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番外編 〜 ぺーちゃん 〜
番外編 〜 教皇とイザベル4 〜 ノア10歳、アベル5歳
しおりを挟む「ペーちゃん、こんにちは」
「にょあ!」
ノアにとっても可愛い笑顔をみせて、懐いている様子を見せるペーちゃん。
ノアの登場と、おやつですっかりご機嫌がなおったペーちゃんは、今わたくしの膝の上で必死に赤ちゃん用のクッキーを食べている。
「ディバイン公爵夫人、孫の世話をやいていただき申し訳ない」
「フフッ、可愛らしくて、役得ですわ」
「ペーちゃ、かわぃ!」
「ええ。ペーちゃんは可愛いですわ」
小さい頃のノアを思い出しますわね。
「にょあ、ペーちゃ、かわぃ?」
まぁ、ペーちゃんったら、首をこてんと傾げて、上目遣いだなんて、あざといですわ。
「うん。ペーちゃんは可愛いよ」
ノアも可愛いですわ。
「にょあ、ちゅきー!」
「あら、ノアはペーちゃんに好かれていますのね」
お菓子で汚した、ペーちゃんのお口や手を拭きながらノアを見ると、「おもちゃの宝箱で遊んでから、懐かれたみたいなんです」とニコニコ笑っている。
「そうでしたの。ノアは優しい子に育ってくれたから、ペーちゃんも大好きになったのね」
「私は、下に弟妹がいますから、慣れているだけです」
恥ずかしそうに目をそらす息子は、最近ますますしっかり者のお兄ちゃんになってきている。
「そんなに急いで大人にならないでね。ノア」
お母様、寂しくなっちゃうから。と言えば、戸惑って首を傾げている。
「ディバイン公爵夫人の言いたい事はよくわかりますぞ。子供の成長は早いですからなぁ。ウチの孫もこのように、じーじの膝ではなく、夫人の膝にお邪魔して、食べさせてもらっているのですから、じーじは寂しいですなぁ」
「うにゅ!?」
「まぁ、ペーちゃん、じーじはヤキモチをやいているのかもしれませんわ」
クスクス笑いながらペーちゃんに言えば、ペーちゃんは「じーじ……かぁちゃ……」とわたくしと大司教を交互に見るのだ。
「かぁちゃ? ペーちゃんは、私の弟になったの?」
「! にょあ、にー!」
「お母様、ペーちゃんが私の弟になりました!」
「フフッ、息子が増えましたわね」
「かぁちゃ、にー、じーじ、ちゅきー」
ノアもぺーちゃんも、可愛いわぁ。
などとほっこりしている様は、皇城での対談の時とは大違いの穏やかな空気だ。
「───っ、……さま……ッ」
そんな空気を壊すように、部屋の外が騒々しい事に気付く。
「お母様……」
ノアも気付いたようで、何かあったのかとわたくしを見る。大丈夫よ、と微笑んで安心させると、扉の前に立っているミランダを見た。ミランダは頷くと扉を開き……、
「おかあさま!」
なんと、アベルが飛び込んできたではないか!
腕の中のぺーちゃんが、ビクッとして、手に持っていたクッキーを落としてしまった。
「ペーちゃ……おかち……」
落としてごめんなさいというような顔をして、わたくしを見上げるので頭を撫でる。
「アベル、お客様がいらっしゃっているのに、突然入ってくるなんて、お行儀が悪いですわよ。大司教、息子が申し訳ございませんわ」
「っ……おかぁさま、ごめんなさい……、だいしきょおさまも、しつれい、いたしました……」
アベルが泣きそうな顔で謝るので、可哀想になってきた。
「ホホッ、私は気にしておりませんぞ。元気で何よりですなぁ」
「アベル、こちらへおいで」
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「奥様……」
声を潜め、ミランダが困ったようにわたくしを呼び、視線の先の扉を見ると、隙間から、心配そうにアベルを見るフロちゃんの姿もあって驚いた。
「まぁ、フロちゃんまで。どうしたんですの??」
わたくしが声をかけると、入ってもいいの? というように大人たちの顔色を伺っているので、「こちらへおいでなさい」と呼ぶと、遠慮がちにやって来る。
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「ホホッ、大人になったら、教会で働いてくださるのですか。それは嬉しいことですな!」
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