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32.胸騒ぎ

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俺の体の痣は涙がくれた薬によって
少しずつではあるが薄くなっていった。

「おぉ!おぉ!随分消えた!やったね……。あれ…」

嬉しがって叫んだり、
いきなり驚いた顔をしたりとおかしな奴だ。

「どうしたんだ?涙」

「……いや、なんでもないよ。
あ、そうだ、治り始めたって宮川さんに伝えておかなきゃ」

「あ、俺も…涙が話したら少しかわって?」

「うん、おっけ~」

微かに電話のプルルルという音が聞こえる。

「あ、宮川さん。お世話になっています。沖水です。」

俺と話す時の態度と全く違う雰囲気の涙は
電話に出る時、無駄に声を帰る母親のようだ。

「あ、今ちょっとかわりますね…はい」

「……宮川さん、こんにちは。」

『おぉ、高橋君。治ってきたみたいでよかったよ。これでひとまずは安心だなぁ』

「お陰様で、ありがとうございます。」

『いいや、今回はうちの息子が悪かったんだ………………本当に、謝っても足りないくらいだよ。』

あちらの息子が悪いにせよ、
あまりにも宮川さんが気を落とし過ぎていて少し不安になった。

「まさか、まだ副作用とか……あるんですか?」

『いやぁ…それは無いよ。
勘違いさせてしまうような態度を取ってすまないねぇ』

「いえ……」

『ところで沖水君は、元気にやっているかね』

(ん?さっきあいつと話したのに
なんで俺に元気か聞く必要があるんだ?)

「元気だと…思いますけど……
どうしたんですか?」

『あ、あぁ……いや、なんでもないんだ。また、明日も体調の報告よろしくね。』

体調とは、俺の体調の事だろうか。
それとも涙の……

「分かりました。明日もまた連絡します。」



「あのさぁ…涙。
お前なんか、体調悪かったりしない?」

「え?いや?なんとも。」

「そうか、よかった。」

ついでに涙の体調を聞いただけなのか、
また、何かほかに理由があるのかは分からない。

何となく、胸騒ぎがする。

ただそれだけ。
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