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エメとライナー(2)
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ライナーが仕事から帰ると夕食を食べて風呂を済ませてからお茶を飲みつつ一日の出来事を話すのだが、先に聞きたいことがあったのでそれを切り出した。
「ねぇ、俺ってライナー先生の邪魔になっていないかな?」
「どうしてそんなことを思ったんだ」
疑問そうに首を傾けるライナーに、
「俺、ライナー先生にべったりしすぎてるなって」
と告げる。
「なるほど。俺はエメと過ごす時間が好きなんだがなぁ」
「本当!」
まさかライナーがそんなふうに思ってくれているなんて。嬉しくて尻尾を勢いよく振るった。
「あぁ。癒されるよ」
それなら邪魔だとは思われていないということだろう。そう都合よく解釈をすると心が軽くなった。そう、霧が晴れるような、そんな感じだ。
「エメ、子供みたいだな」
尻尾が勢いよく揺れているからだろう。それでも止めることはできない。嬉しいのだから。
「えへへ」
「ところで、エメ、どうして邪魔だと思ったんだ?」
ライナーの答えに満足して話をおしまいにしていた。なので改めて聞かれて肩が上がる。
「えっと、ライナー先生に番がいないのは俺のせいかなって」
「あぁ、そういうことか。いないのはエメのせいではないんだがな……」
ライナーが困ったなと頭をかく。
「こんなにかっこいいのにモテない訳ないじゃない! 他のライナー先生が言っていたけれど、ライナー先生を目当てに治療をしに来る獣人もいるって」
「人の子が珍しいだけだろうよ」
ライナーが額に手を当ててため息をつく。
獣人の国に住む人の子は増えてきているとはいえ、付き合うとなれば難しかもしれない。
全員が独身というわけでもなく、獣人の国では雄同士で番になれることはしっていても彼らがそうなるとは限らない。
だが、それだけではないだろう。ライナーはとても魅力的な人の子だ。
昔からかっこいい人であったが近頃は渋みもでてきた。特に眼鏡をしているときの姿がたまらない。
「そんなことはないよ。ライナー先生は自分のかっこよさを知るべきだと思う」
「はは、可愛いことを言ってくれるな」
と優しく頭を撫でてくれる。
「はう、ライナー先生のなでなではきもちいー」
嬉しくて胸が弾むし尻尾は揺らぐ。おやすみとおはようの時に頬や額にキスをしてくれる時もある。ライナー曰く、家族に対する愛情表現みたいなものだそうだ。
「エメは、こうすると喜ぶからな」
「うん、すきぃ」
ライナーにすりより、もっと撫でてと催促すると、満足するまで付き合ってくれた。
結局、そのまま寝てしまった。
何回かに一度、撫でられて気持ちよくなってライナーの部屋に泊っている。
「ライナー先生、ごめんね」
「別にいいよ。お前のモフモフで俺もよく眠れる」
人の子は獣人の子供のようにモフモフが好きだ。
「でも、俺じゃもふもふ感が足りないんじゃないの?」
パンを作るのに邪魔だからと髪の毛は短くしているし、セドリックのような首毛もない。
「俺はお前ぐらいで十分」
「そうなんだ」
それを聞いて嬉しくなった。短いからという理由でほかのモフモフを求められたら傷つきそうだ。
「エメ、おやすみ」
「おやすみライナー先生」
ライナーと共に寝るときは抱き枕状態となる。すぐに寝息が聞こえてきてそれに安心して眠る。
そして朝は起こさぬようにそっとベッドを抜け出して自分の部屋へと向かう。同じアパルトメントに住んでいるのでこういうときは便利だ。
だがほぼ店とライナーの部屋にいるので自分の部屋は荷物置きと化している。
本当は一緒に住みたかったが、もしもライナーに番ができたときに別に部屋があればすぐに出ていけるからだ。
「ねぇ、俺ってライナー先生の邪魔になっていないかな?」
「どうしてそんなことを思ったんだ」
疑問そうに首を傾けるライナーに、
「俺、ライナー先生にべったりしすぎてるなって」
と告げる。
「なるほど。俺はエメと過ごす時間が好きなんだがなぁ」
「本当!」
まさかライナーがそんなふうに思ってくれているなんて。嬉しくて尻尾を勢いよく振るった。
「あぁ。癒されるよ」
それなら邪魔だとは思われていないということだろう。そう都合よく解釈をすると心が軽くなった。そう、霧が晴れるような、そんな感じだ。
「エメ、子供みたいだな」
尻尾が勢いよく揺れているからだろう。それでも止めることはできない。嬉しいのだから。
「えへへ」
「ところで、エメ、どうして邪魔だと思ったんだ?」
ライナーの答えに満足して話をおしまいにしていた。なので改めて聞かれて肩が上がる。
「えっと、ライナー先生に番がいないのは俺のせいかなって」
「あぁ、そういうことか。いないのはエメのせいではないんだがな……」
ライナーが困ったなと頭をかく。
「こんなにかっこいいのにモテない訳ないじゃない! 他のライナー先生が言っていたけれど、ライナー先生を目当てに治療をしに来る獣人もいるって」
「人の子が珍しいだけだろうよ」
ライナーが額に手を当ててため息をつく。
獣人の国に住む人の子は増えてきているとはいえ、付き合うとなれば難しかもしれない。
全員が独身というわけでもなく、獣人の国では雄同士で番になれることはしっていても彼らがそうなるとは限らない。
だが、それだけではないだろう。ライナーはとても魅力的な人の子だ。
昔からかっこいい人であったが近頃は渋みもでてきた。特に眼鏡をしているときの姿がたまらない。
「そんなことはないよ。ライナー先生は自分のかっこよさを知るべきだと思う」
「はは、可愛いことを言ってくれるな」
と優しく頭を撫でてくれる。
「はう、ライナー先生のなでなではきもちいー」
嬉しくて胸が弾むし尻尾は揺らぐ。おやすみとおはようの時に頬や額にキスをしてくれる時もある。ライナー曰く、家族に対する愛情表現みたいなものだそうだ。
「エメは、こうすると喜ぶからな」
「うん、すきぃ」
ライナーにすりより、もっと撫でてと催促すると、満足するまで付き合ってくれた。
結局、そのまま寝てしまった。
何回かに一度、撫でられて気持ちよくなってライナーの部屋に泊っている。
「ライナー先生、ごめんね」
「別にいいよ。お前のモフモフで俺もよく眠れる」
人の子は獣人の子供のようにモフモフが好きだ。
「でも、俺じゃもふもふ感が足りないんじゃないの?」
パンを作るのに邪魔だからと髪の毛は短くしているし、セドリックのような首毛もない。
「俺はお前ぐらいで十分」
「そうなんだ」
それを聞いて嬉しくなった。短いからという理由でほかのモフモフを求められたら傷つきそうだ。
「エメ、おやすみ」
「おやすみライナー先生」
ライナーと共に寝るときは抱き枕状態となる。すぐに寝息が聞こえてきてそれに安心して眠る。
そして朝は起こさぬようにそっとベッドを抜け出して自分の部屋へと向かう。同じアパルトメントに住んでいるのでこういうときは便利だ。
だがほぼ店とライナーの部屋にいるので自分の部屋は荷物置きと化している。
本当は一緒に住みたかったが、もしもライナーに番ができたときに別に部屋があればすぐに出ていけるからだ。
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