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第五章 氷礫の国ウォフマナフ
氷華祭④
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さて、何も言わず去ったイズベルグ様。
そして、残された俺たち……エルサを見ると、ファウードさんの肩に手を置いていた。
「……終わった、か」
「ファウードさん。まだです、まだわかりません。イズベルグ様には、イズベルグ様の答えがある」
「だが……もう、行ってしまった。こちらを見向きもしない」
「あなたが愛したイズベルグ様を信じましょう」
マジでエルサは何なんだ? 漫画に影響を受けすぎだろ。
もうエルサは気にしない。俺はシャルネに聞く。
「おい、なんかファウードさんが気の毒だ……お前からイズベルグ様に何か言えないか?」
「何かって?」
「えと……プロポーズの返事くらいしろ、とか」
「ま、大丈夫だと思う。ってかお兄ちゃん、気付いて……ないか。男って鈍感だし」
「……???」
「ま、終わればわかるよ。さて、ファウードさんはエルサに任せて、お兄ちゃんとデートしよっかな」
「お、おい……失恋したばかりのファウードさんを置いては」
「大丈夫だって。ほら、氷華祭が終わったらまたお別れなんだし、可愛い妹とデートくらいしてよ。それに、アミュアにお土産買うんだし」
「お、おい……ああもう」
俺は、シャルネと共に美術館の外へ。
近くに露店があったので、そこでアミュアのお土産を買う。
「お兄ちゃん、アミュアとリーンベルに渡すから、何か買えば?」
「そうだな……んー」
女の子へのプレゼントは……首飾りとか定番だよな。
俺は、雪の結晶みたいな形のネックレスを取り、シャルネに渡す。
「これ、お前に」
「……は?」
「雪の結晶。お前、氷属性だし似合いそうだ」
「……あたしじゃなくて、アミュアになんだけど」
「別にいいだろ。アミュアには……これかな」
アミュアにはブレスレットを選ぶ。着飾るのがあまり好きじゃないアミュアには、派手なアクセサリーとかより、こういうシンプルなブレスレットがいい。
ネックレスをシャルネの首にかけてやる。
「うん、似合う。さっすが俺の妹」
「はぁ~……あのさ、うれしいけど、こういうことちゃんとエルサにもやってあげなよ~?」
「わ、わかってるよ」
「ふふ。でも……ありがと、お兄ちゃん」
シャルネは俺の腕に抱きつき、猫のように甘えるのだった。
なんだかデートしてるみたいだ。妹だけど。
リーンベルには……これか。
「リーンベルには、この水玉みたいなイヤリングかな。青いし、リーンベルっぽい」
「おお、いいセンスじゃん」
よし決定。
支払いを済ませ、ネックレスとイヤリングをシャルネに渡す。
「シャルネ。アミュアとリーンベルにちゃんと渡してくれよ?」
「うん。『愛してる』って言ってたって伝えとく」
「それは恥ずかしいけど……まあ、いいか」
「ちゃ~んと責任取らなきゃダメだからね?」
「わ、わかってるよ」
その後、城の周囲に並んでいた露店を巡り、シャルネと楽しい時間を過ごす。
そして、再び城の美術館に戻るのだった。
◇◇◇◇◇◇
美術館に戻ると、ファウードさんとエルサが氷像の前にいた。
ファウードさん……まだ落ち込んでいるようだ。でも、エルサが背中をポンポンして慰めている。
俺たちはファウードさんの元へ。
「……はあ」
「ファウードさん。その……元気出してください」
「大丈夫だって。お兄ちゃん、心配しすぎ。ね、エルサ」
「ええ。きっと大丈夫です」
なんでだろう……エルサもシャルネも、全然気にしていない。
俺、ファウードさんだけが気付いていない何かがあるのか?
