104 / 371
第二部 第1章
223.子供たちのパーティー 〜 イーニアス視点/イザベル視点 〜
しおりを挟むイーニアス視点
「あにうえっ、ソロモン、あにうえ!」
ろうかであにうえの、すがたをみつけて、おいかける。
あのことを、あにうえにそうだん、しなくては!
「イーニアス? どうしたの?」
わたしのこえに、きづいたあにうえが、ふりかえって、めをまんまるにした。
「あにうえっ、きのう、ノアとおはなししたのですが」
たちどまった、ソロモンあにうえにかけよると、あにうえはやさしく、わたしのあたまをなでなで、してくれる。
「え? ディバイン公子? 昨日、公子が来てたの??」
「ちがいます。ようせいをとおして、おはなししたのです!」
「妖精?」
あ、ようせいのことは、ないしょだった!!
「ちがいます! ようせい、ではなくて、えっと、えっと……」
「ふふっ、それで、公子と何を話したの?」
あにうえは、わたしがはなせないから、ついきゅう、するのをやめてくれた。
わたしなら、きっときになるのに、あにうえは、わたしがこまっていたから、きかなかったんだ。
「あにうえ、ありがとうございます!」
「イーニアスはいい子だね」
ソロモンあにうえの、わらったおかお、だいすきだ!
「ノアと、パーティーについて、おはなししたのです!」
「ああ、『子供パーティー』の話だよね。どんなお話をしたの?」
「ノアがだしてくれたアイデアは、『おかしのおうち』と、『やたい』です!」
「お菓子の家と屋台? お菓子の家って、あの絵本にあったものだよね。うん。パーティーの目玉になりそうだね!」
「はい! めだまに、なります!」
「ただ屋台は……どういうものなんだろう??」
「やたいは、やたいは……」
わたしは、やたいをみたことがないから、わからない……。あにうえも、わからないから、いっしょにあたまをかたむけ、うーんとうなった。
「あにうえ、ノアにまた、きいてみます」
「うん。お菓子の家は、私からパティシエに発注しておくね」
「はい!! あにうえ、ノアも、パーティーをたのしみにしているんです!」
「それはイーニアスも嬉しいよね。招待客に楽しんでもらえるよう、一緒に準備をがんばろうね」
「はい!!」
はじめて、あにうえやあねうえたちと、パーティーのしゅさいをするのだ。ノアがあっとおどろくような、パーティーにするために、がんばるのだぞ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イザベル視点
皇帝陛下と皇后様に突如呼び出され、戸惑いながら皇后様の宮にやって来たのだけど、一体どうされたのかしら?
「イザベル様、急に呼び出してごめんなさいね」
「良く来てくれたのだ」
いつもお話する部屋に通され待っていると、お二人揃ってやって来たので何かあったのかとドキドキする。
「実はね、子供たち主催のパーティーをするのよ」
そう皇后様が切り出すが、子供たちって、殿下たちということですわよね?
「皇子と皇女たちが、親しい者を集めてパーティーをするのだ。もちろんノアも招待するのだぞ」
「まぁっ、それは楽しそうな企画ですわ!」
「そうだろう! ディバイン公爵夫人ならわかってくれると思ったのだ。同じことを公爵に言ったら、「そうですか」の一言で終わってしまってつまらなかったのだ」
テオ様は……そうですわね。そういう反応をすると思いますわ。
「子供たち主催、という所が初の試みですわよね。とても素敵ですわ」
「それがね、アタシも昨日この馬鹿に聞かされたばかりなのよ!」
「ぅう……すまぬのだ」
あら、皇后様も知らされていなかったのね。
「あの、ところでわたくしは何故、呼ばれたのでしょうか?」
「うむ。ディバイン公爵夫人には、子供たちの衣装や、その他相談に乗って欲しいのだ」
「わたくしが、殿下方のお手伝いをさせていただける、という事でしょうか」
「そうなのだ。何しろディバイン公爵夫人は、皇家の御用商人だからな」
え? わたくし、いつから皇家の御用商人になったの!? いえ、よく考えたら、色々ご購入いただいておりますわ。もしかしてわたくし……職業は公爵夫人ではなく、商人でしたの!?
「それで、今回は第一皇子のソロモンが発注や依頼を担当するので紹介したいのだが、良いだろうか?」
「第一皇子殿下にご挨拶させていただけるとは、光栄でございますわ」
こうして、子供だけのパーティーに商人として携わる事になってしまったのだ。
あら、これは例のハーブを使った知育菓子の出番ではないかしら!
2,311
お気に入りに追加
27,691
あなたにおすすめの小説
白のグリモワールの後継者~婚約者と親友が恋仲になりましたので身を引きます。今さら復縁を望まれても困ります!
