582 / 587
ズボラライフ2 ~新章~
132.魔物退治
しおりを挟む「魔物退治~?」
「そう。ギルドが魔石の買取り始めたらしくて、魔物を倒すと主に宝石がドロップされるでしょう。あれって、魔力のこもった魔石でもあるから、どうかなぁって」
店の服を畳みながらトモコにギルドでの事を話せば、トモコの目が輝いた。
「やるに決まってるよ!!」
だよね。
「まずはスライムとか倒せば良いのかな!?」
「トモコ、スライムは魔物じゃないよ」
「へ?」
いまいち分かっていないトモコに、この世界を作った私から説明してあげよう。
「まず、魔物と魔獣の違いは分かるかな?」
「えーっと、魔物はマイナスのエネルギーが集まって出来た存在で、魔獣は魔力がある獣?」
「そう。ざっくり言えばそんな感じ。でも、魔石はどちらの身体の中にも存在します」
「え~? なに、どういう事~??」
そもそも魔石とは、魔力が結晶化したものの事を指す。
魔力がある全ての者は、長年をかけて魔力のカスのようなものが溜まっていき、身体の中で結晶化するのだ。
「ここまではいい?」
「うん。なんとなく分かる。魔物も魔獣も人間も、皆魔石は体内に出来るって事だよね!」
「そう。ただ、魔物は違うところがあってね……」
魔物は負のエネルギーが集まって形になったものだ。その際、負のエネルギーのコアのようなものが出来るのだが、それはまだ魔石ではない。負のエネルギーと魔力とは少し違うものだからだ。
「え!? そうなの?」
「うん。魔物が倒された時に、そのコアも霧散するんだけど、そのエネルギーを利用して、魔力に変換させたものが魔力の含んだ宝石としてドロップされるんだよ」
「へぇ~。あれ? 霧散したコアのエネルギーって、みーちゃんがドロップアイテムにしなかったら、魔素になって世界に戻るの?」
「ううん。魔素っていうのは、魔力の素だと思ってるかもしれないけど、この世界全てを構築する素なんだよ。だから、負のエネルギーも元々魔素が変化して出来たと思ってくれたらいいかな。魔素が変化して出来たものは、そこから変化する事は出来ても、元の姿に戻る事は出来ないの」
「んん??」
「えーっと、例えば目玉焼きを作っても、そこからロコモコ丼にしたりは出来るけど、元の卵には戻せないでしょ」
「おおっ なるほど~!」
「人が死んだら生き返らせる事は出来ないのと同じで、コアが霧散したらそのまま消えてしまうんだよ。でも、消える前に変化させる事は可能だから、ドロップアイテムに変化させたって事」
「ほうほう」
ちょっと話がズレちゃったな。
「話を戻すけど、トモコが言ったスライムは負のエネルギーからは出来てないの」
「じゃあ、スライムは魔獣?」
「分類としてはそうだね」
「あれ~? じゃあなんで魔物扱いされてるんだっけ?」
「魔物も魔獣も全部を“魔物”って呼んでるのは人間だよ」
「そっかぁ!! 紛らわしいなぁもう!」
でも今言った事、全部ヴェリウスが新神勉強会で教えてるって言ってたような……。
「ヴェリーさんの講義は、言い回しが難しくてよく分からないんだもん~。ロードさんだって、あれ、目を開けたまま寝てたよ。絶対!」
それはそれで見てみたい。
「一度新神の勉強会に参加してみるべきかなぁ」
「それいい! みーちゃんが来てくれたら、ヴェリーさんも無茶振りしてこないかもしれないし!!」
え゛、一体何させられてるの?
