3 / 21
2・答えてくれない兄
しおりを挟む
ユーニスは執務室を出ると自室へ取って返し、剣を掴むと一直線に厩舎へ向かった。
城の中を大股で駆けるように歩くユーニスには、みな慣れたもので、率先して道を開けてくれる。陳情にきたらしき住民が笑っていたようだが、知ったことじゃない。
厩舎係りがオロオロと遠巻きに見守る中、ユーニスはテキパキと愛馬のロンに鞍を乗せた。厩舎から飛び出すまでに要した時間の短さは、熟練の騎士も舌を巻くだろう。
……ドレス姿で乗馬なんて、暴れん坊姫ってまた街中で噂になるかもしれないわね……。
いや、そうでもないかも。ドレスに合う様に剣帯を作った時や、ディーンに剣を習い始めたことが知れ渡った時には、みなユーニスに令嬢としての振る舞いは諦めたはず。
そう、ユーニスが騎士になりたがってることは、街中の隅々にまで知られているのだった。
――だから、今は誰にも会いたくない。
城から一番近い西の城門を一気に抜ける。門番が「ユーニス様!!」と、悲鳴を上げていたから、その内、誰か追いかけてくるかもしれない。
誰にも追いつかれないように、ユーニスはロンを駆け足で走らせた。
「?」
前方に、馬影が一つ。遠目にも、月毛の馬の背に明るい茶褐色の髪が見える。――ディーンだ。
ユーニスは馬の速度を一切落とさず、ディーンの横を駆け抜けた。
後ろから近づいて来る馬蹄の音に負けないように、ユーニスは大声を張り上げる。
「ディーンってば、どうして馬を出すってわかったの?」
「お嬢様とは長い付き合いですので」
追ってくるディーンも大声で答えてきた。
徐々に速度を上げ、並んで走るディーンの横顔をユーニスは窺った。
前を見据え、落ち着いている。ユーニスの事を親身になって心配している側仕えの顔ではない。指導の厳しい師匠の顔だった。
……ああ、そっか。
ユーニスは気が付いた。ディーンはきっとユーニスの結婚話を知っていたのだ。そういえば、稽古の最中も少し変だった。
みっともなく喚き散らしたくなる気持ち露かみ殺し、ユーニスはしばしの間、ディーンと馬を並べて駆けた。向かう先は、街からそう離れてはいない小高い丘の途中。見晴らしのいい草原のただ中だ。
草原の中、目印として一本だけ人によって植えられた樹がある。そこがユーニスの目的地。
樹から十分に距離をとって、ユーニスは馬から勢いよく降りた。ロンはよく慣らしてあるので、繋がずともどこかへ行ってしまうことはない。ディーンも下馬すると、同じように愛馬のルスを自由にさせてやる。ロンとルスの二匹が仲よくのんびり草を食べはじめたのを確認して、ユーニスは樹の下へ向かった。
その樹の下には、知らなければ見過ごしてしまうだろう大小の石碑が二つ並んでいる。
左の小さな石碑の前で、ユーニスは跪いた。
そして、何度もそうしたように、石の一番上に刻まれた名前――ジェイラス・グラディオーラの文字を指でなぞった。
「兄さま……」
ユーニスは両手を胸の前で組んで祈りを捧げる。
この石は墓石、そしてこの丘は巨大な墓標なのだ。
石に刻まれているのは兄の名だけではない。兄の名前の下には、兄と共に戦った騎士たちの名も刻まれている。
そして右の大きな石碑には、兄たちが守りきれなかった無数の人々の名が刻まれている。
全ての人への祈りを終え、ユーニスは硬くなった手をゆっくり解いた。しばらく、風に吹かれ、ぼんやりと石碑に目を落とす。
「……兄さま、私は騎士になりたいの。花嫁になんてならなくていいから」
返事は勿論返ってこない。
兄だったら、なんて言うだろうか。騎士を目指すことに反対するか賛成してくれるか、今までにも何度も考えたことだが、その都度、違う反応が思い浮ぶ。
兄が生きていたら二十七歳、父の横暴にも一緒に抗議してくれただろうか。
……それとも、嫁にいけって言うかしら……。
思い浮かべることができない。兄の望む自分になれなかったらという恐怖心が沸いて、考えはすぐに霧散する。
死んだ兄の様な騎士になりたい、それがずっとユーニスの夢だった。
「あの人もわかっていますよ」
ディーンが背後でそっと言うのが聞えた。ディーンは兄の親友だった。
