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16.わがまま
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「涙、お前やっぱり、この部屋でてくのか?」
「ん?なぁに?やっぱり寂しいの?」
涙は少し嬉しそうに微笑む。
「……いや……そういう訳じゃなく……」
沖水宗介は俺から涙を突き放そうとしていた。その事について涙に話さなくてはならないのだが…。
(あいつのこと、すごい信用しているようだったし……。)
「……………………宗介のこと?」
「えっ!いやぁ…そうじゃないこともないんだけど……。」
「ほぉ…そういう事って意味ね。」
「ん~…」
「で、どういう自体になってるの?」
俺は沖水とあった出来事を全て話した。
「え~!宗介と水葵が僕を取り合ってるのぉ?大変だぁ~!」
(大変とか言っときながら嬉しそうに見えるのは俺の気のせいか?)
「俺は別に取ろうとも思ってない。」
「え~…じゃあ、僕、宗介と付き合っちゃおうかなぁ~」
何かを企むような目。
「俺には関係ないけど、好きじゃない奴と付き合うのは印象がいいとは言えないな」
「関係ない…か…僕はね、
前も言ったけど、僕が水葵のこと好きだってこと忘れないで欲しいんだ。」
「好…き。って言うのは、知ってる。」
「じゃあさ、僕のこと……どう思ってるの?」
「そ…………れは…。」
ピンポーン。
沈黙した俺への助け舟かのように
静かな部屋にチャイムが響く。
「……僕…出てくるよ。」
「涙!忘れ物取りに行くだけで何時間かかってんだよ…心配したぞ…」
「あぁ……ごめん、ごめん。」
「ったくぅ…………しょうがないな」
「ね、宗介。全部聞いたよ。水葵から。」
「………………。そう。」
「でね、宗介。僕考えたんだ。
宗介を好きかなんて僕にはまだわからないけど。一緒に過ごしてみる価値はあるんじゃないかって。」
(!?……。)
ドアの向こうで宗介がほくそ笑む。
「そうだなっ!じゃあ、早く部屋に戻っ」
「いや……それはね…僕この部屋がいいんだ。でも、学校ではどんなに話しかけてくれてもいいよ。」
涙は俺の前から居なくなろうとはしなかった。だけど、距離を置こうとしているような…あまりいい感じはしない。
「そうか、涙がそう言うならそうしよう」
「うん。じゃあ、また明日。」
「おう、おやすみっ。」
「涙…さっきのだけど…」
「ん?あぁ…それは…答えくてもいいよ」
「え………………あぁ……そうか。」
突き放された気がした。
1度優しさを感じすぎてしまった俺の心はもうグラグラだけれど、
俺は、自分を騙すのには特別長けていた。
「あ、そだ。明日から宗介と帰るから。」
「……わかった。」
(なんで…俺って素直じゃないんだろ。)
素直になったとしても、
俺は、涙を大切な人だと認識しているだけで、涙の気持ちには答えることが出来ない。でも…『居なくならない』とあいつはそう言ってくれた。
そんな俺のわがままに、いつまで付き合わせていいのだろう。
「ん?なぁに?やっぱり寂しいの?」
涙は少し嬉しそうに微笑む。
「……いや……そういう訳じゃなく……」
沖水宗介は俺から涙を突き放そうとしていた。その事について涙に話さなくてはならないのだが…。
(あいつのこと、すごい信用しているようだったし……。)
「……………………宗介のこと?」
「えっ!いやぁ…そうじゃないこともないんだけど……。」
「ほぉ…そういう事って意味ね。」
「ん~…」
「で、どういう自体になってるの?」
俺は沖水とあった出来事を全て話した。
「え~!宗介と水葵が僕を取り合ってるのぉ?大変だぁ~!」
(大変とか言っときながら嬉しそうに見えるのは俺の気のせいか?)
「俺は別に取ろうとも思ってない。」
「え~…じゃあ、僕、宗介と付き合っちゃおうかなぁ~」
何かを企むような目。
「俺には関係ないけど、好きじゃない奴と付き合うのは印象がいいとは言えないな」
「関係ない…か…僕はね、
前も言ったけど、僕が水葵のこと好きだってこと忘れないで欲しいんだ。」
「好…き。って言うのは、知ってる。」
「じゃあさ、僕のこと……どう思ってるの?」
「そ…………れは…。」
ピンポーン。
沈黙した俺への助け舟かのように
静かな部屋にチャイムが響く。
「……僕…出てくるよ。」
「涙!忘れ物取りに行くだけで何時間かかってんだよ…心配したぞ…」
「あぁ……ごめん、ごめん。」
「ったくぅ…………しょうがないな」
「ね、宗介。全部聞いたよ。水葵から。」
「………………。そう。」
「でね、宗介。僕考えたんだ。
宗介を好きかなんて僕にはまだわからないけど。一緒に過ごしてみる価値はあるんじゃないかって。」
(!?……。)
ドアの向こうで宗介がほくそ笑む。
「そうだなっ!じゃあ、早く部屋に戻っ」
「いや……それはね…僕この部屋がいいんだ。でも、学校ではどんなに話しかけてくれてもいいよ。」
涙は俺の前から居なくなろうとはしなかった。だけど、距離を置こうとしているような…あまりいい感じはしない。
「そうか、涙がそう言うならそうしよう」
「うん。じゃあ、また明日。」
「おう、おやすみっ。」
「涙…さっきのだけど…」
「ん?あぁ…それは…答えくてもいいよ」
「え………………あぁ……そうか。」
突き放された気がした。
1度優しさを感じすぎてしまった俺の心はもうグラグラだけれど、
俺は、自分を騙すのには特別長けていた。
「あ、そだ。明日から宗介と帰るから。」
「……わかった。」
(なんで…俺って素直じゃないんだろ。)
素直になったとしても、
俺は、涙を大切な人だと認識しているだけで、涙の気持ちには答えることが出来ない。でも…『居なくならない』とあいつはそう言ってくれた。
そんな俺のわがままに、いつまで付き合わせていいのだろう。
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