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第五章
もしかして…
しおりを挟む『この世にある生物には皆“核”と呼ばれるものが存在します。人や神、神王様にも魂という“核”がありますよね。それが魔石にも存在し、研磨する事によって“核”が出て来てしまったのでしょう』
「つまり私は、魔石の恥ずかしい部分まで露出させてしまったのか!!」
久々のヴェリウス先生の授業を聞きながら、石というより宝石のように綺麗な魔石を見る。
「ま、いっか。より綺麗になっただけだし」
『…そうですね。ではその石に私の神力を注ぎますね』
「お願いしまーす」
0.2カラットあるかないかの石を二つヴェリウスの前に出し、神力を込めてもらう。
『これは…』
石に神力を込めているヴェリウスがほんの少し目を見開く。
「どうしたの?」
『いえ…王宮の水晶の時も思ったのですが、研磨後の方が神力が注ぎやすい気がします』
「へぇ、もしかしたら使う時も発動? しやすいかも?」
発動の方法知らないけどさ。
いやね、この世界創ったのは私だけど、魔石は副産物といいますか? 私にもよくわからないモノは結構あるんです。
『ふむ…研磨すればより核に近づくからか…興味深いな』
そう呟くヴェリウスは、ジュリアス君やトモコと同じような目をしていた。
「おおっ小さいけど、魔法研究所の水晶より綺麗!!」
神力を注ぎ終えた石は、よりクリアな青銀色に輝き、氷の結晶と相まって神秘的である。
「青銀色だけならブリリアントカットにした方がより綺麗だけど、氷の結晶があるから、ここままの方がいいよね」
うんうんと一人頷いてから、イヤーカフのデザインを考える。
ヴェリウスは長毛の大型犬だからメンズ用の太めのチューブ型が良いだろうか…いやいや、ヴェリウスは女の子だから女の子らしいデザインの方が好きなのではないだろうか。
この後色々考えて、シルバーのひねり三連フープの石付きイヤーカフに石を付ける事にしたのだ。
「バンドメイドっぽくて可愛いでしょ」
ヴェリウスの片耳に着けてあげると、セレブ犬のようになってしまった。
『ミヤビ様っありがとうございます!!』
鏡を見せてあげると、飛び上がって喜び私の周りをくるくる回る。
「ぅわっ、ヴェリウス、ちょ、ぎゃあっ」
ヴェリウスが足元をぐるぐるするものだから私の方が目が回って倒れてしまった。そこへ飛び付いてきたヴェリウスの後ろ足にお腹を踏まれぐぇっと声が出てしまう。
『ん? ミヤビ様…』
突然ヴェリウスのテンションが通常に戻り、ゆっくりと私の上から退けると何故かお腹の匂いを嗅ぎ始めたのだ。
「ヴェリウス? どうしたの??」
『…やはり、』
真剣な顔をしたヴェリウスは、今度は片足(前足)を私のお腹の上にそっと乗せて神力を流しているようだ。
「何? 何かあったの?」
『…ミヤビ様、よく聞いて下さいーー…』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロード視点
バタバタしていたが、日が沈んだ頃にやっと執務室へ帰ってこれた。しかしそこに待っているはずのミヤビの姿がない。
「…深淵の森へ帰ってやがる」
結婚指輪で居場所を特定した俺は、すぐ連れ戻そうと転移扉に足を向けたのだが、その瞬間執務室の扉がノックされたのだ。
仕方なしに「入れ」と指示すると、勢いよく扉が開きトモコとジュリアス、そして何故か魔法研究所のジジィとその助手がなだれ込んできやがった。
「!? 一体どんな組み合わせだよっ」
あり得ねぇ組み合わせに、ミヤビが関わっている気がしてならねぇ。
アイツ今度は魔法研究所で何かしやがったのか!?
「ロードさん!! 魔石の新たな事実を発見したよ!!」
「魔石を研磨すると魔力を注ぎ込む時間を短縮できる上、使用時の魔石の反応が僅かだけど早まったんだぜ!!」
どうだすげぇだろ!! という顔で俺を見てくるトモコとジュリアスに、突然の事で何も言えねぇ。
一体何なんだコイツら。
「この世界に“魔石”という素晴らしいものが存在するとは!! ロード殿、私はこの石の研究を続けたいと思う!! そこで是非、研磨後の魔石に君の魔力を込めてくれんかね!?」
「闇魔法は希少で、貴方しかいないんです!!」
ジジィ共はジジィ共でまた人の魔力を狙って来てんのか!! いい加減にしろよ…って、今コイツら“魔石”っつったか?
「…おい、トモコ…ジュリアス。どうしてジジィ共が“魔石”の事を知ってやがる」
自分でも分かる位ドスの効いた声に、ビビるでもなく答えるトモコは相当神経が図太いらしい。
「え~? 私達が来た時には知ってたよ? 魔石って単語も、どういう石かも」
「神……ミヤビ様と顔見知りのようだったぜ? てっきりこっち側に引き入れた奴かと思ってたけど…」
ジュリアスは訝しげに俺を見た。
て事ぁ、やっぱりミヤビか。
あのヤロー…またやらかしやがったな!!
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