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13.気まずい

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俺とゆうが寮を出ると、寮の出口のところでなおがまっていた。


「おはよう…まこ、ゆう。」


なおは、昨日のこともあり、少し心配そうな顔であいさつをしてきた。

やっぱここは、元気に行かなきゃなっ。


「おはよっ、なお!ほらっ…ゆうも?」


俺はゆうの背中をポンッと叩く。


「……………………おはよ。」



昨日の……キスからどうもゆうと目を合わせられない。


くっっそ、俺は乙女かよっっ!!


ぼーっと色々なことを考えてしまう。


「まことゆう…………なんかあったの?」


?!?!?!

なおに何かあったことを見透かされて
我に返る。


「いっ、いいや、何もね~よっ?」


我ながらなんっってわかりやすいっ……

絶対なんかあったやつが言うセリフじゃん!


って、俺と『ゆう』???


俺はふと、横にいるゆうを見る。


ぎゃっ、目が合っ……


そら………された。



何?!何?!

こいつ自分からキスしといて、演技だから本人は嫌だったなんて言う訳?!


あぁ……いやいやいや、本人もキスがしたかっただなんて言われても困るんだけどさ…



「………………ねぇっ…俺なんか仲間はずれみたいじゃんっ……」


なおが頬を膨らましながら子供のように拗ねる。

わはぁっ……これぞ癒しだ。

なおなら、女の子みたいだし……好きになっても……

って、それじゃあこの世界の思うつぼじゃないかっ!!

俺は男なんて好きにならないっ!

たとえこの世界で認められていても、認めないぞっ!!俺はっ






⿴   ⿻   ⿸    ⿴    ⿻   ⿸





違うクラスのなおと別れ、教室までの廊下を
ゆうと歩く。
俺たちの気まずい雰囲気と対して、教室からは明るい声がもれていた。


「おはよっ、平塚、安藤!」

教室に入ってすぐ、クラスの盛り上げキャラの上尾が話しかけてくる。

「おぉ、おはよっ、どうしたんだ?こんなにみんな騒いで……。」

上尾はくるりと華麗にまわって言う。

まわる必要あんのかこれ……

「うちの学校恒例の野外活動だぁっ!!」


「野外活動???」


って?あれか…遠足的なやつ?


「そっ!それの班決めしてんの今!」


「おぉ!楽しそうだなぁっ!!」


こ~ゆうのワクワクするんだよなっ!

横目でゆうをチラリと見るとやはり呆れ顔だ。

そうか、こういうイベントって…同じ班にしなきゃなのか……。

……よっ、よし!いつもゆうにシナリオ進めせてばっかだから…ここは俺が男気を見せるぜっ!


「ゆう、同じ班になろうぜ!」


「………………。」


お?なぜ悩む?お前は頷くだけだろ?


「…………ごめん……ちょっと考えさせて。」


えぇぇぇぇぇぇぇぇ?!


なっ、ななななんで?!


俺なんかしたかなっ…


やぁ、昨日確かに何かはしてしまったんだが……って、俺からやった訳じゃないしっ……


「…………おう…わかった。」





「あひゃひゃっ!振られてやんのっ!」







今思ったけど………………上尾うぜぇ…。



















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