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学園へ
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オークは、もういなかった。
エルクは空中で確認し、ゆっくりと下降……村の入口に自警団が集まっていたので、その近くに着地した。
自警団は、オークにロープを結んで運ぼうとしている。
リーダー格の男性がエルクに気付き、作業を中断。
「おお!! お前さんか」
「お疲れ様です。あの、周囲にオークはいませんでした。安心ですね」
「ああ。本当にありがとうよ……で、お前さん、なんのスキルだ?」
「念動力です」
「……ははは。冗談が上手いな? まぁいい。他人のスキルを詮索するのはマナー違反だしな。それより、このオークは討伐したお前さんのモンだ。どうする?」
エルクは考える。
オークは解体すれば肉になる。骨はいいダシが出るし、内蔵はちゃんと処理をすれば珍味としても美味しい。エルクは「うん」と頷いた。
「じゃ、村の皆さんで食べましょう。あの、解体は任せてもいいですか?」
「あ、ああ。だが……いいのか? 肉は売ればけっこうな金になるぞ」
「大丈夫です。じゃ、俺が運びますね」
「え」
エルクはオークに右手を向けると、オークはふわっと浮き上がる。
「どこに運びますか?」
「む、村の中央に……」
「わかりました。あ、いいこと考えた」
エルクはエマの家に左手を向け、人差し指をクイッと上げる。
すると、巨大な切り株が弧を描くように吹っ飛んできて、エルクの目の前で止まった。
エルクはオークを置き、左手を動かして切り株を回転させ、右手の指をクイクイ動かす。すると、切り株が高速で回転し、「チュイィィィィン!!」と音を立てて木屑が落ちていった。
完成したのは、巨大な切り株で作った『器』。
リーダーは愕然としていた。
「さて、これに……」
エルクは左手をオークへ向け、器の真上に持っていく。
「ちょっと借ります」
「え」
右手の指をくいっと動かすと、リーダーの腰に差してあった剣が抜け、ふわっと浮く。
エルクは指を動かすと───……剣がスパッとオークの腹を裂く。
内臓がこぼれ落ち、器を満たす。
「血、抜けろ~……と」
エルクが右手の五指をクイクイ動かすと、オークの身体がビクビク痙攣し、血がドバドバ抜けて器を満たしていく。
完全に血が抜け、空っぽとなったオークが浮いていた。
「よし。じゃあ、あとの加工はお任せします」
「……あ、ああ」
エルクは鼻歌を口ずさみながら、ふわふわ浮かぶオークと一緒に歩きだす。
リーダーは、思わず声に出した。
「あ、あの……お前さん、なんのスキル持ちだ?」
「ですから、念動力です」
エルクはにっこり微笑み、村の中央にオークを運んだ。
リーダーは、ポツリと言った。
「そういや、あの兄ちゃん……どこの家の子だ?」
◇◇◇◇◇
村の中央にオークを運び、エルクはエマの家に戻った。
家に戻るなり、エマが叫ぶ。
「エルクさん!! あのあの、切り株が吹き飛んで!! じゃなくて、オーク!! あのあの」
「お、落ち着けって。オークはやっつけた。今夜はオーク肉が喰えるぞ」
「……えっと。すーはーすーはー……はい、落ち着きました」
エマは深呼吸する。
すると、家の奥から女性が出てきた。
「エルク様、お久しぶりでございます……と言っても、私のことは覚えていないでしょうけど」
「えっと……」
「お母さん。エルクさんを困らせないの!!」
「あはは。ごめんごめん」
エマの母親、ユマだった。
ユマはスカートを持ち上げ一礼し、柔らかく微笑む。
エルクも、一礼した。
「あの、俺を知っているんですか?」
「ええ。若いころ、キネーシス公爵家にお仕えしていました」
「なるほど……じゃあ、俺を助けてくれたのは、エマと……ユマさんだったんだ」
「そうです。エマがあなたを連れてきた時には驚きました。私の弟の息子が病になり、静養させるために我が家へ連れて来たという名目にしてありますので、ご安心ください」
「……本当に、ありがとう」
エルクは頭を下げた。
エマ、そしてユマには感謝しかない。
だが、ユマが頭を下げた。
「感謝するのはこちらもです。まさか……エマが学園に通えるよう、資金援助をしてくれるとは」
「そんなこと、大したことじゃない。命の礼に比べたら、たかが金程度」
「そんなことはありません。この子はデザイナーになるのが夢でして……裁縫スキルのレベルもかなり上がりました」
「わかっている。エマはちゃんとすればきっと大成する。そのためならいくらでも」
「ありがとうございます。ありがとうございます……」
と、ここでエマが割り込んだ。
「あの、エルクさんにお母さん! そろそろお礼の言い合いはやめて!」
「お、おう」
「あはは。そうだね……よし、お茶にしようか」
「うん! わたし、手伝うね」
エルクは椅子に座らされ、エマの淹れた紅茶を飲む。
エマ、ユマも席に座り、ユマが言った。
