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番外編
創造主達の集まり ~突きつけられた衝撃の事実~
しおりを挟む━━双子が産まれる少し前のお話━━
“地球の”創造主視点
『あーーーッ 何で他の世界だと“器”が持って来れねぇんだよ!! せっかく若い女が好むお洒落な“器”に変えたってのによぉ!!』
『うるさいよ。“調味料の”。恨むなら、常識を忘れて浮かれきっていた自分の鳥頭を恨むんだね』
『うるっせぇのはお前だよ!! “動物の”!!』
『こら二人共、“魔法の”の空間で騒がないの』
“魔法の”に会えると浮かれている二人を宥めながら、私達は久々に“魔法の”の世界の空間にやってきていた。
『“魔法の”はまだ来ねぇのか!?』
『君は本当に“魔法の”が好きだねぇ』
『ばッ、おま…ッ、お、オレはそ、そんなんじゃ…っ』
“調味料の”は私達想像主にしては珍しい、感情を表に出す者だ。私達創造主は、魂の状態になると感情の起伏というものがあまり無いものだが、“調味料の”はその状態でもこのように感情が表に出てくる。
さらにそれは周りに伝染するように拡がり、普段口数の少ない“動物の”まで感情を引きずられている。
多分“調味料の”はそういった能力に長けているのだろう。
『さぁ、もうそろそろ“魔法の”が来る頃だよ』
“魔法の”は創造主では初めてであろう“ただ人”に、一度転生してしまった。人の生を歩んでしまった為か、はたまた別に理由があるのか、創造主ではありえない“つがい”を得てしまった珍しい者だ。
“調味料の”も“動物の”もまだその事を知らないが、知った時の衝撃は大きいだろう。特に“調味料の”は…。
「━━…あれ、もう皆来てたの?」
私の創った地球で使用していた身体でやって来た“魔法の”は、きょとんとした顔で私達を見て、「早いねぇ」と微笑み“調味料の”を挙動不審にしている。
『“調味料の”が張り切っちゃってね』
『ウザイよね』
私と“動物の”が“調味料の”をからかうと、『お前らぁ!!』と反応してくる。そんな所がからかわれる一番の原因だというのに。
「“調味料の”が…そうだったね。お前が私を地球に堕とした原因だった」
『う゛…っ』
“魔法の”は思い出したように“調味料の”を睨むと責めだした。これは仕方ない事だ。悪気がないとはいえ、“魔法の”の世界と、“魔法の”自身を殺しかけたのだから。
甘んじてその責めを受けてもらわなくてはならない。
『悪かった…酔ってたとはいえ、お前とお前の世界を危険な目に合わせたんだ。許してもらえるなら何でもやる』
あぁ…何でもやるって言っちゃった。
“魔法の”を見ると、案の定困惑した顔をしている。
「何でもって…まぁ、思い出した時は正直腹が立ったのは事実だけど、あれがあったから今があるかなぁって思ってるよ」
『え?』
“魔法の”の表情は驚く程穏やかで、前に“調味料の”に宛てたあの殺気が伝わってくるような手紙を書いた張本人とは思えない。
「とりあえず、折角来てもらったし、お茶にしようか」
“魔法の”の空間は途端に、美しい森と湖を臨むバルコニーに変わり、モジュール式の屋外用ソファと、それに合わせたお洒落な机が現れた。
魂だけの存在である私達には無用の長物ではあるが、気分だけでもという事だろう。
折角なのでソファの上に移動させてもらう。
「今回はお酒は無しで、ね」
『そうだね。誰かさんに堕とされたら堪らないしね』
怒ってはいなさそうなのにチクチクといじめる“魔法の”は、相変わらず良い性格をしている。それにのる“動物の”も相当だが。
『こらこら。そんなに虐めてやらないの。“調味料の”も君を地球に堕としてしまってからは禁酒して大分反省もしているんだし』
“地球の”は甘いね。等と“動物の”に言われながら用意されたお茶を口に(実際には魂だけだからないが)含む。
「今日集まってもらったのは皆に報告があったからなんだ」
お茶を飲んで落ち着いたところで、“魔法の”が口を開いた。
そう。今回の集まりは“魔法の”に呼ばれたからだ。
『“調味料の”を滅する為に呼び出したわけじゃないんだね』
『おいぃぃ!! 止めろって!! “魔法の”が本気にしたらどうすんだ!!!!』
“調味料の”が慌てて“動物の”の口(無いけれど)を塞いでいるのが、なんとも滑稽でクスリと笑いが漏れてしまった。
「最初はそう思ってたけどね」
『滅するのだけは止めてくれぇぇ!!!!』
ひえぇ!! と声を上げて私の後ろに隠れる“調味料の”はわりと本気で怯えている。
「最初はって言ったでしょ」
大きく息を吐いた“魔法の”は、少しの間沈黙するとゆっくりと話し出した。
「あ~…あのさ、私…妊娠したんだよね」
頬をぽりぽりと引っ掻きながら、恥ずかしそうに吐いた言葉に、その場にいた誰もが声を失った。
“つがい”が居る事もだが、創造主が妊娠するなど聞いたことのない話だからだ。
『ぇ…………えぇェェェェェェ!!!!!?』
“魔法の”の空間に、“調味料の”の絶叫が響き渡ったのは、その数十秒後だった。
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