考えていると、会場内がざわついた。
「えー、これより、六滅竜『氷』のイズベルグ様による、今年の氷華祭、最優秀賞作品の発表を始めます」
司会がそう言うと、美術館内が静かになる。
美術館の奥に設置した臨時のステージにイズベルグ様が立つ。
その姿だけで、周囲の人たちを魅了する……今更だけど、あの人すごい美人だな。
スッと目を細め、口を開け……ポツリとつぶやいた。
「ファウード。彼の作品が最優秀賞」
「え」
ファウードさんだった。
ファウードさんがガバッと顔を上げる。すると、エルサとシャルネ。
「ほら、大丈夫だった」
「やっぱりそっかー……さ、ファウードさん。前に行かないと」
「え、あ」
エルサに押され、ファウードさんは前へ。
周囲が拍手でファウードさんを迎える。だがファウードさんは信じられない物を見るようにイズベルグ様を見ながら歩いている。
そして、ステージへ。
「……イズベルグ様」
「あなたの作品、見事だったわ」
「……私と、結婚してください!!」
「……いいわよ」
嘘だろ。
マジでOKなの? ってか、なんで。
唖然とする俺。エルサが拍手をし、シャルネが続き、周囲が感化されて一斉に拍手した。
マジで意味不明だ。え、プロポーズ成功?
「レクス、イズベルグ様は氷彫刻を見た時、驚きに目を輝かせていましたよ。そして、すっごく嬉しそうに笑っていたんです。すごく嬉しかったんでしょうね」
「エルサ、お兄ちゃん鈍いから気づかないって。それに、プロポーズされてイズベルグ様、誤魔化すように返事して逃げたじゃない。顔、真っ赤にしてさ」
「き、気付かんかった……え、マジでプロポーズ成功?」
俺がそう言うと、エルサとシャルネが顔を見合わせ、同時に頷く。
そして、ステージを見た。
「あれ見て、成功じゃないって言える?」
「ふふ。ファウードさんもイズベルグ様も、幸せそうです」
ステージを見ると……ファウードさんがイズベルグ様の手を取り、しっかり握りしめて自分の胸に当てていた。
俺にもわかった。今のイズベルグ様は、照れつつも嬉しそうに見えた。
そして、残された俺たち……エルサを見ると、ファウードさんの肩に手を置いていた。
「……終わった、か」
「ファウードさん。まだです、まだわかりません。イズベルグ様には、イズベルグ様の答えがある」
「だが……もう、行ってしまった。こちらを見向きもしない」
「あなたが愛したイズベルグ様を信じましょう」
マジでエルサは何なんだ? 漫画に影響を受けすぎだろ。
もうエルサは気にしない。俺はシャルネに聞く。
「おい、なんかファウードさんが気の毒だ……お前からイズベルグ様に何か言えないか?」
「何かって?」
「えと……プロポーズの返事くらいしろ、とか」
「ま、大丈夫だと思う。ってかお兄ちゃん、気付いて……ないか。男って鈍感だし」
「……???」
「ま、終わればわかるよ。さて、ファウードさんはエルサに任せて、お兄ちゃんとデートしよっかな」
「お、おい……失恋したばかりのファウードさんを置いては」
「大丈夫だって。ほら、氷華祭が終わったらまたお別れなんだし、可愛い妹とデートくらいしてよ。それに、アミュアにお土産買うんだし」
「お、おい……ああもう」
俺は、シャルネと共に美術館の外へ。
近くに露店があったので、そこでアミュアのお土産を買う。
「お兄ちゃん、アミュアとリーンベルに渡すから、何か買えば?」
「そうだな……んー」
女の子へのプレゼントは……首飾りとか定番だよな。
俺は、雪の結晶みたいな形のネックレスを取り、シャルネに渡す。
「これ、お前に」
「……は?」
「雪の結晶。お前、氷属性だし似合いそうだ」
「……あたしじゃなくて、アミュアになんだけど」
「別にいいだろ。アミュアには……これかな」
アミュアにはブレスレットを選ぶ。着飾るのがあまり好きじゃないアミュアには、派手なアクセサリーとかより、こういうシンプルなブレスレットがいい。