「エルク様。これからどうするのですか?」
「ガラティーン王立学園に行くよ。平民枠での入学になるけどな」
「そうですか。確か、村長の家に願書があったはずですね……私が取りに行ってきましょう」
ユマは出ていった。
必然的に、エマとエルクの二人になる。
「あの、エルクさん」
「ん?」
「その……本当に、いいんですか?」
「なにが?」
「学園の入学です。わたしみたいなのが、入学できるんでしょうか」
「問題ないよ。確か、学園は金さえ払えば入学できる。三年間ぶんの学費をまとめて払う必要があるから、ある程度裕福な平民が一気に入学しても学園がパンクすることはないからな」
「さ、三年ぶん……」
「商人とか、騎士爵の家とか、下級貴族とかと一緒だ。願書を提出して、入学金払えば大丈夫」
エマはガバッと頭を下げた。
いきなりのことで、エルクは口に含んだ紅茶を吐きそうになる。
「エルクさん!! ありがとうございます!! わたし、がんばります!!」
「げっほげっほ……お、おお」
「あの、お礼させてください!!」
「え、いや。お礼するべきは俺で……命を救ってくれた「お礼させていただきます!!」……わ、わかりました」
エマはぐいぐいくるタイプのようだ。
◇◇◇◇◇
願書を書き、入学金を支払った。
一か月後、ガラティーン王立学園から入学式の案内が届いた。
エルク、エマは、ガラティン王国へ向かうための準備をする。
そして、あっと言う間に出発の日となった。
「お母さん……いってきます」
「しっかり勉強するんだよ」
「うん……」
ガラティン王国へ向かう馬車に荷物を載せ、エルクは母と娘の抱擁を温かい目で見ていた。
そして、ユマはエマに耳打ちする。
「いいかい。チャンスがあればヤッちゃいな」
「お、お母さん!? なに言ってんの!?」
「あはは。若いっていいねぇ」
「もう、お母さんの馬鹿!!」
エマがぷんすか怒っている。
エルクは首を傾げつつも、ユマに頭を下げた。
「本当に、お世話になりました」
「いいのさ。ここはもう、エルク様……ううん、エルクの故郷だよ。いつでも帰ってきな」
「……いいんですか?」
「ああ。息子の帰宅を望まない母親なんていないよ。エルク……エマを頼むね」
「……っ、はい」
エルクの胸に、熱い物がこみ上げてくる……だが、それを零さないように堪え、力強く返事をした。
出発の時間となり、エルクとエマは馬車に乗り込む。
「いってきまーすっ!!」
エマがユマに手を振る。
エルクも、負けじと手を振った。
「行ってきます!!───母さん!!」
エルクとエマは、村が見えなくなるまで手を振っていた。
エルクは空中で確認し、ゆっくりと下降……村の入口に自警団が集まっていたので、その近くに着地した。
自警団は、オークにロープを結んで運ぼうとしている。
リーダー格の男性がエルクに気付き、作業を中断。
「おお!! お前さんか」
「お疲れ様です。あの、周囲にオークはいませんでした。安心ですね」
「ああ。本当にありがとうよ……で、お前さん、なんのスキルだ?」
「念動力です」
「……ははは。冗談が上手いな? まぁいい。他人のスキルを詮索するのはマナー違反だしな。それより、このオークは討伐したお前さんのモンだ。どうする?」
エルクは考える。
オークは解体すれば肉になる。骨はいいダシが出るし、内蔵はちゃんと処理をすれば珍味としても美味しい。エルクは「うん」と頷いた。
「じゃ、村の皆さんで食べましょう。あの、解体は任せてもいいですか?」
「あ、ああ。だが……いいのか? 肉は売ればけっこうな金になるぞ」
「大丈夫です。じゃ、俺が運びますね」
「え」
エルクはオークに右手を向けると、オークはふわっと浮き上がる。
「どこに運びますか?」
「む、村の中央に……」
「わかりました。あ、いいこと考えた」
エルクはエマの家に左手を向け、人差し指をクイッと上げる。
すると、巨大な切り株が弧を描くように吹っ飛んできて、エルクの目の前で止まった。
エルクはオークを置き、左手を動かして切り株を回転させ、右手の指をクイクイ動かす。すると、切り株が高速で回転し、「チュイィィィィン!!」と音を立てて木屑が落ちていった。
完成したのは、巨大な切り株で作った『器』。
リーダーは愕然としていた。
「さて、これに……」
エルクは左手をオークへ向け、器の真上に持っていく。
「ちょっと借ります」
「え」
右手の指をくいっと動かすと、リーダーの腰に差してあった剣が抜け、ふわっと浮く。
エルクは指を動かすと───……剣がスパッとオークの腹を裂く。
内臓がこぼれ落ち、器を満たす。
「血、抜けろ~……と」
エルクが右手の五指をクイクイ動かすと、オークの身体がビクビク痙攣し、血がドバドバ抜けて器を満たしていく。
完全に血が抜け、空っぽとなったオークが浮いていた。
「よし。じゃあ、あとの加工はお任せします」
「……あ、ああ」
エルクは鼻歌を口ずさみながら、ふわふわ浮かぶオークと一緒に歩きだす。
リーダーは、思わず声に出した。
「あ、あの……お前さん、なんのスキル持ちだ?」
