上 下
21 / 36

20.嫌な奴

しおりを挟む


「さぁさぁっ!俺を泣かせた罰として
きっっちり教えてもらうかんなぁ勉強!」


「やったぁ~!俺も頑張る~」


「…………なんでなおまでいるんだ。」



「お前にまたなんか変なことされたらたまったもんじゃねぇからなっ!」



おいっ、両思いなんだからいいじゃんとか思ったそこのお前!!!


……俺的にはまだ「両思い」じゃないのだよ


あと、俺もそうなるつもりは無い


だって、こいつにはもう既に思っている人がいるんだから。




「…………ゆう、これ何ぃ…意味不」


そんな悩みはさておき、俺は数学の問題に頭を悩ませていた。
 

「…………ん?…それは…………」


ゆうの顔が俺のノートを覗き込むかたちで
俺の顔の近くに来る。


「…………………お前なぁ…俺は何もしてないからな?」


少しショックだった。

ゆうが近くに来るだけで何かされるんじゃないかと期待してしまっていたのは俺の方だったんだ。


「……るっせぇ…ほらっ、分かんないの!
これ!!!」


顔が赤くなってしまったことがまた
恥ずかしくて声を張り上げて誤魔化す。


「ほらぁ~そこ!二人の世界作らないで!」


なおが俺はちゃんと勉強する気で来たのにと文句を言うものだから、俺だって同じだと言おうと思ったが、今の自分の態度からしてそうは見えないのは明確だった。

くっそぉ…俺だって好きでこんな気持ちになった訳じゃっ……


勉強をする時間は退屈だ。
だから、すごく長く感じるのだろう。

でも、今日は何故かあっという間に時間が過ぎていった。





⿴    ⿻   ⿸   ⿴   ⿻   ⿸





「ゆう、まこ!ありがとうっ…また明日!」


初めて会った時と比べるとなおは明るくなった気がする。
それはいいんだけど……なんかこいつ調子に乗ってやがるぜ…



「また明日~!……って明日学校休みだよな?」


「…まさか、なお?……明日もここ来るなんて言わないよな……」

ゆうはさすがに教え疲れたのか
いかにもダルそうな表情をしている。


「えぇ~…ダメ?……俺、最近二人と仲良くなれて嬉しかったんだけど。」


「っ………しょっ、しょ~がねぇなぁ」

そんなこと言われちゃぁ…


「やった!まこならこう言えばいいって言ってくれると思ったよ~」


「はぁ?!なおっ!ちょっと最近生意気だそ!お前!!」



「おい、教える俺の許可は取らないのかよ。」



なんだかんだ言って楽しいし、騒がしくしているけど、なおが居なくなったあとゆうと
いや、武尊とあの部屋で2人になるのが少し怖い…かも。



ぁぁぁぁぁあ!もうっ………

なんで俺ってこう……好きって気持ち隠せないんだろう。


武尊が俺を好きになってしまうのはこの世界の力の影響上仕方ないんだけど、

だけど、それが…この世界のせいだって言うのも気に食わない。

でもでも、あいつには大切な人が…居た。


その人は、もう居ないんだから、俺を見てほしいとか…そんな汚いこと思うやつだったなんて…


俺って本当に………………








嫌な奴。



















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無自覚美少年のチート劇~ぼくってそんなにスゴいんですか??~

白ねこ
BL
ぼくはクラスメイトにも、先生にも、親にも嫌われていて、暴言や暴力は当たり前、ご飯もろくに与えられない日々を過ごしていた。 そんなぼくは気づいたら神さま(仮)の部屋にいて、呆気なく死んでしまったことを告げられる。そして、どういうわけかその神さま(仮)から異世界転生をしないかと提案をされて―――!? 前世は嫌われもの。今世は愛されもの。 自己評価が低すぎる無自覚チート美少年、爆誕!!! **************** というようなものを書こうと思っています。 初めて書くので誤字脱字はもちろんのこと、文章構成ミスや設定崩壊など、至らぬ点がありすぎると思いますがその都度指摘していただけると幸いです。 暇なときにちょっと書く程度の不定期更新となりますので、更新速度は物凄く遅いと思います。予めご了承ください。 なんの予告もなしに突然連載休止になってしまうかもしれません。 この物語はBL作品となっておりますので、そういうことが苦手な方は本作はおすすめいたしません。 R15は保険です。

悪役令嬢に転生したが弟が可愛すぎた!

ルカ
BL
悪役令嬢に転生したが男だった! ヒロインそっちのけで物語が進みゲームにはいなかった弟まで登場(弟は可愛い) 僕はいったいどうなるのー!

管理委員長なんてさっさと辞めたい

白鳩 唯斗
BL
王道転校生のせいでストレス爆発寸前の主人公のお話

お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜

にゃーつ
BL
大きなお屋敷の蔵の中。 そこが俺の全て。 聞こえてくる子供の声、楽しそうな家族の音。 そんな音を聞きながら、今日も一日中をこのベッドの上で過ごすんだろう。 11年前、進路の決まっていなかった俺はこの柊家本家の長男である柊結弦さんから縁談の話が来た。由緒正しい家からの縁談に驚いたが、俺が18年を過ごした児童養護施設ひまわり園への寄付の話もあったので高校卒業してすぐに柊さんの家へと足を踏み入れた。 だが実際は縁談なんて話は嘘で、不妊の奥さんの代わりに子どもを産むためにΩである俺が連れてこられたのだった。 逃げないように番契約をされ、3人の子供を産んだ俺は番欠乏で1人で起き上がることもできなくなっていた。そんなある日、見たこともない人が蔵を訪ねてきた。 彼は、柊さんの弟だという。俺をここから救い出したいとそう言ってくれたが俺は・・・・・・

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

残虐悪徳一族に転生した

白鳩 唯斗
BL
 前世で読んでいた小説の世界。  男主人公とヒロインを阻む、悪徳一族に転生してしまった。  第三皇子として新たな生を受けた主人公は、残虐な兄弟や、悪政を敷く皇帝から生き残る為に、残虐な人物を演じる。  そんな中、主人公は皇城に訪れた男主人公に遭遇する。  ガッツリBLでは無く、愛情よりも友情に近いかもしれません。 *残虐な描写があります。

処理中です...