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第三章

胸は枕ではない。そしてR18でもない。

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「あぅ…あ、今日は収穫祭かも!! 村の畑の作物がそろそろ収穫出来るし!! だから今夜はダメかも」

顔や首筋、鎖骨等にキスをされ、服を乱され、執務室だというのにいやらしい空気か漂い始めた頃、ハッと思い出した村の事をロードに告げると、片眉を器用にピクリとはねあげて、「あ゛?」とドスの利いた声で返事をされた。

「ウチの裏手に珍獣達が村を作りたいって言うから許可を出したら、農場も家もあっという間に建てちゃって、ロードが居ない間に村が7割は出来上がったから」
「あ゛ぁ゛?」

さらにドスを利かせてすごんでくるので腰を引くと、力強く引き寄せられた。

「今、村つったか?」

ロードの分厚い胸板と、ぶっとい腕に挟まれて身動き出来なくなったが、離してくれそうもないので話を続ける。
せめて乱れた服は整えたかった。

「ヴェリウスから、珍獣達が村を作りたがってるって教わったんだけど…」

暗にヴェリウスのせいにすれば、ロードの顔が強張り、次いで諦めたように遠い目をしたのだ。

「オメェは…どうして俺が居ねぇうちにこうも色々行動もんだいを起こしてんだ」

頭が痛いと言いながら呆れられるが、やはり腕の力はゆるまない。

「村は私が行動したわけじゃないんだけど」
「似たようなもんだろうが」

頬をつねられ伸ばされるので、止めろと叫ぶがどこ吹く風だ。「りょーどしゃん、やめへくらはい」と丁寧にお願いすれば、そのうちニヤニヤしだしたので、何かがツボに入ったらしい。

「もーッ いはい(痛い)!!」

ニヤニヤした顔に腹が立ち文句を言えば、突然口を塞がれた。ロードの唇で。

「ん…、」

つねられていたほっぺたはいつの間にかその太い指で撫でられ、首をつたい、服にかかった。
ゆっくりとボタンを外されて……


「っ…ふ、はぁっ まだ、夜っ じゃない!」

どう考えても致そうとしたロードを力の限り押し返すと、夜ではないのだからと必死でいさめる。
さっきからロードの手が不埒な動きをしすぎだ。

「くくっ 悪ぃ。ミヤビの反応がつい可愛くてなぁ」

愛しそうに目を細めるので、恥ずかしくなってくる。

「からかわないで下サイ。こっちは慣れてないモンデ」

ギギ…ッとロボットのように顔をそらせば、開いたブラウスの胸元に顔を寄せられて頬擦りされた。

髪の毛が肌にあたってくすぐったい。
硬めの毛質でも、やはり髪の毛だけあってふわふわしている。
お疲れのようなので、よしよしと頭を撫でてあげると、ますます胸に顔を埋めてきた。
息が出来ているのだろうか?

「ロード、眠いの?」
「……」

胸に顔を埋めたまま動かなくなったので、眠いのかと聞いて見れば返事がない。まさか寝てしまったのかと顔を見ようとするが見えるわけもなく、おーいと声をかけてもやはり返事は返ってこないので、寝てしまったのだと判断した。

「どうすればいいのだろうか」

胸に凭れかかって眠るとは聞くが、胸に顔を埋めて眠るなど聞いた事がない。端から見れば立派な変態だろう。
こんな所を誰かに見られでもしたら、ロードが変態扱いされるか、悪ければ仕事中につがいを誘ったバカ女扱いである。
例え引きこもりでこれから誰にも会わないという事であっても、そんな事は思われたくないのが人というものだ。
例に漏れず私も仕事中に誘うバカ女に見られるのは勘弁していただきたい。

したがって、誰に見られるともしれない執務室は勿論、自分のウチに帰るのすら躊躇われるのが現状なのだ。
ならば残る選択は隊舎のロードの部屋か、天空神殿の日本建築ゾーン(自分の部屋)なのだが…隊舎の寝室は埃をかぶっていたはず。という事は、天空神殿しか選択肢はない。

そう思い、ロードを胸に埋めたまま天空神殿に移動したのが間違いだったのか……。

まだ日の出ているうちから、鼻血を垂らしたロードに押し倒される事となった。しかも畳の上に。
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