継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 狙われたイザベル4 〜 ノア4歳、イーニアス5歳

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奇跡を起こす女神!?

「とんでもないっ、わたくし、奇跡なども起こせませんし、女神でもございませんわよ!?」

おかしな噂が広まっていますわ! もしかして、庶民街の女神像が原因ですの!?

「しかし、新素材やレール馬車、あのおもちゃの宝箱も、全てあなた様が考案なさったのですよね!?」

どうしてそれを!?

ミランダと護衛を見れば、首を横に振られた。
わかりません、という意味ではなく、そんなもの、派手に動いているからバレバレですよ。という呆れた意味のものだった。

「新素材は弟が開発したものですわ!」

偶々わたくしが木の板を見つけて、オリヴァーが色々実験をしてくれていますもの。そこは譲れませんわ。

「それに、レール馬車は技術者の方々が考えて、試作を繰り返し出来たものですし、おもちゃの宝箱は現場のスタッフや開発チームが頑張ってくれておりますわ」
「ですが、お知恵を出されたのはディバイン公爵夫人ではありませんか」

確かに提案はいたしましたが、それも前世の知識ですもの!

「雪崩などをどうにかしろと言われましても、わたくしどうにもできませんし……」
「いえ、ディバイン公爵夫人に雪崩をどうにかしてほしいなど、そのような無理難題は申しません!」

え?

「では……?」
「恥ずかしながら、ウィニー男爵領には薪や食料の蓄えがなく、このままいけばこの氷の季節(冬)に大量の凍死者、餓死者が出るでしょう」

凍死に、餓死……っ

「ですが、ニール様が皇帝陛下に現状を伝えているはずです。韜晦皇帝と名高い、ネロウディアス皇帝であれば、お助けいただけるのではないかと思っております」
「そうですわよね」

だから、わたくしに助けを求めるというのが、よくわかりませんわ。

「しかし、ウィニー男爵領は一年のほとんどが雪と氷に包まれた不毛な大地です。また同じような災害も起きるでしょう。その都度、国にお世話にというのは、たとえ韜晦皇帝であろうと、予算を割くことが難しくなると思うのです」

災害時の臨時予算は、レーテ様でしたら蓄えているでしょうけど……ウィニー男爵領だけではありませんものね。現にディバイン公爵領でも雨季に土砂災害や川の氾濫もありますもの。

「もちろん、我々も何とか、食料や燃料の確保をする為に、他領との交易を盛んにしようと考えましたが、我が領地にお金にできる物も、それに代わる物もなく……っ、そもそも植物は育ちにくく、育ったとしても、特産品として外部に出す余裕もありません。狩猟もまた同様で、とにかく民に余裕がないのです……」

これは、深刻ですわ……っ

「つまり、わたくしはウィニー男爵領の町興しをしたらよろしいのですね」
「お、お知恵を、お貸しいただけるのですか!?」
「死者が出るような危機的状況ですもの。わたくしも何かできるのであれば、と思っておりますわ」

わたくしに何が出来るかはわかりませんが……。そう言えば、二人はおいおいと泣き出し、「ありがとうございます」と何度もお礼を言われたのだ。


テオ様に、何て報告すればいいのかしら……。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



テオバルド視点


『テオっ、大変、大変だー!! イザベルを訪ねて、怪しい男が二人やって来たんだよ!!』
「何だと!?」

突然現れた正妖精の言葉に席を立つと、ウォルトの肩が大きく揺れたが、そんな事に構っていられない今の私は、冷静さを失っていたのだろう。

「皇后はどこだ!」
「旦那様!? どうなさったのですか!?」

皇后の元へ行かねばならないと、執務室を飛び出すと、ウォルトは慌てて私を止める。

「離せ! ベルが……っ、すぐに領地に戻らねば!」
「旦那様! 落ち着いてくださいっ、奥様に何があったのですか!?」
「怪しい男が二人、ベルを訪ねて来ているんだ!!」
「奥様が、その男たちに拉致されたのですか!?」
『されてないよ! 何か応接室で、ミランダと護衛の騎士と一緒に話を聞いてるってチロが言ってる!』

話をしているだと……?

「応接室で話をしているらしい……」
「それは、お客様がいらっしゃったという事でしょうか……」
『そう! でも、ベルは手紙の返事をしてないのに勝手に押しかけて来て、ベルに土下座してるって! 怪しいよねっ』

ウォルトの言葉と正妖精の話に、徐々に冷静になっていく。

「正妖精……、その男たちは、どんな用件でベルに会いに来たのかわかるだろうか」
『うん! 何か、自分の所の領地が危機的状況で、奇跡を起こす女神様だと噂のベルを訪ねて来たって』

つまり、相談……。てっきり例の馬鹿貴族が動いたのかと思ったが、勘違いか。

「旦那様、奥様はどういった状況なのでしょうか?」

心配するウォルトに、溜め息と共に出た言葉は、自分でも驚くほどマヌケだった。

「……客の相談を受けているらしい……」


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