上 下
251 / 587
第四章

ラッキースケベ?

しおりを挟む


「んん? ルーベンスさんは信仰している神様は魔神ですか?」
「自身の種族を管理されている神を敬うのは当然だろう」

魔神がバイリン国にあると聞いて大層な驚き方をしたので一応聞いてみれば、当たり前の事を聞くなと言わんばかりの表情で答えられた。

「じゃあなんで魔神の神域を知らなかったんですか?」
「どの神々の神域かなど、人間には分からないのだが」
「そうなんですか? まぁ知っても大したことじゃないか」

神々の居場所など知っても、来年はそこへ旅行に行こうかなぁ位の指標にしかならないだろうと思っていたら、ルーベンスさんの目がカッと見開いた。

「大したことではないだと? 君は自分が何を言っているのか理解しているのかね」
「え?」
「自身の種族神というのは我々人間にとって一番大切な神なのだぞ。神を蔑ろにした者がどのような末路を辿ったか…」

この世界の神様って人間への影響力がありすぎて怖い。

「でもそれと自分の種族神の神域を知ることって関係ない気が…」

言えばルーベンスさんは大きな溜め息を吐いた。
やれやれという様子に小首を傾げる。

「ミヤビ殿も言っていただろう。神域の前で祈ればより強い祝福を貰えると」
「はぁ…まぁ言いましたけど、それは年末年始だけでは?」
「分からないかね? 神域前で祈れば、それだけ神に自身の願いを届けやすいという事だ。しかも自身の種族の神ならば尚更だな」
「他の神の神域前で祈っても変わらないのでは??」
「大違いだ。神は自分の管理する人間にしか興味がないからな」
「そう言われればそう、かなぁ?」

ルーベンスさんの言うとおりのような、違うような…? 私の周りには特殊な神しかいないからよくわからない。ヴェリウスに聞けば分かるかもしれないが。

「つまり自身の種族神の神域近くに国を建てれば繁栄を約束されたようなものだ」
「へぇ…あっでもこの国は私の神域のそばにあるから、きっと繁栄するね!!」
「…君の神域のそばというのが一番不安だが」
「失礼なっ」

こう見えて神王なんだぞ!? と思いつつも自分が名ばかりの神王である事は分かっているので口には出さない。
しかし、人間が自分の神の神域を知らないのには驚いた。

「君は神としての仕事をしなくてもいいのかね」
「え? 私は大丈夫です」
「何が大丈夫なのか理解出来ないのだが?」
「私はほら、アレです。まだ新米なのでいいんです。だって生まれたの3年前ですよ。未成年は働いたらダメです」
「ふむ…神にもそのような決まりがあるのか」

納得してくれたようで何よりだ。

「さて、挨拶回りは今日中に終わらせないといけないのでそろそろ行きますね」
「そうかね。粗相の無いようにな」
「はい。あ、良かったら残りは奥様にどうぞ」
「ふむ。遠慮なく頂こう。君の持ってきてくれる物は絶品だからな。妻達も喜ぶだろう」

そんな会話をして私はルーベンスさんの部屋からリンの所へ転移したのだった。

「ーー…バイリン国に……」

苦し気な表情でそう呟く姿に気付かずに…。


◇◇◇


「「「ぎゃあぁぁぁ!!!?」」」

リンの居る所に転移。と願ったのが悪かったのか、タイミングが悪かったのか、周りを見ればムキムキの筋肉祭り。
そう。ここは湯けむりたつ大浴場。
どうやら騎士団の詰所内にあるお風呂場のようで、もくもくとたつ湯けむりの中にマッチョの男達が胸と下半身を抑えてこちらを見ている様が何とも痛々しい。

「痴女オォォォォ!!!?」

誰かが、目を剥いて叫んでいる。
それもそのはず。私の目の前には裸に下半身をタオル一枚で覆ったまだ成長過程の痩身がエロいリン君が立っていたのだ。
しおりを挟む
感想 1,620

あなたにおすすめの小説

二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。 ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。 加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。 おまけに女性が少ない世界のため 夫をたくさん持つことになりー…… 周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。 沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。 だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。 モブなのに魔法チート。 転生者なのにモブのド素人。 ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。 異世界転生書いてみたくて書いてみました。 投稿はゆっくりになると思います。 本当のタイトルは 乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜 文字数オーバーで少しだけ変えています。 なろう様、ツギクル様にも掲載しています。

異世界細腕奮闘記〜貧乏伯爵家を立て直してみせます!〜

くろねこ
恋愛
気付いたら赤ん坊だった。 いや、ちょっと待て。ここはどこ? 私の顔をニコニコと覗き込んでいるのは、薄い翠の瞳に美しい金髪のご婦人。 マジか、、、てかついに異世界デビューきた!とワクワクしていたのもつかの間。 私の生まれた伯爵家は超貧乏とか、、、こうなったら前世の無駄知識をフル活用して、我が家を成り上げてみせますわ! だって、このままじゃロクなところに嫁にいけないじゃないの! 前世で独身アラフォーだったミコトが、なんとか頑張って幸せを掴む、、、まで。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

波間柏
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

処理中です...