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episode3 お守り
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雪がふる基地、その基地の柵には「WARNING」の文字が書かれている。時計を見る。今日は西暦3233年2月21日午前9時30分。私がその時計を見ていた時、部屋のドアが開く音がした。そこにはヘルメットを被った人物がいた。思わず一歩後ろに下がる。しかし、直ぐに気が抜けた。
なぜならそこにいたのは私が着ているのと同じパイロットスーツ、ヘルメットだったからだ。私はその人物に声をかけた。「脅かさないでよ。なんで、ヘルメットなんか。」ヘルメットを脱ぎながら彼はこう言った。「寒いからだ。勝手に驚くなよ。」脱いだヘルメットを机に置き、彼は続ける。「通信設備に問題はなかった。システムも機能している。連絡が来ないのは、本部側になにかあったとしか。」
本部からの連絡は、作戦の第二射への指揮通信が途中で切れてからというもの全くきていない。私達二人はこの作戦に参加していなかった。本部からこの基地で「新型艦」を防衛するように命じられていたのだ。地球の反対側の戦域で戦闘が行われていた時、私達は本部からの通信を経てその状況を把握していたが、本部からの通信が途切れた今、私達にその状況を知るすべはない。
そんな事を考えている時彼が私に話しかけた。「なあ。あいつは帰ってくる…そう思いたいが、最悪のことは考えておけよ。」「あいつ」は私達がともに訓練してきた戦友。今回の作戦に参加していたパイロットの一人で、a部隊のAPU139を操縦している。「わかってる。」そう応えた時、なにかに気づいた。彼は気がついてないようだった。「どうした。」私に問いかけてくる。私は応えた。「何か、来る。」
その時基地内に警報が響いた。時計の表示も時刻からWARNINGの文字に切り替わる。そこにはUNKNOWNと書かれていた。未確認物体の接近を基地にレーダーが感知したのだ。「戦闘態勢。」警報を聞き、彼は瞬時に判断した。「お前は先に格納庫に行っておけ。」「この悪天候での検知だ。俺が時間を稼いでおく。」「わかった。」私はそう応え、格納庫へと走り出した。
彼は近くにある基地防衛用のAPUに走り出し、起動させた。基地にある外に出るためのハッチを開け、バーニアを蒸かしたAPUが勢いよく飛び出す。「操作性もクソもないな。」ペダルやアームなど簡素な構造で構成され、装甲がなくパイロットがむき出しになっている基地防衛用のAPU。訓練で乗る通常のAPUとは操作性に大きな違いがあり、そっちに慣れていると扱いづらいものだ。一応レーダーや望遠カメラの映像をヘルメットのHUDに投影できるが、その映像も質が悪く見づらい。しかし、それでもあることに気がついた。
「一機だけ…?」UNKNOWNで確認できたのは一機のみ。この基地の存在に気づいて攻撃を仕掛けてくるのだとしたら妙だ。雪がふる中、格納庫へと向かう階段を駆け下りる。その時私は何かを感じた。私は言った「待って。」「今度はどうした。」彼の声が返ってくる。「ブラックナイトじゃない。武器をおろして。」私はそう言った。「IFFに応答してないんだぞ。」彼が通信機越しに叫ぶ。「お願いだから。」私も叫んで返した。
UNKNOWNの距離が縮まっていく。そして、誘導弾の有効射程に入った。その瞬間、自動でUNKNOWNを撃墜すべく誘導弾がAPUより射出された。誘導弾はUNKNOWNへ向かって飛んでいく。だがしかし、味方かどうかわからないため、誘導弾の軌道変更はできない。その時だった。映像の表示が切り替わり、UNKNOWNはAPU139と表示された。その瞬間彼は誘導弾の軌道を変更した。誘導弾はAPUに当たらず通り過ぎそのまま飛んでいった。望遠カメラ映像でもその存在は確認でき、バーニアを蒸かしながらAPUは飛んできていた。
彼は気が抜けたように言った。「IFFに応答した。友軍機だ。」「弾は⁉」と私が聞くと、彼は安心しろと言うかのように「外した。」と応えた。「よかった。」私は安堵した。「APUはその場で待機。何かあったら手伝って。」彼はつぶやいた。「またあいつの勘に助けられたな。」空からAPUが飛んできて基地に着陸。積もった雪が舞い上がった。APUはコックピットハッチのロックが外れた所で、電源が切れ、横向きに倒れた。
中からはパイロットがよろよろと出てきた。すると膝をつきパイロットは倒れそうになった。私はその体を支えながら声をかけた。「大丈夫、友軍です。」「今基地に運びますから。」「手伝って。」私はAPUの彼に向かって呼びかけた。その時だった。