「ですから、念動力です」
エルクはにっこり微笑み、村の中央にオークを運んだ。
リーダーは、ポツリと言った。
「そういや、あの兄ちゃん……どこの家の子だ?」
◇◇◇◇◇
村の中央にオークを運び、エルクはエマの家に戻った。
家に戻るなり、エマが叫ぶ。
「エルクさん!! あのあの、切り株が吹き飛んで!! じゃなくて、オーク!! あのあの」
「お、落ち着けって。オークはやっつけた。今夜はオーク肉が喰えるぞ」
「……えっと。すーはーすーはー……はい、落ち着きました」
エマは深呼吸する。
すると、家の奥から女性が出てきた。
「エルク様、お久しぶりでございます……と言っても、私のことは覚えていないでしょうけど」
「えっと……」
「お母さん。エルクさんを困らせないの!!」
「あはは。ごめんごめん」
エマの母親、ユマだった。
ユマはスカートを持ち上げ一礼し、柔らかく微笑む。
エルクも、一礼した。
「あの、俺を知っているんですか?」
「ええ。若いころ、キネーシス公爵家にお仕えしていました」
「なるほど……じゃあ、俺を助けてくれたのは、エマと……ユマさんだったんだ」
「そうです。エマがあなたを連れてきた時には驚きました。私の弟の息子が病になり、静養させるために我が家へ連れて来たという名目にしてありますので、ご安心ください」
「……本当に、ありがとう」
エルクは頭を下げた。
エマ、そしてユマには感謝しかない。
だが、ユマが頭を下げた。
「感謝するのはこちらもです。まさか……エマが学園に通えるよう、資金援助をしてくれるとは」
「そんなこと、大したことじゃない。命の礼に比べたら、たかが金程度」
「そんなことはありません。この子はデザイナーになるのが夢でして……裁縫スキルのレベルもかなり上がりました」
「わかっている。エマはちゃんとすればきっと大成する。そのためならいくらでも」
「ありがとうございます。ありがとうございます……」
と、ここでエマが割り込んだ。
「あの、エルクさんにお母さん! そろそろお礼の言い合いはやめて!」
「お、おう」
「あはは。そうだね……よし、お茶にしようか」
「うん! わたし、手伝うね」
エルクは椅子に座らされ、エマの淹れた紅茶を飲む。
エマ、ユマも席に座り、ユマが言った。
「エルク様。これからどうするのですか?」
「ガラティーン王立学園に行くよ。平民枠での入学になるけどな」
「そうですか。確か、村長の家に願書があったはずですね……私が取りに行ってきましょう」
ユマは出ていった。
必然的に、エマとエルクの二人になる。
「あの、エルクさん」
「ん?」
「その……本当に、いいんですか?」
「なにが?」
「学園の入学です。わたしみたいなのが、入学できるんでしょうか」
「問題ないよ。確か、学園は金さえ払えば入学できる。三年間ぶんの学費をまとめて払う必要があるから、ある程度裕福な平民が一気に入学しても学園がパンクすることはないからな」
「さ、三年ぶん……」
「商人とか、騎士爵の家とか、下級貴族とかと一緒だ。願書を提出して、入学金払えば大丈夫」
エマはガバッと頭を下げた。
いきなりのことで、エルクは口に含んだ紅茶を吐きそうになる。
「エルクさん!! ありがとうございます!! わたし、がんばります!!」
「げっほげっほ……お、おお」
「あの、お礼させてください!!」
「え、いや。お礼するべきは俺で……命を救ってくれた「お礼させていただきます!!」……わ、わかりました」
エマはぐいぐいくるタイプのようだ。
◇◇◇◇◇
願書を書き、入学金を支払った。
一か月後、ガラティーン王立学園から入学式の案内が届いた。
エルク、エマは、ガラティン王国へ向かうための準備をする。
そして、あっと言う間に出発の日となった。
「お母さん……いってきます」
「しっかり勉強するんだよ」
「うん……」
ガラティン王国へ向かう馬車に荷物を載せ、エルクは母と娘の抱擁を温かい目で見ていた。
そして、ユマはエマに耳打ちする。
「いいかい。チャンスがあればヤッちゃいな」
「お、お母さん!? なに言ってんの!?」
「あはは。若いっていいねぇ」
「もう、お母さんの馬鹿!!」
エマがぷんすか怒っている。
エルクは首を傾げつつも、ユマに頭を下げた。
「本当に、お世話になりました」
「いいのさ。ここはもう、エルク様……ううん、エルクの故郷だよ。いつでも帰ってきな」
「……いいんですか?」
「ああ。息子の帰宅を望まない母親なんていないよ。エルク……エマを頼むね」
「……っ、はい」
エルクの胸に、熱い物がこみ上げてくる……だが、それを零さないように堪え、力強く返事をした。
出発の時間となり、エルクとエマは馬車に乗り込む。
「いってきまーすっ!!」
エマがユマに手を振る。
エルクも、負けじと手を振った。
「行ってきます!!───母さん!!」
エルクとエマは、村が見えなくなるまで手を振っていた。
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