2 / 44
1. 秘密
しおりを挟む「高橋君っ、おやすみなさぁ~い」
(おやすみなんて、いってやるものかっ)
明日寮長さんに頼んでこいつを違う部屋にしてもらおう。
「ねぇ、おやすみってば」
(うるさそうだし…言うしかないか)
「…………おやすみ。」
「うんっ!おやすみっ」
『ご両親があんな事故に巻き込まれちゃって、気の毒ね』
『そうね、でも聞いてよっ。
あの子お葬式じゃ表情ぴくりとも変えなかったっていうじゃない』
『そう、それ、聞いたわ。
むしろ、笑ってたらしいじゃないの』
『あの子、やっぱりおかしいわね』
『なんであの時っ、車で迎えなんて頼んだのよっ!あれさえ…なければ私達。
幸せだったのに。』
『お前なんか…いなきゃよかった。』
「っっ……………はぁっ、はぁ、はぁ、」
(またっ…この夢。)
母さんと父さんが…事故で亡くなった時の夢。
あの日から、1度も涙がでなくなった。
あの日から、1度も人を信じなくなった。
あの日から、ずっと自分が許せない。
「んっ……高橋くん?」
(やべっ…起こしちゃったか。)
「えぇ、どうしたの!?
すっごく顔色悪いよ??」
「あ、いや…
ちょっと悪い夢をみたっ…だけだからっ」
(あれ?っっ…ちょっと待ってなんで…
こんなことあの日からなかったのに…)
「高…橋くん?なんで…」
「なんでって…」
「なんで泣いてるの?」
「っっっ?!」
(嘘だ…。こんな事しかも人前でなんて…)
滲む視界が、熱い目頭が、濡れる頬が。
こいつの言葉よりも、今自分が涙を流していることを教えてくれた。
「高橋くん…大丈」
「ぅっ…ちょっと今…見ないで。」
「でっ、でも」
「うるさいっ…あっちいってろ」
何も悲しいことなんてないのに。
何も辛いことなんてないのに。
俺は、泣く資格なんてないのに。
「ごめんっ、ほんっとごめん!」
「っ…何をお前があやまってるんだ。」
「実はねっ…」
ぺろり。
俺の頬を何かザラザラとしたものが這った。
「ふぇっ…なにっ」
なんとも情けない声がでた。
でも今はそんなことよりも…
こいつが起こした行動が頭の中で整理できていない。
「んっ…おいしっ」
「へ?」
涙は驚きにせき止められた。
「僕、吸涙鬼なんだっ」
(おやすみなんて、いってやるものかっ)
明日寮長さんに頼んでこいつを違う部屋にしてもらおう。
「ねぇ、おやすみってば」
(うるさそうだし…言うしかないか)
「…………おやすみ。」
「うんっ!おやすみっ」
『ご両親があんな事故に巻き込まれちゃって、気の毒ね』
『そうね、でも聞いてよっ。
あの子お葬式じゃ表情ぴくりとも変えなかったっていうじゃない』
『そう、それ、聞いたわ。
むしろ、笑ってたらしいじゃないの』
『あの子、やっぱりおかしいわね』
『なんであの時っ、車で迎えなんて頼んだのよっ!あれさえ…なければ私達。
幸せだったのに。』
『お前なんか…いなきゃよかった。』
「っっ……………はぁっ、はぁ、はぁ、」
(またっ…この夢。)
母さんと父さんが…事故で亡くなった時の夢。
あの日から、1度も涙がでなくなった。
あの日から、1度も人を信じなくなった。
あの日から、ずっと自分が許せない。
「んっ……高橋くん?」
(やべっ…起こしちゃったか。)
「えぇ、どうしたの!?
すっごく顔色悪いよ??」
「あ、いや…
ちょっと悪い夢をみたっ…だけだからっ」
(あれ?っっ…ちょっと待ってなんで…
こんなことあの日からなかったのに…)
「高…橋くん?なんで…」
「なんでって…」
「なんで泣いてるの?」
「っっっ?!」
(嘘だ…。こんな事しかも人前でなんて…)
滲む視界が、熱い目頭が、濡れる頬が。
こいつの言葉よりも、今自分が涙を流していることを教えてくれた。
「高橋くん…大丈」
「ぅっ…ちょっと今…見ないで。」
「でっ、でも」
「うるさいっ…あっちいってろ」
何も悲しいことなんてないのに。
何も辛いことなんてないのに。
俺は、泣く資格なんてないのに。
「ごめんっ、ほんっとごめん!」
「っ…何をお前があやまってるんだ。」
「実はねっ…」
ぺろり。
俺の頬を何かザラザラとしたものが這った。
「ふぇっ…なにっ」
なんとも情けない声がでた。
でも今はそんなことよりも…
こいつが起こした行動が頭の中で整理できていない。
「んっ…おいしっ」
「へ?」
涙は驚きにせき止められた。
「僕、吸涙鬼なんだっ」
1
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
箱庭の宝石
膕館啻
BL
世間から切り離された、森の奥にある学校。教師として招かれた私は、そこで美しい少年達に出会う。
彼らと関わっていく内に、芽生えてはいけない感情が動き始めた。
過去に消えた生徒や教師、様々な謎が残る中で彼らの本当を知ったとき、私はどんな答えを出すだろうか。
──彼らの毒が身体の中を巡回して、細胞の隅々まで浸透する
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる