ゆとりある生活を異世界で

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辺境領での日常

【Genealogies of assassins】Heroic epic

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「カリーナ様!西方面左翼が圧されています!補充兵はどうされますか?」

「ん~?敵右翼って獣人軍だったわよね?」

「はっ!」

「気乗りしないなぁ~退かせちゃって良いんじゃない?」

「カリーナ様、戦術上、左翼を撤退させる訳には参りません
今現在の獣人可愛さよりも、後々の獣人繁栄を御考え下さい」

「ふぅ……ん~、別に私が負けても他の4人が勝てば良いじゃない?」

「そんな⁉︎我らが主人あるじが他英雄諸氏に劣るなんて⁉︎そんな事は耐えられません!」
「そうです!我等カリーナ・ボーナム軍は唯一の娘子軍じょうしぐん!我等が負けては世の女達の地位向上に水を差されてしまいます!」

『はぁ……こじらせちゃってるなぁ…だから女だけの軍団はダメだって反対したのに、シュトロムのバカ!』
「じゃあ、どうするの?私は此の世から獣人を減らしたくないのよ?男にしろ女にしろね」

「その事なのですが宜しいでしょうか?カリーナ様」

「なぁに?エリツィナ第1騎士団長?」

「はっ!敵右翼の兵は全て獣人ですが、指揮官は人間のようだと報告がありました
また、いつものように獣人の子などを質に取っているのかと愚考致します」
「あ⁉︎バっ⁉︎」

「ホント⁉︎」
カリーナの目が光る

「はあ…ダメですよ!カリーナ様!指揮官の首を獲りに行こうとしているのでしょう?
危険ですから、お止め下さいと何度も申し上げてきたではありませんか!
エリツィナ騎士団長!貴様も分かっていて奏上しただろう!
カリーナ様の身に万一の事があったらどうするのだ!」

「む、しかし参謀長、カリーナ様は暗殺者Assassinではないか
我々騎士や兵よりは犠牲少なく戦術的勝利を収められるだろう?」

「騎士団長ともあろう者が何を言っているのですか⁉︎
騎士とは主人あるじを身を挺して護るべき者
それが事もあろうに主人を前線に送ろうとするとは何事ですか!
恥を知りなさい!
貴女あなたの様な物が判らぬ指揮官が軍を崩壊させるのですよ!」
「おのれ!言い過ぎではないか!」
エリツィナが剣の柄に手をかける

「まあまあ、喧嘩はやめなさい」

「「しかし!」」
“パンパン”見えない速度で平手打ちされた
「きゃっ!」「あっ!」

「聞こえませんでしたか?やめなさい!」

「はい…」「申し訳ありません」

「宜しい、メーニン参謀長には申し訳無いですが私が指揮官の首を獲ってきます
しかし、参謀長が言う事には一理以上のものがあります
よって、エリツィナ騎士団長は謹慎1ヶ月とします
これは決定です、異論は受け付けません」

「「そんな…」」






ワイナール皇国暦18年


「おっ?来たきた」

「うわー、カリーナのヤツ、めかし込んでるなぁ」

「クックック…こんな日ぐらいしか化粧もしないだろうしな?」

「ん?あの娘か?次代ボーナム公爵は?」

「そうだろう、てっきり獣人の子を養子にするかと思ってたが人間なんだな」

「あゝ、カリーナは獣人に関しちゃ拗らせてるからな
しかし、人間って事は何かしらの暗殺特化の異能を持っているんじゃないか?」

「「「そうだろうな」」」


「お待たせ、シュトロム、ロンデル、アギト、バスター」

「なに、そんなに待っちゃいないさカリーナ
それで?その娘が今日の主役のお姫様かな?」

「ええ、そうよ
次代ボーナム公爵家当主のロムデルよ
私を女にしてくれなかった恨みがある、シュトロムとロンデルにあやかって名付けたわ」

ロムデルの目がチカッと光ったが、誰にも気付かれる事は無かった

「カリーナ…勘弁してくれよ…ジョークがキツイぞ?」

「まったく、その娘が本気にしたらどうするんだ?
後々の子孫が戦争を起こしちまうぞ?」

「あら?良いじゃない?私達が死んだ後の事なんて知らないわよ、そうでしょ?」

「いや、それはカリーナが養子をとったからで…」

「あら?イヤねぇ、男って結婚して家庭を持つと守りに入っちゃって
振られて良かったわ」

「あー…カリーナにゃ敵わねぇや、シュトロムもロンデルもさっさと降参しちまえ」

「あゝそうだな、降参だよカリーナ」

「うん、そうだね、降参するよ
ロムデル?カリーナが言った事は本気にしたらいけないよ?
君は私とロンデルの名を持っているんだ、後の世では稀代の暗殺者になるだろう
すると、今日この日が終わりの始まりになるかもしれないよ
気を付けなさい
じゃあ、さっさと神社に入ろう
ボーナム公爵家代替わりの儀を行わないとね」

「そうね」
「「「そうだな」」」



“でも、カリーナ様は1度も冗談とは仰らなかった…”





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