「ルイ…リリー…」かすれたような声でパイロットは私たち2人の名前を呼んだ。その声は明らかにあいつの声だった。私は思わず涙ぐみ抱きしめた。「ユウ…」私が泣いているとAPUはこちらに歩いてきた。ルイは涙を隠すように上を向きタグを取り出した。「お守り…か」
なぜならそこにいたのは私が着ているのと同じパイロットスーツ、ヘルメットだったからだ。私はその人物に声をかけた。「脅かさないでよ。なんで、ヘルメットなんか。」ヘルメットを脱ぎながら彼はこう言った。「寒いからだ。勝手に驚くなよ。」脱いだヘルメットを机に置き、彼は続ける。「通信設備に問題はなかった。システムも機能している。連絡が来ないのは、本部側になにかあったとしか。」
本部からの連絡は、作戦の第二射への指揮通信が途中で切れてからというもの全くきていない。私達二人はこの作戦に参加していなかった。本部からこの基地で「新型艦」を防衛するように命じられていたのだ。地球の反対側の戦域で戦闘が行われていた時、私達は本部からの通信を経てその状況を把握していたが、本部からの通信が途切れた今、私達にその状況を知るすべはない。
そんな事を考えている時彼が私に話しかけた。「なあ。あいつは帰ってくる…そう思いたいが、最悪のことは考えておけよ。」「あいつ」は私達がともに訓練してきた戦友。今回の作戦に参加していたパイロットの一人で、a部隊のAPU139を操縦している。「わかってる。」そう応えた時、なにかに気づいた。彼は気がついてないようだった。「どうした。」私に問いかけてくる。私は応えた。「何か、来る。」
その時基地内に警報が響いた。時計の表示も時刻からWARNINGの文字に切り替わる。そこにはUNKNOWNと書かれていた。未確認物体の接近を基地にレーダーが感知したのだ。「戦闘態勢。」警報を聞き、彼は瞬時に判断した。「お前は先に格納庫に行っておけ。」「この悪天候での検知だ。俺が時間を稼いでおく。」「わかった。」私はそう応え、格納庫へと走り出した。
彼は近くにある基地防衛用のAPUに走り出し、起動させた。基地にある外に出るためのハッチを開け、バーニアを蒸かしたAPUが勢いよく飛び出す。「操作性もクソもないな。」ペダルやアームなど簡素な構造で構成され、装甲がなくパイロットがむき出しになっている基地防衛用のAPU。訓練で乗る通常のAPUとは操作性に大きな違いがあり、そっちに慣れていると扱いづらいものだ。一応レーダーや望遠カメラの映像をヘルメットのHUDに投影できるが、その映像も質が悪く見づらい。しかし、それでもあることに気がついた。
「一機だけ…?」UNKNOWNで確認できたのは一機のみ。この基地の存在に気づいて攻撃を仕掛けてくるのだとしたら妙だ。雪がふる中、格納庫へと向かう階段を駆け下りる。その時私は何かを感じた。私は言った「待って。」「今度はどうした。」彼の声が返ってくる。「ブラックナイトじゃない。武器をおろして。」私はそう言った。「IFFに応答してないんだぞ。」彼が通信機越しに叫ぶ。「お願いだから。」私も叫んで返した。
UNKNOWNの距離が縮まっていく。そして、誘導弾の有効射程に入った。その瞬間、自動でUNKNOWNを撃墜すべく誘導弾がAPUより射出された。誘導弾はUNKNOWNへ向かって飛んでいく。だがしかし、味方かどうかわからないため、誘導弾の軌道変更はできない。その時だった。映像の表示が切り替わり、UNKNOWNはAPU139と表示された。その瞬間彼は誘導弾の軌道を変更した。誘導弾はAPUに当たらず通り過ぎそのまま飛んでいった。望遠カメラ映像でもその存在は確認でき、バーニアを蒸かしながらAPUは飛んできていた。
彼は気が抜けたように言った。「IFFに応答した。友軍機だ。」「弾は⁉」と私が聞くと、彼は安心しろと言うかのように「外した。」と応えた。「よかった。」私は安堵した。「APUはその場で待機。何かあったら手伝って。」彼はつぶやいた。「またあいつの勘に助けられたな。」空からAPUが飛んできて基地に着陸。積もった雪が舞い上がった。APUはコックピットハッチのロックが外れた所で、電源が切れ、横向きに倒れた。
中からはパイロットがよろよろと出てきた。すると膝をつきパイロットは倒れそうになった。私はその体を支えながら声をかけた。「大丈夫、友軍です。」「今基地に運びますから。」「手伝って。」私はAPUの彼に向かって呼びかけた。その時だった。
「ルイ…リリー…」かすれたような声でパイロットは私たち2人の名前を呼んだ。その声は明らかにあいつの声だった。私は思わず涙ぐみ抱きしめた。「ユウ…」私が泣いているとAPUはこちらに歩いてきた。ルイは涙を隠すように上を向きタグを取り出した。「お守り…か」
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