ユウ
恋愛
辺境地に住まう伯爵令嬢のメアリ。
婚約者は幼馴染で聖騎士、親友は魔術師で優れた能力を持つていた。
対するメアリは魔力が低く治癒師だったが二人が大好きだったが、戦場から帰還したある日婚約者に別れを告げられる。
相手は幼少期から慕っていた親友だった。
彼は優しくて誠実な人で親友も優しく思いやりのある人。
だから婚約解消を受け入れようと思ったが、学園内では愛する二人を苦しめる悪女のように噂を流され別れた後も悪役令嬢としての噂を流されてしまう
学園にも居場所がなくなった後、悲しみに暮れる中。
一人の少年に手を差し伸べられる。
その人物は光の魔力を持つ剣帝だった。
一方、学園で真実の愛を貫き何もかも捨てた二人だったが、綻びが生じ始める。
聖騎士のスキルを失う元婚約者と、魔力が渇望し始めた親友が窮地にたたされるのだが…
タイトル変更しました。
兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います
きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で……
【完結】悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!
櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のマリアンヌには第一王子ジャルダンという婚約者がいた。
しかし、ジャルダンは男爵令嬢のロザリーこそが運命の相手だと豪語し、人目も憚らずに学園でイチャイチャしている。
ジャルダンのことなど好きではないマリアンヌにとってはどうでもいいことだったが、怒った父の公爵が婚約破棄の準備を進める中、マリアンヌは自分の噂話の現場に出くわしてしまう。
思わず聞き耳を立てると、最初はジャルダンとロザリーの非常識な振舞いに腹を立てているありきたりな内容は、次第にマリアンヌが悪役令嬢となってロザリーにお灸をすえて欲しいという要望に変わっていき――
公爵令嬢として周囲の期待に応えることをモットーとして生きてきたマリアンヌは、完璧な悪役令嬢となってロザリーに嫌がらせを行うことを決意する。
人並み外れた脚力と腕力を活かしてヒロインに嫌がらせを行い、自分のアリバイをばっちり作って断罪返しをする悪役令嬢……を期待された公爵令嬢のお話です。
ゆるい短編なので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
完結しました。
【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。
まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。
泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。
それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ!
【手直しての再掲載です】
いつも通り、ふんわり設定です。
いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*)
Copyright©︎2022-まるねこ
手切れ金代わりに渡されたトカゲの卵、実はドラゴンだった件 追放された雑用係は竜騎士となる
草乃葉オウル
ファンタジー
上級ギルド『黒の雷霆』の雑用係ユート・ドライグ。
彼はある日、貴族から依頼された希少な魔獣の卵を探すパーティの荷物持ちをしていた。
そんな中、パーティは目当ての卵を見つけるのだが、ユートにはそれが依頼された卵ではなく、どこにでもいる最弱魔獣イワトカゲの卵に思えてならなかった。
卵をよく調べることを提案するユートだったが、彼を見下していたギルドマスターは提案を却下し、詳しく調査することなく卵を提出してしまう。
その結果、貴族は激怒。焦ったギルドマスターによってすべての責任を押し付けられたユートは、突き返された卵と共にギルドから追放されてしまう。
しかし、改めて卵を観察してみると、その特徴がイワトカゲの卵ともわずかに違うことがわかった。
新種かもしれないと思い卵を温めるユート。そして、生まれてきたのは……最強の魔獣ドラゴンだった!
ロックと名付けられたドラゴンはすくすくと成長し、ユートにとって最強で最高の相棒になっていく。
その後、新たなギルド、新たな仲間にも恵まれ、やがて彼は『竜騎士』としてその名を世界に轟かせることになる。
一方、ユートを追放した『黒の雷霆』はすべての面倒事を請け負っていた貴重な人材を失い、転げ落ちるようにその名声を失っていく……。
=====================
アルファポリス様から書籍化しています!
★★★★第1〜3巻好評発売中!★★★★
=====================
【完結】私の大好きな人は、親友と結婚しました
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
伯爵令嬢マリアンヌには物心ついた時からずっと大好きな人がいる。
その名は、伯爵令息のロベルト・バミール。
学園卒業を控え、成績優秀で隣国への留学を許可されたマリアンヌは、その報告のために
ロベルトの元をこっそり訪れると・・・。
そこでは、同じく幼馴染で、親友のオリビアとベットで抱き合う二人がいた。
傷ついたマリアンヌは、何も告げぬまま隣国へ留学するがーーー。
2年後、ロベルトが突然隣国を訪れてきて??
1話完結です
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。