ネックレスをシャルネの首にかけてやる。
「うん、似合う。さっすが俺の妹」
「はぁ~……あのさ、うれしいけど、こういうことちゃんとエルサにもやってあげなよ~?」
「わ、わかってるよ」
「ふふ。でも……ありがと、お兄ちゃん」
シャルネは俺の腕に抱きつき、猫のように甘えるのだった。
なんだかデートしてるみたいだ。妹だけど。
リーンベルには……これか。
「リーンベルには、この水玉みたいなイヤリングかな。青いし、リーンベルっぽい」
「おお、いいセンスじゃん」
よし決定。
支払いを済ませ、ネックレスとイヤリングをシャルネに渡す。
「シャルネ。アミュアとリーンベルにちゃんと渡してくれよ?」
「うん。『愛してる』って言ってたって伝えとく」
「それは恥ずかしいけど……まあ、いいか」
「ちゃ~んと責任取らなきゃダメだからね?」
「わ、わかってるよ」
その後、城の周囲に並んでいた露店を巡り、シャルネと楽しい時間を過ごす。
そして、再び城の美術館に戻るのだった。
◇◇◇◇◇◇
美術館に戻ると、ファウードさんとエルサが氷像の前にいた。
ファウードさん……まだ落ち込んでいるようだ。でも、エルサが背中をポンポンして慰めている。
俺たちはファウードさんの元へ。
「……はあ」
「ファウードさん。その……元気出してください」
「大丈夫だって。お兄ちゃん、心配しすぎ。ね、エルサ」
「ええ。きっと大丈夫です」
なんでだろう……エルサもシャルネも、全然気にしていない。
俺、ファウードさんだけが気付いていない何かがあるのか?
考えていると、会場内がざわついた。
「えー、これより、六滅竜『氷』のイズベルグ様による、今年の氷華祭、最優秀賞作品の発表を始めます」
司会がそう言うと、美術館内が静かになる。
美術館の奥に設置した臨時のステージにイズベルグ様が立つ。
その姿だけで、周囲の人たちを魅了する……今更だけど、あの人すごい美人だな。
スッと目を細め、口を開け……ポツリとつぶやいた。
「ファウード。彼の作品が最優秀賞」
「え」
ファウードさんだった。
ファウードさんがガバッと顔を上げる。すると、エルサとシャルネ。
「ほら、大丈夫だった」
「やっぱりそっかー……さ、ファウードさん。前に行かないと」
「え、あ」
エルサに押され、ファウードさんは前へ。
周囲が拍手でファウードさんを迎える。だがファウードさんは信じられない物を見るようにイズベルグ様を見ながら歩いている。
そして、ステージへ。
「……イズベルグ様」
「あなたの作品、見事だったわ」
「……私と、結婚してください!!」
「……いいわよ」
嘘だろ。
マジでOKなの? ってか、なんで。
唖然とする俺。エルサが拍手をし、シャルネが続き、周囲が感化されて一斉に拍手した。
マジで意味不明だ。え、プロポーズ成功?
「レクス、イズベルグ様は氷彫刻を見た時、驚きに目を輝かせていましたよ。そして、すっごく嬉しそうに笑っていたんです。すごく嬉しかったんでしょうね」
「エルサ、お兄ちゃん鈍いから気づかないって。それに、プロポーズされてイズベルグ様、誤魔化すように返事して逃げたじゃない。顔、真っ赤にしてさ」
「き、気付かんかった……え、マジでプロポーズ成功?」
俺がそう言うと、エルサとシャルネが顔を見合わせ、同時に頷く。
そして、ステージを見た。
「あれ見て、成功じゃないって言える?」
「ふふ。ファウードさんもイズベルグ様も、幸せそうです」
ステージを見ると……ファウードさんがイズベルグ様の手を取り、しっかり握りしめて自分の胸に当てていた。
俺にもわかった。今のイズベルグ様は、照れつつも嬉しそうに見えた。
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