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第三章
諜報部隊が必要です!! ~ ロードside ~
しおりを挟むロード視点です。
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「フォルプロームに諜報部隊を送り込む事を提案する」
俺の一言にざわつく室内。
「ロード、貴方の言いたい事は分かりますが、現在のルマンド王国に諜報部隊へ人手を割く余裕はありません」
レンメイの言葉に宰相が重々しく頷き、カルロは仕方ない事だという表情で動かない。
「諜報部隊は少数で編成する。フォルプロームは幸い獣人の国だ。ルマンドの騎士団には獣人が多いからな。しかも獣人の機敏さと体力は諜報に向いている」
「だから諜報部隊に割く人手はないと…復興の最中なのですよ」
「だからこそ諜報部隊は必要だ。生活に余裕が出りゃあおかしな事を考える奴も出てくる。今回のバイリン国とフォルプローム国がいい例だろう」
「まだ確定はしていないでしょう」
「その為の諜報部隊だろうが」
レンメイは王都の守りが手薄になる事を懸念しているのか、なかなか頷かない。宰相は難しい顔で俺達の話を聞いているだけだ。カルロはやはり動く様子はねぇ。
チラリと陛下を見れば、困った顔をして少し考えるフリをした後、
「諜報部隊を編成する」
と言い放った。
「陛下!?」
反対するレンメイに、宰相が渋々「陛下の決定は絶対です」と一蹴して俺を見た。
「しかし、我が国の騎士団に諜報部隊に人員を割く余裕がないのも事実。人数は少人数とし、第3部隊からのみ人手を出す事とする。宜しいですか? 陛下」
宰相の言葉に、妥協案とばかりに頷く陛下に苛立ちを感じながらも、まぁ提案を受け入れてくれただけでも良しとするかと納得した。
話も終わり会議室を出ると、後ろから声をかけられ振り向いた。
「カルロ」
「よくやるねぇ。諜報部隊なんて」
他人事みてぇに言ってくるカルロにイラッとする。
「はっ 会議中ずっと黙っていた野郎に、んな事言われたくねぇんだよ」
「心外だな。俺はずっと何か良い解決策がないか考えていただけだ。結局見つからなかったけどな」
「ぶっ飛ばすぞテメェ」
「ハハッ」
爽やかに笑うこいつの顔を殴りたくてたまらねぇ。
「トモコはテメェみてぇな野郎が苦手だろうなぁ」
「意地の悪い事を言わないでくれ」
困ったように笑っているが、どっちの意地が悪ぃんだか。
「あー…クソッ 竜人も諜報部隊にゃ必要だってのに、レンメイの様子じゃ協力はしてくれそうにねぇなぁ」
「竜人は彼の部隊にしか居ないからねぇ」
会議が終わった後、不機嫌な様子で足早に部屋を出て行ったレンメイを思い出す。
「…魔族は魔法が得意だったよな…」
「ムリムリ。魔族が魔法を使えるなんて大昔の話だ。今の魔族じゃ、生活魔法を使うにも苦労するさ。ロードの考えているように“幻覚魔法”なんて使えない」
俺の考えを先読みしたらしいカルロはそう言って困ったように笑うが、目の奥は笑っていなかった。
「…まぁいい。バイリン国がフォルプローム国と結託しているなら、多少の獣人も居るだろうしな」
「そっちに人員を割く事は難しいが、出来るだけ協力はする。何でも言ってくれ」
「そうしてもらわにゃ困る。早速だが、オメェバイリン国かフォルプローム国にツテはあるか?」
そんな話をしながら王宮の長い廊下を歩いていると、子供の楽しげな声がしてきて2人で足を止めた。
「今日は貴族の令息や令嬢を集めて、王妃様が茶会を開いているらしい」
「ああ、王妃様はまだガキだったな」
「陛下には早くお世継ぎを作っていただきたいが、相手が子供ではなぁ…なかなか」
「ままならねぇもんだよな」
陛下のお世継ぎは当分先になりそうだなと笑っていると…
「あっ精霊様だ!!」
「本当だわっ 精霊様ー!!」
「お空飛びたい!!」
等と騒がしい声が聞こえてきた。
精霊だぁ? この王宮でガキ共が精霊なんて騒ぐ奴は1人しかいねぇ!!
俺はカルロを置き去りにして、足早にガキ共の所へ向かったのだ。
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