「ディーンは? 知ってて、私を馬鹿にしてたの?」
落ち込むことがあると、ここへ来るのがユーニスの習慣だ。
「ディーンは私と王の結婚話があるって知っていたんでしょう? ――稽古が無駄になると知っていたのに、私の相手をさせて悪かったわね」
まるで子供みたいな拗ね方だと、自分に呆れてしまう。けれど、簡単にはいそうですか、なんて納得できない。
「……私は真面目だったのに」
ユーニスは歯噛みして呻いた。俯いたまま。
「お嬢様、自分はここでは嘘はつけません」
真っ直ぐな声音でディーンが続ける。
「王からの求婚があったことは聞いてはいました。しかし、お館様が応じるとは思っていませんでした。だから、ずっと、本気で稽古をつけてきました。……自分は、お嬢様を王にくれてやるなんて惜しくて仕方がない」
ユーニスはそろりと振り向き、ディーンを見上げた。視線は交わらない。ディーンはユーニスの後ろ、石碑を見つめている。
「お嬢様はとても強くなられたましたから」
「……っ」
剣のことについては、甘やかしてはくれなかった師匠だ。強くなったと言って貰えるのが嬉しくて――心底悔しい。強くなっても無駄だったなんて……思いたくない。
このオルコス王国では、女でも剣技や武術を嗜むことは変わったことではない。それどころか、奨励さえされている。先王の妃は弓の達人だったという話を聞いたこともある。王妃でも、剣を持つことを許されるかもしれない。
でも、それだけではだめなのだ。
騎士でなければ意味がない。騎士は民の希望そのものだから。
ユーニスは腰の剣の柄に手をかけた。城壁の外に出るときは必ず持つ、訓練用の物ではない。斬れる刃の本物の剣だ。
でも、この剣ではだめなのだ。騎士の剣でなければ異界からやってくる魔物と戦えない。
――兄を殺した魔物と戦えない。
それは、神話で語られる時代のこと。ある日、世界のあちこちに、虫食い穴のように異界と繋がる『接点』が開いてしまった。
そしてそこから人々を襲う異形の化け物――魔物――が現れた。
魔物たちは、この世界の生物より遥かに強く、凶暴だった。
異界と繋がる穴は主に森の深くや谷底に出来たので、すぐさまこの世界が滅びるようなことこそなかったが、魔物はどうしようもない脅威だった。
人々は『接点』を避けて街や畑を作り、偶さか出現する魔物たちには、騎士団を作り対抗した。厄介だったのは、常に異界と繋がっている『接点』の他に、突然『穴』が開いてしまうことだった。
大抵は暫くすると塞がるが、あらかじめ場所の分かっている『接点』と違い、人々はずっと対応に苦慮してきた。そういった突然発生する『穴』は『揺らぎ』と呼ばれ、天災として恐れられている。
ユーニスの兄、ジェイラスは揺らぎが原因で命を落とした。
そのことがあってから、ユーニスはずっと騎士を目指してきた。魔物と戦う騎士になるためには、試験を受けなければならない。性別は男に限ったことではないし、身分にもなんの制約はない。ユーニスの夢は決して高望みな事ではないのだ。
……王から求婚なんてされなければ。
顔も名前も知らぬ国王に対して怒りがわいてくる。なんで、よりによって私なのだろう。他にもいくらだって釣り合いの取れる貴族令嬢はいるだろうに。
「お嬢様、帰りませんか。少し、嫌な気配がします」
ふいにディーンが声をかけてきた。周囲を見回す表情が険しい。
「ディーン? ……まさか『揺らぎ』なの?」
「わかりません。ですが、念のため」
「わかったわ」
ユーニスは立ち上がり、ロンの元へ向かう。
父と国王に対してどうしようもなく腹が立っているが、兄の墓を見て気持ちを再確認することができた。ユーニスはやっぱり騎士になりたい。だから、なんとしても結婚話を断るのだ。それこそ父の腕の一本くらい負ってやる気概でいこう。
決意したユーニスがロンに騎乗しようとすると、
「ロン? どうしたの?」
愛馬の様子がどうもおかしい。
「お嬢様!」
ディーンの鋭い声にユーニスの全身が総毛立つ。短い耳鳴りのあと、丘の頂上の空中に突如、黒い穴が開いた。穴の向こうにも空が見える。黒く蝕まれた、歪んだ青空が。
