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14:アルバムはダメ
Question
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ドアを開けた。
『こんばんはー』
「いらっしゃいませ。穂花さん、彩香さん。お好きなお席へどうぞ」
よし!
下の名前で呼んでもらうのが、再び定着した!
「よなよなエール、ふたつお願いします。あと、」
「肉食べたいな」
だから、彩香の恥は私の恥だと言っているだろうが!
カウンターから見えないように、彩香に財布を握った拳を見せる。
マイナス二十点だ!
「今日の日替わりのお料理は、なんですか?」
「はい、角煮風豚バラと大根煮になります」
「それで、お願いします」
「かしこまりました」
パパが、ビールを注ぎ始める。
彩香が、音の出ない口笛を吹きながらポップコーンマシーンに向かっているのは、どういう意味があるのだろう?
「よなよなエール、お待たせいたしました。お料理は、お席にお持ちいたしますので、もう少々お待ちくださいませ」
お金を払って、受け取ったグラスを両手に持ち、ローテーブルに向かう。
看板猫の雪さんは、音なく口笛を吹く彩香をじ、っと見ている。
そろそろ、近づいてきてくれないかなあ。
雨くんは、きょとんとした顔ながらも、雪さんの真似をして彩香を目で追っていて、かわいい。
「雪さんと雨くん、さり気なくしたから、警戒しないでくれたかな?」
「逆に、じっと見てたわよ。乾杯」
「えー、乾杯」
ビールが美味しい。
「それで?」
「え?」
お前が、静かな所で相談したい、パパのお店がいい、と言うから連れて来たんだろうが!
「あの、それが、ね」
妙なテンションだ。
雪さんが、こちらにではないけど、歩いていた。
ちょっと慣れてくれたのかな?
雨くんが、雪さんの尻尾にじゃれていて、かわいい。
「それで?」
彩香の話は、こうだった。
大学時代の友達が、彼氏の実家に遊びに行った。
ぶっちゃけ、結婚を前提とした挨拶だ。
家族のアルバムを見つけたので、見ようとしたところ、彼氏の姉たちに、取り上げられた。
彼氏の母、祖母も、露骨に話題をそらした。
『こんばんはー』
「いらっしゃいませ。穂花さん、彩香さん。お好きなお席へどうぞ」
よし!
下の名前で呼んでもらうのが、再び定着した!
「よなよなエール、ふたつお願いします。あと、」
「肉食べたいな」
だから、彩香の恥は私の恥だと言っているだろうが!
カウンターから見えないように、彩香に財布を握った拳を見せる。
マイナス二十点だ!
「今日の日替わりのお料理は、なんですか?」
「はい、角煮風豚バラと大根煮になります」
「それで、お願いします」
「かしこまりました」
パパが、ビールを注ぎ始める。
彩香が、音の出ない口笛を吹きながらポップコーンマシーンに向かっているのは、どういう意味があるのだろう?
「よなよなエール、お待たせいたしました。お料理は、お席にお持ちいたしますので、もう少々お待ちくださいませ」
お金を払って、受け取ったグラスを両手に持ち、ローテーブルに向かう。
看板猫の雪さんは、音なく口笛を吹く彩香をじ、っと見ている。
そろそろ、近づいてきてくれないかなあ。
雨くんは、きょとんとした顔ながらも、雪さんの真似をして彩香を目で追っていて、かわいい。
「雪さんと雨くん、さり気なくしたから、警戒しないでくれたかな?」
「逆に、じっと見てたわよ。乾杯」
「えー、乾杯」
ビールが美味しい。
「それで?」
「え?」
お前が、静かな所で相談したい、パパのお店がいい、と言うから連れて来たんだろうが!
「あの、それが、ね」
妙なテンションだ。
雪さんが、こちらにではないけど、歩いていた。
ちょっと慣れてくれたのかな?
雨くんが、雪さんの尻尾にじゃれていて、かわいい。
「それで?」
彩香の話は、こうだった。
大学時代の友達が、彼氏の実家に遊びに行った。
ぶっちゃけ、結婚を前提とした挨拶だ。
家族のアルバムを見つけたので、見ようとしたところ、彼氏の姉たちに、取り上げられた。
彼氏の母、祖母も、露骨に話題をそらした。
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