモンは毎日授業だった。
ちなみに、ユリアお姉ちゃんは魔法学園に通ってる。
私は、みっちり一年間、ほぼ休みなく勉強、礼儀作法、ダンスを叩きこまれ……この世界の基礎知識をなんとか手に入れた。
このプロビデンス王国がどういう国なのかも、わかってきた。
そして、一年後。
私は十五歳になり、ついに『セイファート魔法学園』へ入学することになった。
部屋に案内され荷物を置くと、ユリアが「屋敷を案内するわ!」って来てくれた。
断る理由もないし、屋敷を案内してもらう。
「ね、おじいちゃん元気?」
「うん。毎日いっぱいご飯食べてるよ。お仕事忙しそうだけど、おばあちゃんとデートしたり楽しくやってる」
「そ。ふふ、また会いたいなぁ……」
「あの……ユリアお姉ちゃん、私のこと知ってるの?」
「ええ。靴磨きのアリアでしょ? おじいちゃんの靴を毎日磨いてた」
「……そう、だけど」
つまり、スラム街出身ということを知ってる。
貴族の子は、スラム街出身の子をどう思うのかな。
「まぁ、私は気にしないけどね。おじいちゃんが『すっごく聡明な子を養女にした』って手紙送って来てね、最近送ってきたのが『魔法学園に通わせる』って。それで、うちに送るから仲良くしてって」
「…………」
「ふふ、私は可愛い妹ができて嬉しい!! ね、学園でも仲良くしてね!!」
「う、うん。あれ? ユリアお姉ちゃんも学園の生徒?」
「ええ。私にも魔法適正あるからね。あ、ケイモンもだよ」
「ケイモンも……」
「同い年だし、同級生だね。ちゃんと、アリアを守るように言っておくから!!」
「う、うん」
「その前に、いろいろ勉強しないとねー」
「……べ、勉強?」
そう、魔法適正だけじゃない。
学園に行く前に、私は学ぶことがいっぱいあるようだ。
というか……学園に入学するのは、十五歳になってからみたいだしね。
◇◇◇◇◇
次の日から、私は『授業』を受けることになった。
学園入る前から授業って……まあ、仕方ない。
おじいさんに拾われて五年。私、畑や農園の手伝いとか、料理とか、好きなことばかりやってたし。
おじいさんも、私の魔法適正だけ調べるだけで終わらせるつもりだったのかもしれない。なんとなーくだけど、私はあのまま子爵領地で過ごして、町でお婿さん見つけるか、いい人のところへお嫁に行くモンだとばかり思ってた。
でも……そうは問屋が、ってヤツなのね。
「アリア、白属性ってホントなのか?」
「う、うん……」
ケイモンがそう言う。
ちなみに、ケイモンは『風』で、ユリアお姉ちゃんは『水』の適正らしい。
現在、私はケイモンと一緒に、家庭教師からいろいろ習ってる。
「いいですか。学園に入る前の準備として、覚えてもらうことがたくさんあります。礼儀作法はもちろん───」
と、家庭教師の話が延々と続く……ケイモンは普通にしてるけど、私はうんざりだった。
勉強とか、マジで嫌いだし……はぁあ。
でも、学園入る前の事前授業、貴族では当たり前だって。
学ぶこと多いんだよね……この国の歴史とか、魔法の基礎知識とか、礼儀作法とか。
「いやー、わかっちゃいるけどめんどくさいな」
「だよね!!」
ケイモン、平然と授業受けてるけど、やっぱり嫌だよね!!
ちなみに今はダンスの授業。
私はケイモンをパートナーに、ステップを踏む。
「1、2、3、はいターン!! 呼吸を合わせて!!」
先生の声に合わせてステップを踏む。
ケイモンとの距離が近い……うう、綺麗な灰色の髪、緑の瞳、整った顔立ちが近い……イケメンのくせに、全然意識せず顔を近づけないでぇ。
「なんだよ、真面目にやれって」
「や、やってるよ!! 難しいんだってば!!」
「はいそこ静かに!!」
「「す、すみません!!」」
と……こんな感じで、私とケイモンは毎日授業だった。
ちなみに、ユリアお姉ちゃんは魔法学園に通ってる。
私は、みっちり一年間、ほぼ休みなく勉強、礼儀作法、ダンスを叩きこまれ……この世界の基礎知識をなんとか手に入れた。
このプロビデンス王国がどういう国なのかも、わかってきた。
そして、一年後。
私は十五歳になり、ついに『セイファート魔法学園』へ入学することになった。
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