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18.伝えなくてはならないこと。

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朝起きると、何やらとても体が重かった。
頭痛がする。
昨日してしまった事へと罰だろうか。
ならばその罰をしっかりと受けなくてはならないと、いつもの様に家を出た。

「……っくしゅんっ」

エチケットとしてマスクを持ってくるべきだったと後悔する。
あの後、1度抜いても収まらなかったため、冷水を浴びたせいだろうか。

(これは完全に風邪だ。)

最近寝付きが悪いのは、涙のことを考えているからだなんて、どれだけあいつの事が好きだったのか今更気づく。


「次は体育だからな~移動は素早く、
遅れないように!」

「は~い!」


(やっべ……次、体育だったの忘れてた。)

内側から頭を割ろうとしているような
頭痛。おそらく、熱も上がり始めている。

(まぁ、どうにかなるか……な)

「水葵、なんか顔色が悪い気がするんだけど。」

涙が心配して話しかけてくる。
昨日の罪悪感で顔すら見れない。

「……いや、ちょっと、寝不足なだけ。」

「そっか…ならいいけど……体育休んだら?」

「いや、普通にでるよ。成績に響く。」

「……じゃあ、気をつけてね?」

「ん…ありがと。」

本当は今にも倒れそうなくらいだったが、
じっとしていると、考えてしまうから。



(うっわぁ…よりによって長距離走。)


スタートの笛がなり、重い脚を無理やり動かす。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…っ」

息の上がりはいつもより早い。
酸素の足りなさを体が気づき
クラクラする。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…っつ…!?」

目の前の景色が歪み、暗闇に吸い込まれる。

「水葵!?」

(…………涙……。)


目が覚めると白い天井が目に入る。

「水葵…。起きんだ、なんで…こんな熱まであるのに、走ろうとしたの。」

こんなに眉をひそめるこいつの表情は初めて見た。

「…………じっとしていると、考えてしまうんだ。」

「……何を?」

このぼやける景色の中とはっきりしない意識の中なら言える気がする。

「お前の…………こと。」

「えっ…………僕のこと?」

「そう、関係なくなんて……なかったんだ。俺の気持ちも……一緒だった。」

好きだなんて、まだ言えないけど、
これだけは伝えておかなくちゃいけない
気がしていた。

「一緒って……それさ、期待してもいいんだよね?」

「…………うん。………………すぅ…。」

優しい顔に戻った涙を見て
俺は、心底落ち着いた。

「そっかぁ……おやすみ、水葵。」
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