36 / 77
ディテール領の後日談(モーリスside)
しおりを挟む報告を聞いてワタクシは驚きに飛び上がりましたの
「え?ディテール領が隣国から攻め込まれたですって!」
目の前が真っ暗にまりましたが、ですがワタクシは当主ですからそうも言ってられません
「敵の数は?戦況は?怪我人は?トーマスはどうしてるの?」
慌てて伝えて来たディテール家の執事に問いかけます
しかし執事が言うには…
「は?結果的には被害はなし?」
どう言う了見でしょう?
あの好戦的と言われる隣国に攻め込まれたのでしょ?
領民同士の喧嘩でさえ怪我人くらい出ますわ
なのに怪我人すらいない?
我がディテール領は深い森と山に囲まれております
その地形を利用して防波堤となっているのです
しかし、逆に防波堤を突破されてしまえばひとたまりもありません
隣国は空から攻めて来たと言います
お恥ずかしながら我が領地の人員では防ぎようが無かったはずなのでございます
「実は、トーマス様が国王陛下に聞いたらしいのですが…」
そう前置きしてから話す執事の話にはワタクシ、冒頭以上に驚きましたの…
「バ、バネッサ王妃様が?」
3日ほど前にふらっと立ち寄り心配だからと結界を張っていかれた?
本人は対した結界じゃないからおまじない程度の事だと言っていたが、広い森と山全体にかけられた強力なものだった?
あ、彼の方は何をされていますの…?
3日前と言えばレオナルド陛下とお出かけになると聞いて、ワタクシ喜んでオスカー王子をお預かりしたばかりではありませんか?
お2人でデートを楽しまれるのかと侍女達も嬉しそうにお支度を手伝っておりましたわよね?
「トーマス様からの伝言でございますが…」
後処理はトーマスだけで問題ないから心配せずに、バネッサ王妃様に感謝を伝えておいてくれ…?
もう意味がわからないでございます
早速、バネッサ王妃様がオスカー王子と過ごされている部屋に伺いました
「あら?そんな事があったの?でも被害が無かったのなら良かったじゃない」
と、オスカー王子をコチョコチョくすぐりながらケロっとしておっしゃいます
なぜ突然我が領地に行かれたのか、なぜ結界を張られたのか聞きたい事はたくさんありましたのに、
「ただ、なんとなくよ」
の一言で片付けられてしまいました
ただ隣国が攻めて来た時に…
いち早く空がおかしいと気が付き、王宮の騎士団を差し向ける様に進言したのが王妃様の護衛騎士であるダーゲン殿だと言う事を考えても…
きっとバネッサ王妃様にはワタクシ達にわからない何か見えていたのかもしれないと、そう思わずにはいられませんでした
「それよりモーリス、今後の事だけどね…」
と、ディテール領地の問題点も正解に指摘されてレオナルド陛下が防衛に人員を投入して下さると仰った
一体この方はなんなのでしょう?
正直、王妃様の結界が無ければディテール領は今頃どうなっていたか火を見るより明らかなのに…
自分の手柄だと威張る事もなく、さり気無くレオナルド陛下の功績にすり替えましたわ
しかし、バネッサ王妃様がそれをお望みであるならば…
ワタクシ、今後もいち家臣として誠心誠意バネッサ王妃様に仕えようと新たに決意いたしましたのでございます
33
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
没落伯爵家の私が嫁いだ相手は、呪われた次期公爵様でした ~放っておけずにいたら、夫と甥っ子くんに溺愛されています!~
はづも
恋愛
ちょっと強引な姉属性元気ヒロイン、クールぶる呪われ年上夫、両親を亡くし孤独になった旦那様の甥っ子くんの三人が家族になるお話。
没落伯爵家の娘、アリア・アデール。
結婚を諦めて働こうとかと思っていた彼女の元に、公爵家次期当主レオンハルト・ブラントとの縁談が急浮上!アリアは嫁ぐことを即決。
冷徹男なんて噂のある彼だったが、優しくて、紳士的で……。
噂はしょせん噂ね!と思っていたら、夫婦の愛になど期待するな、なんて言われたうえに、愛人・隠し子の疑惑まで!
そんなある日、突然、レオンハルトは謎の幼子を連れて帰ってくる。
あ、愛人の子ですか!?旦那様!
でも、その子は旦那様の甥っ子だという話で…?
私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
愛なんてどこにもないと知っている
紫楼
恋愛
私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。
相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。
白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。
結局は追い出されて、家に帰された。
両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。
一年もしないうちに再婚を命じられた。
彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。
私は何も期待できないことを知っている。
彼は私を愛さない。
主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。
作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。
誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。
他サイトにも載せています。
【第二部連載中】あなたの愛なんて信じない
風見ゆうみ
恋愛
シトロフ伯爵家の次女として生まれた私は、三つ年上の姉とはとても仲が良かった。
「ごめんなさい。彼のこと、昔から好きだったの」
大きくなったお腹を撫でながら、私の夫との子供を身ごもったと聞かされるまでは――
魔物との戦いで負傷した夫が、お姉様と戦地を去った時、別チームの後方支援のリーダーだった私は戦地に残った。
命懸けで戦っている間、夫は姉に誘惑され不倫していた。
しかも子供までできていた。
「別れてほしいの」
「アイミー、聞いてくれ。俺はエイミーに嘘をつかれていたんだ。大好きな弟にも軽蔑されて、愛する妻にまで捨てられるなんて可哀想なのは俺だろう? 考え直してくれ」
「絶対に嫌よ。考え直すことなんてできるわけない。お願いです。別れてください。そして、お姉様と生まれてくる子供を大事にしてあげてよ!」
「嫌だ。俺は君を愛してるんだ! エイミーのお腹にいる子は俺の子じゃない! たとえ、俺の子であっても認めない!」
別れを切り出した私に、夫はふざけたことを言い放った。
どんなに愛していると言われても、私はあなたの愛なんて信じない。
※第二部を開始しています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
この国の王族に嫁ぐのは断固拒否します
鍋
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢?
そんなの分からないけど、こんな性事情は受け入れられません。
ヒロインに王子様は譲ります。
私は好きな人を見つけます。
一章 17話完結 毎日12時に更新します。
二章 7話完結 毎日12時に更新します。
冷遇された王妃は自由を望む
空橋彩
恋愛
父を亡くした幼き王子クランに頼まれて王妃として召し上げられたオーラリア。
流行病と戦い、王に、国民に尽くしてきた。
異世界から現れた聖女のおかげで流行病は終息に向かい、王宮に戻ってきてみれば、納得していない者たちから軽んじられ、冷遇された。
夫であるクランは表情があまり変わらず、女性に対してもあまり興味を示さなかった。厳しい所もあり、臣下からは『氷の貴公子』と呼ばれているほどに冷たいところがあった。
そんな彼が聖女を大切にしているようで、オーラリアの待遇がどんどん悪くなっていった。
自分の人生よりも、クランを優先していたオーラリアはある日気づいてしまった。
[もう、彼に私は必要ないんだ]と
数人の信頼できる仲間たちと協力しあい、『離婚』して、自分の人生を取り戻そうとするお話。
貴族設定、病気の治療設定など出てきますが全てフィクションです。私の世界ではこうなのだな、という方向でお楽しみいただけたらと思います。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた婚約者。
完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
第一皇子とその方が相思相愛ならいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
カクヨム、なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる