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第三章

魔石の活用法

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「トモコ…何その格好」

木で出来たヘルメットを被り、ニッカポッカをモデルのように着こなしたトモコがランウェイの如く掘られた溝を歩いて登場した。

「ニッカポッカに編み上げブーツを合わせてオシャレに着こなしました!!」
「うん。木で出来たヘルメットをしている時点でオシャレさは半減だね」
『何をやっておるのだ…』

ヴェリウスはあきれ半分に、私は遠い目をしてトモコの相手をする。

「ちょっと2人共!! この天才的な発明をしたトモコ様になんていう態度で接するのだ!?」

トモコさん頭でも強打しましたか? どこに天才的な発明をした方がいらっしゃるのデスカ?

『フンッどうせろくでもないものを作ったのであろう』

ヴェリウス…最近トモコに厳しいね。何かされたのカシラ?

「シャラーップ!! これから見せる世紀の大発明は、世の中を360度変える事となるだろう」

一周回って元に戻ってんじゃねぇか。

「そう、私はジュリーちゃんの持って来ていたこの“魔石”に可能性を見出だしたのだ!!!」

トモコがごそごそとニッカポッカのポケットから取り出したのはピンクに光る石だった。

『それは…お主の力を込めた“魔石”か』
「そう。この“魔石”は私達神族の力だけでなく、魔力も込められるのであーる」

自信満々に語っているが、いまいち言いたい事がわからない。

「つまり、この石に魔獣達の魔力を込められるのだ」
「…それは……で?」

首を傾げて続きを促せば、フンッと鼻息を荒くして続きを話しだすトモコ。

「魔法の種類ってみーちゃん達は知ってる?」
「種類? 火や水や風っていうアレの事?」
「それは属性ね。種類っていうのは、攻撃魔法、防御魔法、回復魔法、生活魔法、みたいな事で、属性と同じように得意不得意があるんだよね」

トモコ先生の魔法教室が始まった。

「それでね、中でも魔力がありさえすれば誰でも使えるのが“生活魔法”っていう種類なわけ。これはMPが1~3でも使えたりするから便利なんだよ」
「へ~」
「まぁ、MP1の人が使用出来るのはマッチ位の火を灯す程度なんだけど、この生活魔法の中に滅茶苦茶活用出来る魔法があるのです!!」

それは~と、口の端を僅かに上げて胸を張り発表を焦らすのでヴェリウスが呆れている。

『“浄化魔法”であろう。飲み水と汚水の処理となればそれしかないだろうが』
「!?」

ヴェリウスに先に言われてしまったトモコは、驚愕の表情をした直後に崩れ落ちた。

「私が言いたかったのにぃ~!!」

嘆くトモコを無視して話を進める。

「という事は、“浄化魔法”を魔石に込めてそれを浄水場と下水処理場に使用する予定なの?」
「その通りでございます。さすが神王様! ご理解もお早い」

好々爺の様相でべた褒めされるのでくすぐったい気持ちになる。

「魔石って種類を限定して込める事も出来るんだね~」
「我々も“魔石”を使用するのは初めてでしたので知りませんでしたが、魔神様とトモコ様が実験したらしく、教えて下さったのです」

昨夜は魔神の少年も帰ったはずだから、今日の朝方に魔石の実験をしたのだろうか?
チラリとヴェリウスを見れば、それに気付いたようで見上げてくる。

『念話でやり取りでもしていたのでしょう』

成る程。
研究熱心な事だと2人に感心しながら、おじいちゃんの話を聞く。

「魔石の使用期限は頻度にもよるようですが、24時間365日使用すると仮定して考えますと、1つでひと月ほどもつと魔神様が目算されました。ですので、念のため半月に一度魔石を交換しつつ様子を見ながら運用していく事となりました」
「魔石のもととなる石はそんなに大量に採れるの?」

おじいちゃんの話を聞いて疑問に思う事を質問してみる。
魔石が大量に採れないなら、浄水場、下水処理場は運用出来ないだろう。

「問題ございません。深淵の森にございます石は全て魔石として使用できる事が分かりましたので」

にっこり語られる事実に顔が引きつった。

『神王様の神域ですので当然でしょう。本来は魔神の神域とその周辺でしか採掘出来ない希少な物ではあるのですが…』

博識のヴェリウスは豆知識を披露してくれた。さすがヴェリウスだ。しかし疑問はもう1つある。

「浄化魔法を使ったとして、下水処理場の汚水は綺麗になるけれど、“物体”の方は…」

私のいう“物体”とは、糞の方である。浄化されても物体は丸々残る気がするのだ。

「みーちゃん!! それは画期的な方法を考えたんだよ!!」

やっと復活したトモコが、聞いて聞いてと糞の話に飛び付いた。

「火魔法を込めた魔石と、風魔法を込めた魔石を使って熱風を作り出し、糞を乾燥させて肥料を作るの!! それを畑にまけば一石二鳥じゃない!?」

ドヤ顔で感想を求められるのだが、浄化をした後の糞だと菌が全て死んでしまって肥料にはならないのでは? とツッコめば、また驚愕の表情をした後に落ち込んでいた。

「それでしたらーー…」

とおじいちゃんがすぐに解決案を出し、トモコが即採用した事で慌ただしくなってきたので、邪魔をしないように河川から村へと戻る事にした。


次は農場の様子でも見に行こう。
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