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第十章
またきっと、どこかで(二)
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アミティエ瀬谷を出るとすぐに、横断歩道の白さに眼がくらむ。
足元に横たわる灰色のアスファルトを見ると、切なさに胸の奥が締め付けられる。
「マル」
もうそこにはいない親友の名を呼び、凛太朗は静かに手を合わせた。
信号が青になるのを待っていると、突然ポケットのスマホが震えた。
相手の名前を確認し、少し間を置き、タップする。
「もしもし」
「おう。元気か?」
聞き慣れたくぐもった声が耳に届き、自然と凛太朗の顔がほころぶ。
「うん。お陰様で」
受話口の向こうで、現在の親友がホッと息をつく音が聞こえた。
「お前、あれから全然連絡ないからさ、心配しちゃったよ」
「そうか……。ごめん」
「いや、別にいいけど」
ははっと田丸が笑った。
「ところで、見つかったのか?」
「ああ、見つかったよ」
「ほんとか? そりゃ良かった! 今度紹介しろよ」
「え? 父さんのこと? 別にいいけど……」
「はぁ? お前、何言ってんの? ……って、見つかったのか? 親父さん」
「うん。無事に」
「そっかぁ。良かったな。願いが叶って」
「うん」
信号が赤から青に変わり、凛太朗は一歩踏み出した。
公園から、けたたましいセミの鳴き声が聞こえてきた。
「……おい」
突然、スマホから田丸の冷ややかな声が飛び出した。
「ん?」
「じゃなくて、あの子は見つかったのかよ。あの……なんだっけ? お前が必死で庇ってた……」
「ああ、柏原さん」
「そう! 柏原! お前、彼女を探してたんじゃなかったのかよ!」
「うん。そうだね」
「で?」
「で?」
一瞬の沈黙の後、「だーかーらー!」と田丸のイラつく声がスマホを震わせた。
足元に横たわる灰色のアスファルトを見ると、切なさに胸の奥が締め付けられる。
「マル」
もうそこにはいない親友の名を呼び、凛太朗は静かに手を合わせた。
信号が青になるのを待っていると、突然ポケットのスマホが震えた。
相手の名前を確認し、少し間を置き、タップする。
「もしもし」
「おう。元気か?」
聞き慣れたくぐもった声が耳に届き、自然と凛太朗の顔がほころぶ。
「うん。お陰様で」
受話口の向こうで、現在の親友がホッと息をつく音が聞こえた。
「お前、あれから全然連絡ないからさ、心配しちゃったよ」
「そうか……。ごめん」
「いや、別にいいけど」
ははっと田丸が笑った。
「ところで、見つかったのか?」
「ああ、見つかったよ」
「ほんとか? そりゃ良かった! 今度紹介しろよ」
「え? 父さんのこと? 別にいいけど……」
「はぁ? お前、何言ってんの? ……って、見つかったのか? 親父さん」
「うん。無事に」
「そっかぁ。良かったな。願いが叶って」
「うん」
信号が赤から青に変わり、凛太朗は一歩踏み出した。
公園から、けたたましいセミの鳴き声が聞こえてきた。
「……おい」
突然、スマホから田丸の冷ややかな声が飛び出した。
「ん?」
「じゃなくて、あの子は見つかったのかよ。あの……なんだっけ? お前が必死で庇ってた……」
「ああ、柏原さん」
「そう! 柏原! お前、彼女を探してたんじゃなかったのかよ!」
「うん。そうだね」
「で?」
「で?」
一瞬の沈黙の後、「だーかーらー!」と田丸のイラつく声がスマホを震わせた。
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