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19.子供
しおりを挟む俺とゆうはあれから物語上付き合いだした。
…………のだが!!!
全然ラブシーンがないっ。
え??なぜ?どうして??
付き合った割にあんまり話さないし、
むしろ……
「ねぇ、まこ~寮帰る前にあそこでパン買ってこよ~よ!」
「ったく、どうせまたデラックスクリームパンとかいうゲロ甘いの買うんだろ…ったく、なおは甘党通り越してアリだよな。」
「はぁ?!アリって…あの黒いグロ生物といっしょにしないでよ!!!」
「黒いグロ生物って…あんなちっこいの怖がってんのか??アリからしたら俺らの方がこぇ~わっ」
「ほらっ、まこはまたっ…アリの気持ちなんて分からないのに、またそういう屁理屈いってっ!」
なおと俺は睨み合う。
「「ゆうっ!!!俺が正しいよね?!」」
最近、俺となおはこういうケンカみたいなのをするくらいには仲良くなった。
それと反対に、思いが通じあったはずの俺とゆうの心の溝は深まるばかりな気がする。
「…………はぁ…またそんな馬鹿みたいなことやってんのかよ。学生の本分は勉強だぞ。
期末試験。補習になったら夏休みは無いな」
ゆうは、呆れ顔で痛いところをついてくる。
なんっつ~か…言ってることがオヤジくせぇ
そうか…そーだよな。こいつ中身は25歳だもんな。
でも、オヤジくさいとか絶対地雷な気がすr
「ゆうってオッサンみたいなこと言うね~」
言ったァァァァ?!
こいつ言ったァァァ
それに、逝ったァァァ
「……………………あ”ぁ?」
「…………なおっ…とりあえず、今日はパン屋なしで逃げるぞっ!俺は命がおしいっ」
「えぇ~…楽しみにしてたのに…」
まぁ、こういうのも…楽しいんだけどな。
⿴ ⿻ ⿸ ⿴ ⿻ ⿸ ⿴ ⿻
「…………ゆう様っ…お願いします。
勉強を教えてくらはい…いひゃいれふ」
寮のカーペットに頭をきちんと付けてお願いする。
「………………俺、オヤジだから。忘れちゃってて教えられないわ。」
意地悪そうに笑いながら俺の頬を左右に伸ばす。
「……うぅ…ゆぅぅぅ…俺にはもうっ、お前しかっ…………な?いいだろ?お願いっ。」
「………………上尾に頼めばいいだろ。」
目を逸らして言う。
「はぁ…そういえばっ…あいつって以外に頭良かったんだよなぁ…。」
「…………。」
今度は、無言で俺を睨む。
「……………………でも、俺はっ…
ゆうに、いや、武尊に教えて欲しいな。
ダメか?」
俺も武尊を上目遣いで見つめる。
我ながら、こんな可愛い顔でおねだりされたらっ……ふっふっふ
断れないだろおぉ?
「………なんでもする?」
「なんでもするからっ!…………ね?」
「そうか………じゃあ、いいよ」
武尊はいきなり俺を押し倒す。
「ふぇ?!ちょっちょっと??たけさん?」
武尊はシャツの下から少しずつ手を入れて
肌を優しく撫でる。
「んんっ…ひゃっ…あはっ…お腹っは、くすぐったいっ…てぇっ」
くすぐったいけれど、どこかゾクゾクして
武尊に触られたところから熱を帯びてくる。
「……くすぐったいか…色気ねぇなぁ」
色気???
そんなのある訳ないだろ。
だって俺まだ16歳だぞ?
そりゃあ…色々経験してきた武尊からすれば…
ヤバい……自分で考えてて辛くなってきた。
「…………………………ぅっ……やめっ…
……ぅっ…色気なんてっ…ある訳ないだろ…
俺だってぇっ…自分がまだ子供だってこと…分かってんだよっ。」
武尊の顔がボヤけて見えなくなる。
俺が今感じてるのは、本当に子供みたいに泣いた俺を慰めるように俺の頭を撫でる武尊の優しい手と、押し倒されて密着している体の熱さだけだ。
「……んっ…………ちゅっ…」
いきなり額にキスをされた驚きで涙は止まった。
けど、見えるようになった武尊の顔を近くで見つめてまた、泣きたい気持ちでいっぱいになった。
「………………ごめん。」
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