継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜

番外編 〜 可愛い店員さん 〜 ノア4歳、アス5歳 ベル妊娠発覚前

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「いらっちゃい、ましぇ!」
「いらっしゃいませ!」
『いらっしゃーい!』
『いらっしゃ~い!!』

まぁっ、可愛い店員さんですわ! 若干名、有名落語家のような「いらっしゃい」が混ざっておりますが、今はわたくしの可愛いノアですわ!

いつものように、イーニアス殿下の皇宮に遊びに来たわたくしとノアですが、おもちゃの宝箱で店員さんの対応を見ていた二人が、今日はお店ごっこをするのだと、皇宮のパティシエに作ってもらった美味しいお菓子を、机の上に並べて、わたくしと皇后様に売り出したのだ。

「あら、可愛い店員さんね!」
「ははうえ、きょうのおすすめは、この、マカロンです」
「マカロンをおすすめしてくれるのね。じゃあ、アタシはマカロンにしようかしら」
「ありがとう、ございます!」
「ありがと、ごじゃいます!」
『マカロン、たべたーい!』
『アオも、マカロンたべる!!』

本日のおすすめお菓子があるらしい。ごっこ遊びとはいえ、お店を良く見ていますのね。
アカとアオは店員さんじゃありませんでしたの?

「アカ、アオ、てーいんさん、だべちゃめっ、よ」
『おかし、たべられない!?』
『やだやだー!! たべたーい!!』

あらあら、妖精たちが駄々をこね始めましたわ。

「では、ふたりは、あじみがかりなのだ!」
『!  アカ、あじみがかりー!』
『アオも、あじみがかりー!!』

さすがイーニアス殿下、味見係は店員さんにはいないけれど、新たな職業を作ってしまわれましたわ。
ノアも、注意できるなんて偉いですわよ!

「おかぁさま、わたちのおすすめ、ちーじゅケーキよ!」
「あら、ではわたくしは、ノアのおすすめチーズケーキをいただこうかしら」

天使のおすすめなら、なんだって美味しいわ!

「どーか、さんまい、なのよ」
「フフッ、はいはい銅貨3枚ですのね。はい。いち、に、さん、チーズケーキ、お願いいたしますわ」
「……おかぁさま、めっ、よ。どーかないの」

エア銅貨で支払うフリをしたら、なんと、ノアは本物のお金を要求してくるではないか!

「え? 本物のお金が必要ですの?」
「しょうよ。うりもの、なの」
『おかね、ひつよー!』
『だすもの、だせー!!』
「まぁっ、ミランダ、わたくし銅貨は持っていたかしら??」

ミランダに預けているお金を確認してもらうと、

「奥様、銀貨と金貨はございますが、銅貨はございません……」

と耳打ちされる。

どうしましょう……。そうですわ!

「わたくしの可愛い店員さん。店員さんたちのケーキも、購入させてくださいませ」
「う? アスでんか、おかぁさま、わたちたち、ケーキかってくれりゅの」
「それは、ふじんの、おこころづかい、かんしゃいたします」
「! おここりょ、かんちゃ、ちます!」

まぁっ! わたくし銀貨一枚で、こんな可愛い感謝をいただきましたわ!!

「ちょっと! ズルいわイザベル様っ、アタシも店員さんに好きなスイーツ買うわよ!」
『スイーツ、はいりましたー!』
『はいりましたー!!』

皇后様……、ホストクラブではないんですのよ。

「ははうえも、おこころづかい、かんしゃいたします」
「かんちゃ、ちます!」
「もぅ! 可愛すぎるわ!」

いくらでも買っちゃう! と悶えている皇后様が、ホストにハマった女社長に見えてきましたわ。

「おかぁさま、あーん」

こんな可愛いホストなら、わたくしもハマりそうですけれど。

「はいはい。あーん」

可愛い店員さんは、食べさせてほしいと口を大きく開けるので、そこへチーズケーキをぱっくんさせてあげる。

「おいちー!」
「フフッ、美味しい? 良かったですわ」

向かいの席では、イーニアス殿下も皇后様にあーんをしてもらってご満悦だ。

こうして、店員さんごっこは、ホストクラブのように……ゴホンッ、可愛いおやつタイムへと変わり、銀貨は二人のお子様のお小遣いへと変わったのですわ。

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