「まぁ、また勉強会ある時は教えてね」
「オッケー!! 神王様サプライズ登場ね!」
そんな事より、魔物退治の話に戻すよ。
「てかさ、魔物ってそもそもどこにいるの~?」
「そこだよね。この間ルマンドに人型の魔物が現れたでしょ」
「うん。みーちゃんがあのヤバい色の玉作って誘き寄せたアレね」
「そう。逃げられたみたいだけど、人型がいるって事は、魔物が増殖してるって事。だから人間が居るところなら何処に現れてもおかしくないんだよ」
「え!? 街中にいる可能性もあるの!?」
そうなのだ。人型、もしくは何か別の物に擬態して、潜んでいる可能性が高い。
「ルマンド王都ヤバくない!?」
「あ、そこは大丈夫。あの時ルマンド王都の人達から、負のエネルギーを集めたでしょ。だから王都にいる人達の負のエネルギーは今弱いの。餌が無い所に魔物は現れないから、ルマンド王都に居る可能性は低いかな」
ただ、フォルプローム国が気になるんだよね……。
「みーちゃんは、魔物はフォルプロームに居るって考えてるの?」
「うん。あの国の代表を見る限り、ね……」
「ああ~。あれ、酷かったよね~」
だから、魔物退治にフォルプロームへ行きませんか? そうトモコを見ると、「装備を一新するぞー!」と叫んでいた。
21
お気に入りに追加
2,526
あなたにおすすめの小説
幼女公爵令嬢、魔王城に連行される
けろ
恋愛
とある王国の公爵家の長女メルヴィナ・フォン=リルシュタインとして生まれた私。
「アルテミシア」という魔力異常状態で産まれてきた私は、何とか一命を取り留める。
しかし、その影響で成長が止まってしまい「幼女」の姿で一生を過ごすことに。
これは、そんな小さな私が「魔王の花嫁」として魔王城で暮らす物語である。
乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ
弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は、たった今をもって解消させてもらう!!』
国のこれからを背負う若者たちが学院を卒業することを祝って開かれた舞踏会の日、めでたい筈のその席に響いた第一皇子の声を聞いた瞬間、私の頭にこの場面と全く同じ“ゲーム”の場面が再生された。
これ、もしかしなくても前世でやり込んでた乙女ゲームの終盤最大の山場、“断罪イベント”って奴じゃないですか!?やり方間違ったら大惨事のやつ!!
しかし、私セレスティア・スチュアートは貧乏領地の伯爵令嬢。容姿も社交も慎ましく、趣味は手芸のみでゲームにも名前すら出てこないザ・モブ of the モブ!!
何でよりによってこのタイミングで記憶が戻ったのか謎だけど、とにかく主要キャラじゃなくてよかったぁ。……なんて安心して傍観者気取ってたら、ヒロインとメインヒーローからいきなり悪役令嬢がヒロインをいじめているのを知る目撃者としていきなり巻き込まれちゃった!?
更には、何でかメインヒーロー以外のイケメン達は悪役令嬢にぞっこんで私が彼等に睨まれる始末!
しかも前世を思い出した反動で肝心の私の過去の記憶まで曖昧になっちゃって、どっちの言い分が正しいのか証言したくても出来なくなっちゃった!
そんなわけで、私の記憶が戻り、ヒロイン達と悪役令嬢達とどちらが正しいのかハッキリするまで、私には逃げられないよう監視がつくことになったのですが……それでやって来たのが既に悪役令嬢に攻略され済みのイケメン騎士様でしかも私の初恋の相手って、神様……これモブに与える人生のキャパオーバーしてませんか?
私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。
乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら
3年前にも召喚された聖女ですが、仕事を終えたので早く帰らせてもらえますか?
せいめ
恋愛
女子大生の莉奈は、高校生だった頃に異世界に聖女として召喚されたことがある。
大量に発生した魔物の討伐と、国に強力な結界を張った後、聖女の仕事を無事に終えた莉奈。
親しくなった仲間達に引き留められて、別れは辛かったが、元の世界でやりたい事があるからと日本に戻ってきた。
「だって私は、受験の為に今まで頑張ってきたの。いい大学に入って、そこそこの企業に就職するのが夢だったんだから。治安が良くて、美味しい物が沢山ある日本の方が最高よ。」
その後、無事に大学生になった莉奈はまた召喚されてしまう。
召喚されたのは、高校生の時に召喚された異世界の国と同じであった。しかし、あの時から3年しか経ってないはずなのに、こっちの世界では150年も経っていた。
「聖女も2回目だから、さっさと仕事を終わらせて、早く帰らないとね!」
今回は無事に帰れるのか…?
ご都合主義です。
誤字脱字お許しください。
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる