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子犬を拾う
【3】
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※※※
ご当主様はとても優しい人だ。
シアとシユにふかふかであったかい布団を与えてくれて綺麗な洋服をくれた。それから美味しい朝食を一緒に食べて、本を読んだりお庭を散歩したり。
時にお客様がやってきて他の犬に会って一緒におしゃべりしたり。
シユと体をつなぎ合うこともある。その行為は大好きだから全然苦じゃないし、皆がそしてご主人様が喜んでくれるから嬉しいのだ。
大好きなご主人様が頭を撫でてくれるのも嬉しい。
朝、寝起きの悪い二匹を怒ることなく優しく起こしてくれる。
だが、その日は違う目覚めとなった。
巨大な体がシアとシユを覆い、むしりとるように洋服を破られた。
下品な笑みを浮かべて脂っこい手がシアとシユの体を撫でまわす。
「やめてッ」
その手を拒むように体をよじれば、ムッと顔を歪めた男がシアの頬を張る。
「犬の分際で! 主人である俺様を拒むなんて許される事じゃないぞ、シア!!」
突然の行為にかたまってしまったシユを抱き、胸の突起をつまみだす。
「シユのように素直にできるのかお前はッ」
「いやぁぁぁ……」
「シユ!! 俺たちはご当主様の飼い犬です。いくらご子息のベルノルト様だとしても、俺たちに手を出すことはできないはずです」
と、シユを離せとばかりに太い腕に掴みかかるが、身体が軽いために簡単に払われてしまう。
「はっ、俺がいずれは此処の当主……、いやもうすぐ継ぐことになる。そうしたらお前らは俺の所有物。だから何をしてもかまわんだろう」
そう、下品に笑いシアにまるで見せつけるようにシユの乳首に舌を這わせた。
「シア、シアっ」
目にいっぱい涙をためてシアを見るシユのその姿に、怒りが頂点に達する。
ご主人様のご子息を傷つけたらきっと処分されるのだろう。
だが、そんなのはどうでもよかった。
助けを請う、なによりも大切な人を守られないことが嫌だ。
「お前なんて主人なんて認めない!! シユを返せ」
ご主人様がくれたローズヒップオイル。
良いにおいがするそれはシユもシアも大好きだ。それを男の目元にぶちまける。
「ぐぁっ」
男はシユを突き飛ばしベッドで悶えはじめる。その隙にシアはシユの手を掴み男の元から逃げ出し、そしてリキョウの館の前で力尽き座り込んでいた所をユーエンに拾われたのだ。
※※※
話を聞き終え、何が知ったリキョウが成程なとつぶやく。
きっと館では大ごとになっているだろう。理由がどうであれ犬が主人の子息に手を挙げたのだから。
「追手が出ているだろうな、お前らに」
命令なく犬が人に手をだせば処分されるだろう。
「俺は処分されても良いんです。でも、シユは何もしてないんです。お願いです、シユだけはどうか……」
「何を言っているの! 僕だって同罪だよ、シア」
ぎゅっとシアの手を掴み、リキョウを見る。
先ほどまではおどおどとしていたのに、今は強い意志を持った目をリキョウに向けている。
「面倒なことになった」
はっきり言えば、あまり関わり合いになりたくない。だが、リキョウの隣にいる飼い犬が静かに怒りを膨らませているのを感じる。
「ユーエンはどうしたい?」
そう問うと、
「どうか、この子達にご慈悲を」
思った通りの回答を口にする。
面倒だが、ユーエンが望むなら手を貸さないこともない、そう思っているのだから。
「わかった。準備をするから、それが終わるまで待て、だ」
嬉しそうに笑みを浮かべるユーエンの表情が目に入る。その表情に満足げに笑みを浮かべてユーエンの肩を軽く叩く。
「食事にするぞ、ユーエン」
「はい」
先ずは美味しい食事から。はかりごとはその後だ。
ご当主様はとても優しい人だ。
シアとシユにふかふかであったかい布団を与えてくれて綺麗な洋服をくれた。それから美味しい朝食を一緒に食べて、本を読んだりお庭を散歩したり。
時にお客様がやってきて他の犬に会って一緒におしゃべりしたり。
シユと体をつなぎ合うこともある。その行為は大好きだから全然苦じゃないし、皆がそしてご主人様が喜んでくれるから嬉しいのだ。
大好きなご主人様が頭を撫でてくれるのも嬉しい。
朝、寝起きの悪い二匹を怒ることなく優しく起こしてくれる。
だが、その日は違う目覚めとなった。
巨大な体がシアとシユを覆い、むしりとるように洋服を破られた。
下品な笑みを浮かべて脂っこい手がシアとシユの体を撫でまわす。
「やめてッ」
その手を拒むように体をよじれば、ムッと顔を歪めた男がシアの頬を張る。
「犬の分際で! 主人である俺様を拒むなんて許される事じゃないぞ、シア!!」
突然の行為にかたまってしまったシユを抱き、胸の突起をつまみだす。
「シユのように素直にできるのかお前はッ」
「いやぁぁぁ……」
「シユ!! 俺たちはご当主様の飼い犬です。いくらご子息のベルノルト様だとしても、俺たちに手を出すことはできないはずです」
と、シユを離せとばかりに太い腕に掴みかかるが、身体が軽いために簡単に払われてしまう。
「はっ、俺がいずれは此処の当主……、いやもうすぐ継ぐことになる。そうしたらお前らは俺の所有物。だから何をしてもかまわんだろう」
そう、下品に笑いシアにまるで見せつけるようにシユの乳首に舌を這わせた。
「シア、シアっ」
目にいっぱい涙をためてシアを見るシユのその姿に、怒りが頂点に達する。
ご主人様のご子息を傷つけたらきっと処分されるのだろう。
だが、そんなのはどうでもよかった。
助けを請う、なによりも大切な人を守られないことが嫌だ。
「お前なんて主人なんて認めない!! シユを返せ」
ご主人様がくれたローズヒップオイル。
良いにおいがするそれはシユもシアも大好きだ。それを男の目元にぶちまける。
「ぐぁっ」
男はシユを突き飛ばしベッドで悶えはじめる。その隙にシアはシユの手を掴み男の元から逃げ出し、そしてリキョウの館の前で力尽き座り込んでいた所をユーエンに拾われたのだ。
※※※
話を聞き終え、何が知ったリキョウが成程なとつぶやく。
きっと館では大ごとになっているだろう。理由がどうであれ犬が主人の子息に手を挙げたのだから。
「追手が出ているだろうな、お前らに」
命令なく犬が人に手をだせば処分されるだろう。
「俺は処分されても良いんです。でも、シユは何もしてないんです。お願いです、シユだけはどうか……」
「何を言っているの! 僕だって同罪だよ、シア」
ぎゅっとシアの手を掴み、リキョウを見る。
先ほどまではおどおどとしていたのに、今は強い意志を持った目をリキョウに向けている。
「面倒なことになった」
はっきり言えば、あまり関わり合いになりたくない。だが、リキョウの隣にいる飼い犬が静かに怒りを膨らませているのを感じる。
「ユーエンはどうしたい?」
そう問うと、
「どうか、この子達にご慈悲を」
思った通りの回答を口にする。
面倒だが、ユーエンが望むなら手を貸さないこともない、そう思っているのだから。
「わかった。準備をするから、それが終わるまで待て、だ」
嬉しそうに笑みを浮かべるユーエンの表情が目に入る。その表情に満足げに笑みを浮かべてユーエンの肩を軽く叩く。
「食事にするぞ、ユーエン」
「はい」
先ずは美味しい食事から。はかりごとはその後だ。
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