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サイドストーリー

マリコの断髪

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学校の静かな公園で、あかりとユイの行動に感銘を受けた女子生徒たちが集まっていた。彼女たちは、あかりとユイの勇気ある行動に共感し、自分たちも坊主頭にする決意を固めていた。

「あかりとユイができたんだから、私たちもできるわ!」と一人の女子生徒が言い、他の生徒たちも賛同の声を上げた。

週末、彼女たちはマリコの家で小さな断髪の儀式を行うことにした。

集まった女子生徒たちは、マリコの家の裏庭にある小さな空間に椅子を置いた。日差しが優しく降り注ぐ中、バリカン、はさみ、そして大きな鏡を丁寧に設置した。

「みんな、本当にやるの?」マリコが少し緊張した声で尋ねると、周囲から励ましの声が上がった。

「もちろんよ。あかりとユイのように強くなるために!」と一人の生徒が元気よく答えた。

マリコが少し緊張しながら椅子に座った。
彼女の長い金色の髪が背中に流れ、やわらかな風がそれを揺らしていた。友人の一人がバリカンを手に取り、それをマリコの頭頂部にそっと当てた。バリカンのスイッチがオンになると、その静かな振動が庭全体に広がった。

「大丈夫!マリコ。私たちはみんなここにいる」と友人が励ました。

マリコが椅子に腰掛けると、裏庭には期待と緊張が静かに漂った。彼女の輝く金色の髪が、穏やかな風にそっと揺れて、陽光に照らされてきらめいていた。友人がそっとバリカンを取り、それをマリコの頭頂部に当てがった。

「大丈夫だよ、マリコ。私たちがここにいるから」と、友人が優しく声をかける。マリコは一つ深呼吸をして、小さく頷いた。

バリカンのスイッチが入ると、その振動が静かに始まり、初めての刈り取りが行われた。バリカンが彼女の頭皮に触れ、金色の髪の束がゆっくりと地面に落ち始めた。「これはちょっと変だけど…悪くないかも」とマリコが緊張をほぐすように小声で呟いた。

マリコが緊張と期待に満ちた瞳で鏡に向き合う中、友人の手に握られたバリカンが、静かにその役割を始めた。一瞬の躊躇もなく、バリカンは彼女の頭頂部に寄せられ、微細な振動が空気を切り裂く音を立てた。

彼女の美しい金色の髪を根元から刈り取り、その髪の束がゆっくりと地面に落下した。バリカンが髪を切り進めるにつれて、鏡に映るマリコの姿は徐々に変わり始めた。友人の手は確かで、バリカンをマリコの頭皮に沿わせながら、丁寧に彼女の髪を刈り取っていった。

鏡に映る自分の変化に、マリコは息を呑む。バリカンが滑るたびに、金色の髪がシャワーのように落ち、新しい自分が現れていく。友人はバリカンをマリコの頭の側面へと移動させ、耳の上から優しく、しかし確実に髪を削ぎ落とした。その慎重な動きは、彼女の頭の形にぴったりと合わせられ、均等な丸みを帯びた形に整えられていった。

裏庭に響くバリカンの音は、この静かな断髪式のリズムを刻む。マリコの後頭部にバリカンが移ると、友人はさらに慎重に動かし、その丸みを完璧に仕上げた。彼女の首筋に沿って髪を滑らせ、美しい弧を描くように仕上げていく。この繊細な作業により、マリコの坊主頭は均一な丸みを帯び、彼女の頭の形が美しく強調された。

作業が終わる頃には、バリカンによって生み出された均等な丸みが完璧にマリコの頭を覆っていた。

友人は彼女の不安を和らげるように笑いながら、バリカンを慎重に動かし続けた。鏡の前に座るマリコは、自分の変わりゆく姿を目の当たりにし、内心で新しい自分に向き合っていた。

「もうすぐ終わるよ。本当にカッコいいからね」と、バリカンを扱う友人が励ましの言葉をかける。マリコの美しい髪が次々と刈り取られ、地面には金色の髪の小さな山ができていった。

断髪が終わりに近づくと、マリコの新しい姿が徐々に現れてきた。彼女が鏡の前に立つと、そこには全く新しい自分が映っていた。最初は自分の変わった姿に目を見張り、一瞬不安がよぎったが、すぐに自信に満ちた笑顔に変わった。

「みんな、どう? 新しい私」とマリコが振り返りながら質問した。彼女の顔は緊張から解放され、新しい自分を受け入れる準備ができていた。

「マリコ、すごくいいよ!」と友人たちが口々に賞賛を送る。彼女の勇気ある行動は、彼女たち全員にとっての大きな一歩となった。その瞬間、マリコの顔には安堵と誇りが溢れていた。

「ありがとう、これで私たちも、あかりとユイみたいに強くなれるね」とマリコが笑顔で感謝の言葉を述べた。彼女は自分の坊主頭に手を伸ばし、新しい感触に心地よさを感じながら、「新しい私たち、最初は慣れないかもしれないけれど、これはこれでいいかもしれないね」と前向きに語った。

友人は最後に細かい部分を調整し、マリコの新しい姿を完成させた。鏡に映るマリコの坊主頭は、彼女の勇気と決意、そしてこの特別な瞬間の記憶を物語るように、完璧な丸さを帯びて輝いていた。

