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書いた部分を最後まで読んでもらうのためには

意外の匙加減は、意外と難しい

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気になるのが「意外な結末とか、設定を隠しているんだろうなあ」という展開。

わかるんですよねえ。
読者様を驚かせたい気持ち。
最後の最後に、今までの流れを覆す「意外」。

でも、まってください。
ソコまで、読者様は付き合ってくれるでしょうか?

「意外」に矛盾がないように、ソコまでの展開は、「意外」を踏まえて書かれます。
例えば、表裏一体の存在なので何度も会えないを繰り返す、とか、です。
しかし、読者様は「意外」を知らないのですから、違和感を感じます。
この居心地の悪さが、「意外」まで続くのです。
逆に違和感がない場合は、超絶技巧の書き手か、「意外」が意外ではないからでしょう。

「何文字まで、ガマンさせるのか」にも書きましたが、お金を出した書籍ならまだしも、無料ですから、途中で読むのを止められてしまう可能性が高くなります。
そうさせないためには、ネームヴァリューや文章力が必要となってくるワケですが、こんな駄文を読(以下略)

そして、「意外」まで我慢して付き合ってくださった読者様にとって、「意外」はどう目に映るでしょうか。
突飛であれば、ポカン、茫然、呆れられます。
予想の範疇であれば、ガッカリ、残念、陳腐なだけ。
最悪、「意外」を仕掛けていたコトに気づいてもらえない場合すらあります。
これには、ココまでの伏線、ソレを表現する文章、その量を含めて、極めて絶妙な匙加減が必要です。

手からコインを出す手品で、前フリ三秒だったら拍手がもらえますが、二十分かけたらブーイングされるコトに似ています。
使い古されて見飽きた陳腐な手品を派手な演出で行い、1994年マジシャン・オブ・ザ・イヤー受賞のザ・ペンドラゴンズは、エンターテナーとして超一流だった、というコトでしょう。
(私はアシスタントの衣装以外は嫌いですが)

「書く前に、まず読もう」にも書きましたが、更に厳しい現実として、書き手の「意外」は、既に書かれ描かれ演じられた、知らぬは勉強不足の書き手だけ、という可能性だってあるのです。
だって、「どんでん返し」という言葉が歌舞伎用語転じて「ストーリー展開の一つ」として、認識されているぐらいなのですから。
(大どんでん返しって告白を横取りされるコトだろ? 若い読者様には通じないボケなのでスルーします)

ついでに、読書に慣れた読者様は、裏を読みます。
犯人っぽかったら別人を疑い、名前が中性っぽかったら性別を互い、敵の幹部だったら味方か血縁者を疑い、解決雰囲気だけど二時間ドラマ前半だったらどんでん返しを疑い、完璧キャラの料理シーンだったら激マズ料理を疑います。
もうこのレベルは、「意外」ですらなく、お約束になってしまうのですが。

手品師が右手を見せたら、左手に注目するのにも似ています。

これらの予想を掻い潜っての「意外」。
もちろん、ソレを遥かななたに飛び越えた突飛すぎては(以下略)

要約する、と「意外の匙加減は、意外と難しい」でした。
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