従順な俺を壊して

川崎葵

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第一章 鷹山高校

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「亀、周りの目あんまり気にするタイプじゃないから気づいてないんだろうけど、京介と対等に話せてるってだけで一目置かれてるんだよ。この見た目と金森中のトップってこともあって、大抵の人は関わるのを避けてるんだよ。」

「俺がお前に話しかけたのも、俺に一切興味を持ってなくて怯えてなかったからだしな。話せば朝比奈だっつーから知らねぇだけかって納得したけどな。」

「京介ってそんなに怖い人だったの?そうは思わなかったけど。」

「別に俺だって誰彼構わずぶちのめすようなことはしねぇよ。けどま、金森中なんてこの辺じゃ有名な不良中学だからな。そう思われても仕方がねぇし、実際俺と関われば喧嘩に巻き込まれかねないから関わりを避けるのは賢い判断だ。」

これだけ気さくな性格をしているのにも関わらず誰も近寄ってこないし、京介自身も俺以外に話しかけに行かないことを不思議に思っていたが、これでようやく合点がいった。

京介自身は可能ならきっと、もっと交友関係を増やしたいのだろうと思う。
ただ、相手を怖がらせることを考えると申し訳なく思って自制しているに違いない。
俺はその中で数少ない話しかけれそうな人間だったのだ。

喧嘩の件については京介のせいであることに変わりはないが、京介だって巻き込もうと思って話しかけてきたわけではない。
結果的にそうなってしまっただけであり、それを責めることは俺にはできなかった。

「分かったよ。言われたら受けるようにするけど、負けたからって怒らないでね?」

「別に怒らねぇよ。それで順位下がろうが、自力でトップ勝ち取るから。」

そう言って京介は安堵したように笑みを浮かべた。
口では強気に言っているが、きっと俺を巻き込んだことを気に病んでいたのだろう。
話をしている間は少し表情が硬かった。

京介は根は優しい人間だ。
何が理由で喧嘩をしているのかは分からないが、そんなに警戒をする人物ではない。
それはたった2日間ではあるが十分に伝わっている。

その後も簡単にこの学校の仕組みやそれなりに名の知れている人間についてを教えてもらった。

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