太陽が高く上り、裏庭は暖かな光に包まれていた。マリコと友人たちの笑顔が、新しい始まりを告げるように輝いていた。

マリコの大胆な一歩に続き、椅子には次々と他の女子生徒たちが座り、バリカンで自分たちの髪を刈り始めた。最初に座ったのはユカで、彼女は少し緊張しているように見えたが、決意は固かった。友人がバリカンを彼女の頭にあてがうと、ユカは深呼吸をして、「大丈夫、私にもできる」とつぶやいた。バリカンの音が始まり、彼女の黒い髪が床に落ちていくたびに、周りの生徒たちが「ユカ、カッコいいよ!」と声をかけた。

次に椅子に座ったのはサキで、彼女は笑顔で「みんなで一緒に新しいスタートを切ろう!」と言いながら座った。彼女の髪が刈られるにつれて、彼女の笑顔はさらに明るくなり、その勇気が他の生徒たちにも伝わった。

三番目に椅子に座ったのはアイで、彼女はもともとショートヘアだったが、この断髪によってさらに短くなった。「これで朝の準備が楽になるね!」と彼女は楽観的に言った。彼女の明るい態度が、周囲の緊張をほぐした。

最後に椅子に座ったのはミナで、彼女は一番躊躇しているように見えたが、マリコと他の友人たちの勇気ある行動に触発されていた。「私も一歩踏み出さなきゃ」と力を込めて言った。バリカンが彼女の髪を通り過ぎると、彼女は鏡に映った自分の新しい姿をじっと見つめた。最初は少し驚いた表情をしていたが、すぐに笑顔に変わり、「新しい私、悪くないかも」と言った。

断髪が終わると、彼女たちは一緒に鏡の前に立った。最初は驚きの表情をしていたが、互いを見つめ合い、笑顔が広がった。「私たち、やればできるんだね」とユカが言い、他の生徒たちも頷いた。

「新しい私たち、慣れるまで時間がかかるかもしれないけれど、これでいいのだ」とマリコが坊主頭を撫でながら笑い、他の生徒たちも笑顔で同意した。

月曜日の朝、坊主頭になった彼女たちは学校に現れ、最初は周囲から驚きの声が上がったが、彼女たちの勇気ある行動はやがて理解され、賞賛されるようになった。彼女たちの行動は、他の生徒たちにも新しい風を吹き込んだ。

「見て、私たちだってできるのよ。あかりとユイみたいに!」とマリコは友人たちに語り、彼女たちの新しい姿は学校に新しい風を吹き込むことになった。

マリコは、断髪式の後、彼氏の優樹に会うことが心配でならなかった。優樹は大学でトップクラスの成績を誇り、その端正な顔立ちから多くの女性の注目を集めていた。マリコは自分の坊主頭が彼にとって魅力的でないかもしれないと不安に感じていた。

優樹との約束の日、マリコは勇気を出して大学のキャンパスに足を踏み入れた。彼女は優樹が友人たちと一緒にいるのを見つけ、心臓がドキドキと高鳴った。彼女は深呼吸をして、ゆっくりと彼らに近づいた。

「やあ、マリコ。それは…大胆な新しいスタイルだね」と優樹が言った。彼の友人たちも驚いた顔でマリコを見ていた。

「ええ、ちょっとね。変だと思う?」マリコが不安げに尋ねた。

その時、優樹の一人の友人である美しい女子大生が優樹に近づき、彼を誘惑するように言った。「優樹、坊主頭の女の子なんて珍しいけど、あなたにはもっと合う女の子がいるわ。私とどう?」

マリコの心は沈んだ。彼女は優樹が自分を見捨て、その女子大生の誘いに乗るかもしれないと思った。

しかし、優樹は微笑み、女子大生に言った。「ありがとう、でも僕はマリコと一緒にいたいんだ。彼女のこの決断は、彼女の内面の美しさと強さを象徴している。それが僕にはとても魅力的に見えるんだ」

マリコは優樹の言葉に安堵し、涙が溢れそうになった。優樹は彼女の手を取り、固く握った。「マリコ、僕は君の見た目じゃなく、君自身が好きなんだ。君がどんな外見でも、それは僕にとって大切なことじゃない」

その瞬間、マリコは優樹の深い愛と理解を感じ、二人の絆はさらに強まった。優樹の友人たちは、彼の言葉に感銘を受け、マリコに対する態度を改めた。彼らは彼女の勇気と決断を尊重し、彼女を新しい目で見るようになった。

優樹はマリコの隣に立ち、優しく彼女の坊主頭を撫でた。彼の手がシャリシャリと心地よい音を立てながらマリコの頭を滑るたびに、マリコは心の底から安心感を覚えた。優樹の温かい笑顔が彼女を安堵させ、彼女の不安がすべて吹き飛んだ。

「じゃあ、一緒に帰ろうか」と優樹が言い、マリコの手を握りしめた。彼の言葉は、彼女の耳に甘い旋律のように響いた。マリコは頷き、二人はキャンパスの通路を手を繋いで歩き始めた。

歩きながら、優樹は時折、マリコの坊主頭に触れ、その新しいスタイルを楽しんでいるようだった。マリコは優樹の愛情深い仕草に心を打たれ、彼の理解と受容に感謝した。

二人が一緒に歩く姿は、周りの人々にも暖かい印象を与えた。マリコの新しい姿は、彼女自身の勇気と優樹の無条件の支持の象徴となり、二人の関係の深さを物語っていた。

夕日がゆっくりと地平線に沈み、その柔らかな光が二人を優しく包み込む中、マリコはこれ以上ない幸せを感じていた。優樹の優しさと彼女への深い愛情が、彼女の心を満たし、二人の未来に希望の光を灯していた。
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