147 / 189
番外編 〜 アベルとフローレンス 〜
番外編 〜 聖者コンビの大冒険3 〜 アベル5歳、フローレンス8歳
しおりを挟むアベル視点
「もうだいじょぶだよ」
「にゃ~」
ちゆまほーつかって、ネコをなおしたら、ありがとっていうように、ネコがオレのゆび、ペロンってなめたんだ。
「元気になって良かったね」
「うんっ」
『アベル、治癒魔法とっても上手になってた!』
『さすが歴代最強の聖者だよね~!』
えっへん! オレは、おとうさまのこどもだからね! っていったら、ウィルにわらわれちゃった。
「フロちゃん、ひとに、みつかりにくいところ、みつけてくれてありがとう!」
「どういたしまして」
「あのさ、フロちゃん」
「なぁに?」
「ここって、どこなの?」
「うーん、わかんない」
どこにいっても、ひとにであいそうだったから、どこかのおにわへ、こーしのすきまから、かってにはいっちゃったんだけど……。
「はやくでよ……、」
「おい! そこで何してる!」
とつぜん、やりをもったひとにみつかって、どなられたんだ。
こわかったけど、フロちゃんをまもらないとって、まえにでたんだよ。
だってオレ、おとこのこだもん。
「ごめんなさい! まいごに、なったの!!」
おっきなこえで、ごめんなさいってして、りゆーをいったの。そしたら、あやしいっていうおかおを、されちゃったんだ……。
「迷子だと? 今日は子連れの馬車も通っていないはずだが……一体どこの子供だ??」
どーしよう。おそとでおなまえ、いわないほーがいいよね。だってオレたち、ふほーしんにゅうしてるんだもん。
「おじさん……、ここどこですか?」
どーしよう、どーしようってかんがえてたら、フロちゃんが、どなってきたひとに、ここがどこかきいたの。
フロちゃんのこえ、すこしふるえてる……。おかおは、へーきそうなのに。
「皇城に決まっているだろう。お前たちそんな事もわからずここにいるのか?」
え、こーじょー?
「アスおにいさま! ここ、アスおにいさまのおウチだ!!」
「あすおにいさまだと? まぁいい。とにかく、こちらに来てもらおうか」
おじさんが、こっちにちかづいてくる。
おじさんのおかおは、とってもおこってるおかおだ。
きっとオレたちがわるいことしたから、どこかに、うりとばすきなんだ。
オレが、ばしゃにのったから……っ、フロちゃんまで、まきこんじゃった……っ
「ふぇ……っ、ごめんなさぃ……っ」
こわいよぉ……っ、おとうさま、おかあさま、たすけて!
「アベル! フローレンス!!」
そのとき、アスおにいさまのこえが、きこえたんだ!!
「!? 皇太子殿下! 何故こちらに!?」
「ご苦労。この子たちを探していたのだ。よく見つけてくれた。持ち場に戻って良いぞ」
「はっ!!」
おじさんは、すぐにどこかにいっちゃった。
たすかったの?
「アス、おにいさま……?」
「うむ。アベルよ、アカに聞いて驚いたのだぞ。フローレンスと二人で皇城に来たのだろう?」
アスおにいさまが、やさしくわらって、オレのあたまをなでなでしてくれた。
「ふぇ~……っ、お、おで……っ、わるいごと、し、っく、じだ……っ」
「うむ」
「フロちゃんまで……まぎ、まぎこん……っ、ヒック、ごべんなさぃ……っ」
「そうか。アベルは今回の経験で多くの事を学べたのだな。頭の中も、心も、大きくなったのだ」
あたま、なでなでしてくれるけど、オレ、わるいことしたから、なでなで、してもらったらダメなんだ。
「ごべんね、フロちゃん……っ、まもって、あげられなかった……」
「あーちゃん、ちがう……。あーちゃんを、守ってあげないといけないの、私だった。でも、さっきのおじさんがこわくて……うごけなかった……っ」
フロちゃん、ないてる……っ、さっき、ぜんぜんへーきそうなおかお、してたのに。
がまん、してたんだね。
「ごめんなさい。あーちゃん、ごめんなさい……っ」
「フロちゃ……っ」
オレたち、ぎゅってして、たくさんないたんだ。
「……ディバイン公爵、二人とも反省しているようだ。許してやってはもらえないだろうか」
「皇太子殿下……。いえ、今後このような事がないよう、しっかり言い聞かせます」
「うむ……。では、ほどほどにしてやってくれ」
「それは、あの子たち次第です」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あのあと、フロちゃんはごえーの、オレはおとうさまのうまにのって、おウチにもどったんだ。
オレもフロちゃんも、おかあさまに、すっごくおこられて、ずっとごめんなさいしてたけど、「二人が無事で、本当に良かった……っ」てだきしめられたから、またないちゃったんだよ。
おとうさまにも、おへやによばれて、ぜったいおこられるっておもってたの。でもね……、
「ベルを悲しませる事だけはするな」って、それだけだったの。だからオレ、どーして? ってきいたら、「お前はもう、何が悪い事だったのか、十分理解出来ただろう」って。
うん。オレ、たくさんわるいことしてた。みんなに、しんぱいかけた。ごめんなさい。
「おとうさま、オレ、おとうさまのように、つよくなりたい! たいせつなひとが、なかないように、まもれるように、つよくなる!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~ おまけ ~
「それで、お前たちはどういうつもりだ」
『アカ、なにもしてない!』
『アオも、なにもしてない!!』
『すいませんでしたー!! ボク、ボク、妖精の性でつい甘やかしちゃうんだよぉ!!』
「…………」
『アカ、ほんのすこし、わるかったかも!』
『アオも、むせんいんしょくのことだけ、ちょっとはんせー!!』
『もう甘やかしません! 本当です!!』
「…………」
『アカ、あやまる! ごめんなさい!』
『アオも!! ゆるして!!』
『ヒィィッ! ごめんなさいっ、ごめんなさい!』
「何も言っておりませんのに、妖精たちが謝罪しておりますわ。さすがテオ様」
727
お気に入りに追加
6,331
あなたにおすすめの小説
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 11/22ノベル5巻、コミックス1巻刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロが苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
【完結】わたしはお飾りの妻らしい。 〜16歳で継母になりました〜
たろ
恋愛
結婚して半年。
わたしはこの家には必要がない。
政略結婚。
愛は何処にもない。
要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。
お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。
とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。
そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。
旦那様には愛する人がいる。
わたしはお飾りの妻。
せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。
側室の妊娠により正妃は婚約破棄されました。愛して貰えなかった正妃はどうしたらいいの?
五月ふう
恋愛
「今日はね、ソラに
一つ嬉しい知らせがあって
教えに来たのよ。」
「なによ?
貴方がこの城を出ていくの?」
私にとって、
それ以上の知らせはない。
「いいえ。
私ね、
フィリップの子供を
妊娠したの。 」
「え、、、?」
側室である貴方がが、
正妃である私より先に妊娠したら、
私はどうなるの、、?
「ああ、
そんなにびっくりしないで。
ソラは正妃としての仕事を
そのまま続けてくれていいのよ。」
私は助かったの、かな、、?
「お飾りの正妃として、
このまま頑張ってね。
ソラ。」
その言葉は私を絶望させた。
地味薬師令嬢はもう契約更新いたしません。~ざまぁ? 没落? 私には関係ないことです~
鏑木 うりこ
恋愛
旧題:地味薬師令嬢はもう契約更新致しません。先に破ったのはそちらです、ざまぁ?没落?私には関係ない事です。
家族の中で一人だけはしばみ色の髪と緑の瞳の冴えない色合いで地味なマーガレッタは婚約者であったはずの王子に婚約破棄されてしまう。
「お前は地味な上に姉で聖女のロゼラインに嫌がらせばかりして、もう我慢ならん」
「もうこの国から出て行って!」
姉や兄、そして実の両親にまで冷たくあしらわれ、マーガレッタは泣く泣く国を離れることになる。しかし、マーガレッタと結んでいた契約が切れ、彼女を冷遇していた者達は思い出すのだった。
そしてマーガレッタは隣国で暮らし始める。
★隣国ヘーラクレール編
アーサーの兄であるイグリス王太子が体調を崩した。
「私が母上の大好物のシュー・ア・ラ・クレームを食べてしまったから……シューの呪いを受けている」
そんな訳の分からない妄言まで出るようになってしまい心配するマーガレッタとアーサー。しかしどうやらその理由は「みなさま」が知っているらしいーー。
ちょっぴり強くなったマーガレッタを見ていただけると嬉しいです!
異世界で狼に捕まりました。〜シングルマザーになったけど、子供たちが可愛いので幸せです〜
雪成
恋愛
そういえば、昔から男運が悪かった。
モラハラ彼氏から精神的に痛めつけられて、ちょっとだけ現実逃避したかっただけなんだ。現実逃避……のはずなのに、気付けばそこは獣人ありのファンタジーな異世界。
よくわからないけどモラハラ男からの解放万歳!むしろ戻るもんかと新たな世界で生き直すことを決めた私は、美形の狼獣人と恋に落ちた。
ーーなのに、信じていた相手の男が消えた‼︎ 身元も仕事も全部嘘⁉︎ しかもちょっと待って、私、彼の子を妊娠したかもしれない……。
まさか異世界転移した先で、また男で痛い目を見るとは思わなかった。
※不快に思う描写があるかもしれませんので、閲覧は自己責任でお願いします。
※『小説家になろう』にも掲載しています。
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる