クッカサーリ騒動記

結城鹿島

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2女王、迷子に遭遇する

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唖然とするヨニを置いてサリタの後を追う。
ティルダは閃いたことがあって、その確認がしたい。ヨニがいては邪魔だ。どうせ、この辺りは周囲にはまばらに樹々があるだけで、サリタの姿を見失うことはない。ティルダは敢えてゆっくり馬を走らせた。子供を追い詰めたくない。

「止まってサリタちゃん!」

日陰に雪の残る林の中へサリタが逃げ込んでいく。ティルダは林には入らず、馬上から呼びかけた。

「サリタちゃん――ねえあなた、自分から迷子になったんでしょう?」

がさりと音のした方を見れば、藪の下に半身を隠したサリタの姿がある。どこへ逃げたらいいのか、困っているような顔をしている。

「ねえ、お父さんに探してほしくて、自分から迷子になっていたんでしょう」

ティルダはなるべく穏やかな声を作って尋ねた。
見知らぬ外国で、迷子になって、面識を持った相手に会えたのに逃げるなんて、何かあるに決まっている。ヨニは、子供は勿論どんな相手にも敵愾心を持たれるタイプではない。
なぜなのかは、ティルダには彼女を一目見ただけで理由がわかってしまった。

「……わたし悪くないもん」
「悪いなんて言ってないわ。お父さんに見つけてもらいたいのでしょう?って聞いただけよ」

本当にティルダには責めるつもりなんてない。

「……いつもお仕事ばっかりなんだもん。一緒だから寂しくないだろ、なんて言っても、サリタのこと全然見てないもん! わたしがいなくなるまで気づかないんだから!」

俯くサリタの姿に胸がちくりと痛んだ。ティルダに彼女の気持ちがわかる。覚えがあるのだ。
(いつも仕事ばっかりで……寂しかった)
ティルダは、親に放っておかれたわけではない。幼い頃から王のなんたるかを教えるために、父は仕事ぶりを間近で娘に見せてきた。
だからこそ、寂しいと感じることもあったのだ。側にいても、自分ではなく仕事の方を見ていた、と嫌でも見せつけられるから。

「わたし悪くないもん」

サリタは繰り返した。
側にいたからこその寂しさなんて、決して口には出来ない贅沢な悩みだ。サリタもそう自覚しているのだろう。きっと見た目よりずっと大人びた子だ。
忙しい父親に構って貰おうと、悪戯をしたことはティルダにもある。父にはこんな風に見えていたのだろうか。
ティルダは馬を降り、

「サリタちゃんはいい子なんだと思うわ。だから、伝わらないのではないかしら。そう、――たまには本気で困らせてみるっていうのはどう?」

サリタに手をさしのべた。
きょとんとした顔でサリタは首を傾げた。仕草の一つ一つが本当に子リスのようで愛らしい。ティルダは思わず微笑んだ。

「私、クッカサーリには詳しいのよ。案内してあげる」

             ●

閑散とした観光客向けの土産屋。その前でティルダは馬を止めた。

「お尻は大丈夫?」
「へーき」

国境近くからここまで自分の前にサリタを乗せ、速足で駆けてきた。サリタは馬に乗り慣れていないだろうに、元気があって結構なことだ。
振り向いて後ろを確認する。どこかに荷物を届ける途中らしい商家の丁稚と目があったが、ヨニの姿はない。

「まだ大丈夫ね……」

ヨニに捕捉されない内に、サリタを案内しなければ。自分だけ馬から降りて、ここからは手綱を引いていく。

「休みの店も多いけど、窓を眺めるだけでも楽しいでしょう?」

観光客の少ない時期なので、教会へ続く大通りの土産物屋はどこも賑わいが少ない。
けれど観光客を呼び込むために、どこも大きな硝子窓に商品を飾っているので、子供には楽しいだろう。燭台や硝子の置物、革製品や家具、手紙などを仕舞うような小箱など物はさまざま。教会で使う祭具や装飾などを作っていた職人たちが、手の空いた時間に土産品として凝った細工の工芸品を作るようになったのが始まりなので、総じて質は高い。
小間物商の娘なら喜んでくれるかと思ったが――サリタはなんだか渋い顔をしている。

「つまらない?」

その時、きゅーっとサリタの腹の虫が鳴いた。渋い顔が崩れて悲しそうな表情へ変わる。
(……もうお昼時だものね、お腹も空くはずだわ)

「ちょっと歩くけど、いいところを知っているの。クッカサーリのお薦めおやつを紹介してあげるわ」

ちょっとだけ嬉しそうな顔でサリタが「うん」と頷いた。
(む、かわいい)
なんだかちょっと楽しくなってきたかもしれない。
ティルダはごほんと、咳をして気まずさを払った。迷子の子供を親に返さず連れまわしているのだから、楽しくなっている場合ではない。これは――多分、仕事だ。そう、仕事だ。親子の仲を取り持つついでにクッカサーリの素晴らしさを子供に伝えるという大事な役目だと、己に言い聞かせながら歩みを進める。

             ●

「おや、へい――、ごほん、どうなさったんです? 直接店に来るとは。ルデオのパンに嫌気がさしましたか」
「違うわよ」

サリタを連れてきたのはタルヴォ・エテラの経営するパン屋だ。
王宮に納入されるパンの半分は彼の店、もう半分はミカエル・ルオデのパン屋で、共にクッカサーリの議員でもある。タルヴォは南、ミカエルは北のパン屋で名が通っている。
クッカサーリでは、パンは店で買った方が安い。指定店舗においては、小麦と燃料の薪が国の補助を受けているためだ。国内では小麦は安定して作れないし、森の伐採は計画的になさなければ狭い国土はあっというまに荒れてしまうので、そうしている。
どちらも火を使う職業ということで、パン屋だけでなく風呂屋も営んでいるため店内は賑わっていた。サリタは人見知りなのか、ティルダの陰で所在なさげだ。

「あれあるかしら」
「はいはいお待ちを」

タルヴォがにこにこ笑顔で持ってきたのは、魚の形のビスケットだ。大きさも川魚ほどあるし、鱗もよく再現されている。彼が気まぐれで作ったものなのだが

「近頃クッカサーリで密かな名物なのよ。どうぞ、サリタちゃん」

サリタの顔がぱっと輝いた。ティルダからビスケットを受け取ると、子リスのようにかりかりと齧っていく。なんとも微笑ましい。

「いくらだったかしら?」

タルヴォに小声で問うと、

「尻尾がかけて商品にならんやつですから、お代は結構です」

機嫌よく言われた。

「いえ――」

ちゃんと払うわよ、と言いかけてティルダは気づいた。財布はヨニが持っているのだった。不覚にも今の今まで気づかなかった。日頃の習慣はやっかいだ。

「困ったわね……。お昼は名物の卵料理を御馳走したかったんだけど――」

行く先々で奢られるわけにはいかない。公私はきっちりが、ティルダのモット―だ。考え込んでいたら

「ティルダ!!」

大声で呼ばれた。馴染んだ声で作られた珍しい響きにティルダは動きを止めた。

「あーもう、やっと捕まえた!」

ヨニが汗を浮かべて店の入り口に立っている。

「……あら、ヨニ」

日頃は名前を呼ばれることがないので、びっくりしてしまった。外で陛下と呼ぶなと言ったのは自分なのだけれど。

「早いじゃない」

予想ではもうちょっと撒けるはずだった。
ヨニが背後を指指す。汗を流してはあはあ言っているマルコとその後ろ、フラーが大人しく座っている。

「ああ、ヨニったらズルしたのね」
「ズルってなんだ。勝手に移動するからだろうがよ。はー、探したっつうの」
「少女の健全な育成のための反抗に協力していただけよ
「ああ? 今さら反抗期かよ」

