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33.かくしごと

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「うぇっ……しょっぱい……」

「治ってきた証拠だよっ、ほら、
最後まで飲み干してっ。」

「お前、絶対俺の薬に塩混ぜてるだろ…」

「えぇ~混ぜてないよ…
でも、僕はしょっぱいの好きだけどなぁ」

「甘い派か、しょっぱい派かは聞いてないぞ」

「ち・が・う のぉ~!
僕は………………君の涙が好きなのっ」

「お前なぁ…」

吸涙を終えてから、宮川さんに連絡をしなくてはならないことを思い出した。

「くっそぉ……散々泣かしやがって…
鼻声になっちゃったじゃないか。」

電話をかけようと思ったが、俺は電話番号を知らなかった。
涙のスマホからならかけられる。

俺はたんすの整理をしていた涙に声をかけようとした。

(ん?……何をもってるんだ?)

涙が持っていたのは俺の制服の名札だった。

「何してるんだ?涙……」

「えっ………………いや…」

「下着泥棒ならぬ、名札泥棒か?」

「ちっ違うよ……みず…あおい。」

「はぁ?なんだその変な呼び方。
『葵』って書いて『き』って読むの」

「水葵…………」

「なんだよ……あ、それよりさ、スマホ貸してもらってもいい?」

「なんで?」

「宮川さんに今日も連絡するように言われたんだ。」

「あぁ、はい、これ。」

「あんがと。」



『高橋君、で、どうだね体の調子は?』

「だいぶ元通りになりました!
もう少しで痣も消えますよ。」

『おぉ、それはよかった。
ところで…沖水君は元気かね?』

またこの質問だ。

「あぁ、元気ですよ。
あ、でも聞いてくださいよ宮川さん。
あいつさっき俺の名前みずあおいとか読んだんですよ?」

『……あぁ、読むのには少しばかり知識が居るよねぇ。………………。
あぁ、すまない。これから用事があったんだ。明日も必ず報告するんだよ。』

「……はい」

なにか変な感じ。

何か、俺に隠しているのではないかと、
しきりに涙の報告を求める宮川さんをうたがってしまった。
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