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30.しょっぱい味
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体の内側から針を刺すような痛みが響く。
首の傷口から広がりを見せた、青紫色の鱗の様な痣は、気づくと俺の肩まで広がっていた。
「……水葵、これ新しい氷。」
いくら痣だからといって、
冷して意味があるのだろうか。
「……ありがとう。」
涙は優しすぎるから、
今の俺は下手をするととんでもないことを言ってしまいそうだ。
そう思うと、自然に口数が減る。
俺がどんなことを言っても
涙はきっと笑って許してしまうんだろうな。
「涙。俺が、もし死んだらさ。
お前泣いてくれる?」
死ぬのは1人きりだと気づいてしまった。
だから、せめて最後まで俺を思っていて欲しい。
この死に、まだ諦めなんてついてないけど
今は最悪の事態しか考えられなかった。
「……僕は…泣かないよ」
「なん……で」
俺はこいつの気持ちが欲しかった。
いつも、口で言っている上辺だけの
『スキ』なんて簡単なものじゃなくて、
もっと複雑で、いろんな感情が絡まった何か。
「だって、今までの水葵が僕の分まで泣いてくれたから。」
心の奥底で溜め込んでしまったら、
溢れだして壊れてしまうんじゃないか。
「そんなの…お前が苦しいだけだっ…」
「僕が苦しくならないような結果にする。だから、水葵は絶対に死なせない。」
そんな根拠の無い言葉を、
真っ直ぐな瞳で……言うなんて。
でも、涙はきっとその可能性を信じているんだ。
俺に向ける、その真っ直ぐな瞳は
俺が欲しい『思い』そのものだった。
「その時まで、涙は取っておかなきゃ。」
言っている意味はさっぱりだが、
これだけ俺を何度も死なせないというのだから何が策があるのかもしれない。
涙を信じよう。
「………………涙……っちゅっ。」
「ちょ、水葵!………………。」
俺が泣いているのを察して、
優しく抱きしめる。
子供をあやすように俺の頭を撫で、
子供には出来ないような、
熱いキスをした。
それは、とても甘くて、しょっぱい味。
涙のキスの味。
首の傷口から広がりを見せた、青紫色の鱗の様な痣は、気づくと俺の肩まで広がっていた。
「……水葵、これ新しい氷。」
いくら痣だからといって、
冷して意味があるのだろうか。
「……ありがとう。」
涙は優しすぎるから、
今の俺は下手をするととんでもないことを言ってしまいそうだ。
そう思うと、自然に口数が減る。
俺がどんなことを言っても
涙はきっと笑って許してしまうんだろうな。
「涙。俺が、もし死んだらさ。
お前泣いてくれる?」
死ぬのは1人きりだと気づいてしまった。
だから、せめて最後まで俺を思っていて欲しい。
この死に、まだ諦めなんてついてないけど
今は最悪の事態しか考えられなかった。
「……僕は…泣かないよ」
「なん……で」
俺はこいつの気持ちが欲しかった。
いつも、口で言っている上辺だけの
『スキ』なんて簡単なものじゃなくて、
もっと複雑で、いろんな感情が絡まった何か。
「だって、今までの水葵が僕の分まで泣いてくれたから。」
心の奥底で溜め込んでしまったら、
溢れだして壊れてしまうんじゃないか。
「そんなの…お前が苦しいだけだっ…」
「僕が苦しくならないような結果にする。だから、水葵は絶対に死なせない。」
そんな根拠の無い言葉を、
真っ直ぐな瞳で……言うなんて。
でも、涙はきっとその可能性を信じているんだ。
俺に向ける、その真っ直ぐな瞳は
俺が欲しい『思い』そのものだった。
「その時まで、涙は取っておかなきゃ。」
言っている意味はさっぱりだが、
これだけ俺を何度も死なせないというのだから何が策があるのかもしれない。
涙を信じよう。
「………………涙……っちゅっ。」
「ちょ、水葵!………………。」
俺が泣いているのを察して、
優しく抱きしめる。
子供をあやすように俺の頭を撫で、
子供には出来ないような、
熱いキスをした。
それは、とても甘くて、しょっぱい味。
涙のキスの味。
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