はー、と溜息をつくヨニの脇から、一呼吸ついたらしいマルコがサリタにすがりついた。

「サリタ、おねえちゃんたちを困らせちゃだめだよ。どうしてお前はすぐにいなくなっちゃうんだ……」
「……」
「サリタ? どうしたんだい?」

サリタはティルダの後ろへ隠れようとしている。

「サリタ、ほらおいで」
「パパなんて……嫌い!」

娘に拒否されマルコの顔は真っ青だ。
それを不憫に思いつつ、ティルダは弱ってしまった。
人の足元で右往左往しないで欲しい。サリタが必死にティルダの後ろに隠れようとするから動けない。

「サリタ、ど、どどど、どうしたんだい、急に」
「わたしがいなくなったほうがサイコンできていいんでしょ! だからっ……わたし教会の子になるもん!!」

サリタの叫び声がパン屋の店先に響いた。先ほどから様子を伺っていた常連客達が、騒ぎ始めたのをタルヴォが散らしに行く。

「サリタ……」

マルコはサリタより泣きそうな細い声で

「馬鹿だな……。まさかお前を捨てにここへ連れて来たとでも思ったのかい? お前を連れて来たのはお前の分の守り札を貰おうと思って――、お前が母さんみたいに病気にならないようにって」

言うと懐から守り札を出してみせた。

「ああ、守り札貰うには直接参詣しないとだものね」

ティルダはようやく得心がいった。旅に向かないこの時期に、なぜ幼い娘を連れてきたのかと、そこは疑問に思っていたのだ。
サリタがおずおずと守り札を手に取る。
守り札には、死後の裁きで聖神に抜かりなく己の行いを計ってもらえるように、取り成しを乞うという起源がある。善行の見逃しがないように、己の行いを洩らさず見てもらえるように、という物なので、後ろ暗い者たち――たとえば盗賊などには嫌われている。そして、守り札を貰うには教会で身分証の提示が――つまり、直に参詣することが必要なのだ。
因みにとても素晴らしい財源だったりもするので、クッカサーリの国庫にとっても非常に有難い存在だ。

「う、うう、ううう」
マルコが泣き出した。

「おっさんが泣くのかよ」
「ヨニ、黙りなさい。多分これからいいシーンなのよ。親子の邪魔はだめよ」

ティルダは小声でヨニを窘めた。

「お前まで、母さんと同じ病気になったら……って、怖くて……うう、ぐす」
「……しんぱいかけてごめんなさい」

マルコにつられたのか、サリタも涙を浮かべている。
店内の奥から見ている客たちも、よかったなあお嬢ちゃんと涙を浮かべているようだ。

「なんだかよくわかんないけど、めでたしめでたしって事でいいな!」
ヨニが勝手にまとめ始めた。
「まあ……いいのかしら……」

サリタは、今までわざと迷子になるといっても、それほど遠くへ離れたりはしなかっただろう。だからいっぺん、本当にどこに行ったかわからなくなれば娘と真剣に向き合うようになる……かなあ、と思った訳で。

「その通りになったのだから、めでたしめでたしってことにしましょうか」

マルコに抱きしめられ、些か苦しそうなサリタとティルダの目があった。
今度からは、思ったことをちゃんと話すのよ、なんて言おうとしたが、自分にもできなかったことだ。説教をするのは司教の仕事で、ティルダの仕事ではない。だから

「またクッカサーリに来てね」

それだけ伝えた。



抱き合って泣いている親子からようやく離れ、微笑ましく見守るティルダの後ろから溜息が聞こえてきた。

「陛下はあとでちゃんと怒られろよ。俺だけじゃなくてフラーも連れずに一人歩きしたんだから。次に猊下や叔父さんに会ったら、今日のことはうっかり口を滑らすからな」

宣言して口を滑らすのは全然うっかりじゃないと思う。

「……あなただって怒られる羽目になるのだから、そこは黙っておくべきじゃなくて? お互いのために」
「俺が怒られるのは仕方ないからいいんだよ。陛下は怒られたくなかったら、俺の目の届かないところに勝手に行くなよ」

ムスっとしているヨニが珍しかったから、ティルダは素直に頷くことにした。何故だか頬が緩むのを隠すためにも。

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