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告白
しおりを挟むstory1出会い
「君は死ぬの??」
私がフェンスの先で身をかたむけた時ふとそんな言葉が耳に入ってきた。
春の風は気持ちよかった。私を迎えに来てくれた。
今なら死ねるってそう思ったのに...。
正直ウザかった。
制服をかっこよく着崩したその人は
派手な要素は何も無いのに、なんとなく人目を引くような。
かっこいいという言葉がぴったりな人だった。
自分のタイミングを奪われた気がした。
最後の最後まで邪魔されて。
この世界にもうんざりだ。
「うん死ぬよ」
簡潔に答えてさっさと死のう。
そう思った私を彼は許さなかった。
「すき。俺と付き合ってよ」
は?おかしいでしょ。
この状況で。
もうその世から消えようとしてる人に向かってこんなこと言うかな?普通。
でも、心のどこかで、死ぬのはまた今度でいいかもって。
そう思ってしまった。
私は単純だ。
すきって言葉が私の心に大きな波を立てた。
死のうと思っていた心にまた鼓動が吹き返すような気がした。
「...。」
「俺ならお前を幸せにできるよ?」
なんだよ。かっこいいじゃん。
胸には3年の金色のバッチが光っていた。
高校最後の年
ちょっとだけ。
もう少しだけ生きてみようかな。
「いいよ...。付き合ってあげる。」
私に彼氏が出来ました。
私はほんとに単純だ...。
フェンスの向こうの世界にまた戻るなんて
ああ。ほんとにほんとに単純だ。
あなたの
「お前を幸せにする約束」
その言葉とともに出された小指を、こんなにも簡単に握ってしまうなんて。
story2約束
「なんで死のうとしたの?」
その人の名前は美柳 狩斗といった。
狩斗は私の隣に座ってそんなとこと聞いてきた。
まだ震えている足を押さえながら私はそっと口を開いた。
「もう、この世にいる必要が無くなったから。」
そんな言葉しか無かった。
私はいじめられている。
中学校から始まったそのいじめは、高校にはいる頃には大人びたものに変わっていた。
私で性欲を満たし始めた男
私でストレスを解消していく女
私を都合よく使う大人や家族
もううんざりだった。
私の意思なんかどこにもなかった。
愛情という言葉も忘れかけるほど貰っていない。
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