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鍵は「耳ざわりの良い罠」

「筋トレは、ダイエットに必須」ではないのは、1日が24時間しかないのが鍵

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ダイエットには、「基礎代謝<摂取カロリー<消費カロリー」の「マイナスカロリー」にする必要がある、と書きました。
消費を大きくするには、運動するしかないけど、どうすればいいのでしょう?

運動には、無酸素運動と有酸素運動があります。
無酸素運動は、ほとんど呼吸をせずに筋肉内の糖質を消費してする運動で、50m走などが代表例。
有酸素運動は、呼吸しながら脂肪を消費する運動で、持久走が代表例。
ちなみに、糖質消費に酸素は不要で、脂肪消費には酸素が必要なので、こう呼ばれます。
(もちろん、50m走はまったく脂肪を使わない、持久走は糖質を消費しない、ということはなく、連動しています。50m走は糖質を使う割合が大きい、と考えてください)

筋トレは、無酸素運動。
無酸素運動、最大のデメリットは、長時間やれないこと。
もっと正確に言えば、長時間やっても休憩が長くて、実質動いているのは短時間になってしまう。

消費カロリーは、運動強度×時間で概算できます。
ちなみに消費カロリーを計算する指標であるMETsは、自重筋トレが3.5、マシン筋トレが6.0、散歩が3.5です。
(METs 計算 で検索)
運動初心者では、実質三分の筋トレより、三十分の散歩の方が、消費が大きい可能性もあります。
有酸素、無酸素関係なく、ボディビルダーやアスリートやモデルではなく、結局アナタにとって、どれだけカロリー消費できる運動なのかが、肝なのです。
たしか、「筋力も体力もない」方ですよね?

もうひとつ、大きな無酸素運動のデメリット。
やった気になってしまうことです。
実質三分なのに、ものすごいカロリーを消費した気になってしまい、ついつい食べてしまう、なんて思い当たりませんか?
これでは、「マイナスカロリー」にならない。

更にもうひとつ、筋肉を鍛えるつもりでの筋トレをしている場合のデメリット。
鍛えるつもりだから、8RM重量前後でしょう。
(8RMの意味が分からなければ、スルーで)
ダイエットによって体重が、筋肉が減っているので、同じ運動をしても消費は減ります。
しかし、筋肉はダイエット中で鍛えられないので、重量や回数を増やすのは難しいので、消費は増やせないどころか、減ってしまう。
(学習効果で筋肉が鍛えられなくても向上するけど、すぐ頭打ち)
つまり、散歩であれば、倍の時間歩けば消費を増やせるけど、筋トレは倍にできない。

また、よく筋トレはアフターバーン・エフェクト(運動後過剰酸素消費量/EPOC。最大心拍数の80%程度を維持する高負荷運動により24-72時間程度の消費カロリーが多くなること、ボーナスタイムなどとも表現)があるので、効率が良い、とも言うけれど、よく考えてみてほしい。
「高負荷運動(最大心拍数の80%程度を維持)」なのだ。
ちなみに、自重の筋トレは、高負荷になるかどうか、微妙なラインだ。
息も乱れないような、軽い筋トレでは、アフターバーンは発生しないし、有酸素運動であるHIT(High-intensity Interval Training/高強度インターバルトレーニング。30秒程度の全力運動、15秒程度の休憩を数セット繰り返す方法。心肺機能向上や脂肪燃焼に効果がある、との説)は、高負荷と言える。
更に言えば、今まで運動してきていなかった方が、ウォーキングでも運動を始めれば当然、代謝は増える。
残念なことに、このアフターバーン・エフェクトは、当初言われていたよりも僅かしかない、との説が主流だ。
もちろん、その僅かでも、運動を継続すれば、体重減少の助けになる。
ただ、過剰な期待をしては、「食べてもいいんじゃないか?」と迷うだけ。

アフターバーン・エフェクトとは別に、筋トレは、筋肉を傷つけるので、回復にもカロリーを消費する、との説もあります。
散歩で筋肉痛になっていれば当然、回復にカロリー消費しているでしょうし、筋トレを回復込みで考えても、消費カロリーが倍になるとは、考えられません。
実質三分の筋トレ×2と三十分の散歩を、比べなおしてみてください。

「ダイエット中でも筋トレすれば筋肉が鍛えられ代謝(消費)が大きくなり太りにくくなる」のが、無理。
「筋トレをすれば、その部分が引き締まって細くなる」のが、無理。
「筋トレは無酸素運動で消費が少ない」。

好きなように運動させてほしい?
確かに確かに。
ただ、1日は24時間。
運動に割ける時間の実質は、週にどのくらい?
180分?
そのうちの90分を筋トレの休憩にしていたら「もったいない」とは思いませんか?

根性でやる?
いやいや、筋力も体力もないから、これを読んでいるのですよね?

筋トレは、隙間でやれる?
それだけ時間が短い、ということです。
「追加」でするには、素晴らしいですが。

有酸素の前に筋トレした方が、脂肪分解が早まる?
根拠のある説だと思います。
しかし、「軽い」筋トレだけで終わって、有酸素できず終いになりませんか?

たまになら可能かもしれませんが一日だけの話ではありません。
この後出てますが、週に数日は、運動しないと痩せない、と思います。
挫折して、まったく運動を止めてしまうより、できる範囲で、できる運動で計画・実行されるのがよろしいかと。

なお、「有酸素運動は筋肉を分解する」との説がありますが、趣味程度でもランニングしてる方って、足の筋肉ないんですか?
確かに、マラソン選手で腕が極端に細い方もいらっしゃいますが、競技に適した身体を目指してのことです。
同じ体重なら、腕よりは、足や体幹に筋肉つけておきたいのです。

大量に消費するエネルギー不足を補うために筋肉を分解するから、とのことですが、逆に筋トレでは消費が少ないことを認めています。
なのに、なぜトレーナーが筋トレを指導したがるかは、既に書きました。
応援するだけの有酸素では、指導料が取れないからでしたね。

そもそも、「大量に消費するエネルギー不足を補うために筋肉を分解する」になるまで運動できるかな訳で、筋力も体力もないので、心配無用です。
もちろん、筋トレで自分の体重の倍の重量で行う消費カロリーが何カロリーであっても、ここを読んでいる方には、関係ありませんよね?

さて、「筋トレは、ダイエットに必須」ですか?
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