「『揺らぎ』だわ!!」
城壁よりもさらに高い位置の『揺らぎ』から、犬のような魔物がぬるりと零れ落ちる。もっとも、形は犬に似ていても、大きさは桁が違う。ユーニスの背丈よりも大きく、赤い瞳が毒々しく光を放っている。魔物はのたりと身を起こすと、耳障りな咆哮を上げた。
ロンが怯えて棹立ちになる。
「ロン! おちついて!」
「ここは自分に任せて、お嬢様は逃げてください」
「そんな」と声に出しかけて、ユーニスは言葉を飲み込んだ。
そうするしかない。それは、よく思い知っている。だって、ディーンのように騎士でなければ、魔物のモノとは戦えない。
騎士の持つ特別な剣でしか、異界の生物である魔物に致命傷を与えられないのだ。
ユーニスは一瞬の躊躇の後、黙って頷くと、手綱を取った。急いで街へ行って、騎士団から助けを呼ぶ、それが今ユーニスに出来る最善だ。
「待ってて、すぐに助けを呼んでくるから!!」
城の中を大股で駆けるように歩くユーニスには、みな慣れたもので、率先して道を開けてくれる。陳情にきたらしき住民が笑っていたようだが、知ったことじゃない。
厩舎係りがオロオロと遠巻きに見守る中、ユーニスはテキパキと愛馬のロンに鞍を乗せた。厩舎から飛び出すまでに要した時間の短さは、熟練の騎士も舌を巻くだろう。
……ドレス姿で乗馬なんて、暴れん坊姫ってまた街中で噂になるかもしれないわね……。
いや、そうでもないかも。ドレスに合う様に剣帯を作った時や、ディーンに剣を習い始めたことが知れ渡った時には、みなユーニスに令嬢としての振る舞いは諦めたはず。
そう、ユーニスが騎士になりたがってることは、街中の隅々にまで知られているのだった。
――だから、今は誰にも会いたくない。
城から一番近い西の城門を一気に抜ける。門番が「ユーニス様!!」と、悲鳴を上げていたから、その内、誰か追いかけてくるかもしれない。
誰にも追いつかれないように、ユーニスはロンを駆け足で走らせた。
「?」
前方に、馬影が一つ。遠目にも、月毛の馬の背に明るい茶褐色の髪が見える。――ディーンだ。
ユーニスは馬の速度を一切落とさず、ディーンの横を駆け抜けた。
後ろから近づいて来る馬蹄の音に負けないように、ユーニスは大声を張り上げる。
「ディーンってば、どうして馬を出すってわかったの?」
「お嬢様とは長い付き合いですので」
追ってくるディーンも大声で答えてきた。
徐々に速度を上げ、並んで走るディーンの横顔をユーニスは窺った。
前を見据え、落ち着いている。ユーニスの事を親身になって心配している側仕えの顔ではない。指導の厳しい師匠の顔だった。
……ああ、そっか。
ユーニスは気が付いた。ディーンはきっとユーニスの結婚話を知っていたのだ。そういえば、稽古の最中も少し変だった。
みっともなく喚き散らしたくなる気持ち露かみ殺し、ユーニスはしばしの間、ディーンと馬を並べて駆けた。向かう先は、街からそう離れてはいない小高い丘の途中。見晴らしのいい草原のただ中だ。
草原の中、目印として一本だけ人によって植えられた樹がある。そこがユーニスの目的地。
樹から十分に距離をとって、ユーニスは馬から勢いよく降りた。ロンはよく慣らしてあるので、繋がずともどこかへ行ってしまうことはない。ディーンも下馬すると、同じように愛馬のルスを自由にさせてやる。ロンとルスの二匹が仲よくのんびり草を食べはじめたのを確認して、ユーニスは樹の下へ向かった。
その樹の下には、知らなければ見過ごしてしまうだろう大小の石碑が二つ並んでいる。
左の小さな石碑の前で、ユーニスは跪いた。
そして、何度もそうしたように、石の一番上に刻まれた名前――ジェイラス・グラディオーラの文字を指でなぞった。
「兄さま……」
ユーニスは両手を胸の前で組んで祈りを捧げる。
この石は墓石、そしてこの丘は巨大な墓標なのだ。
石に刻まれているのは兄の名だけではない。兄の名前の下には、兄と共に戦った騎士たちの名も刻まれている。
そして右の大きな石碑には、兄たちが守りきれなかった無数の人々の名が刻まれている。
全ての人への祈りを終え、ユーニスは硬くなった手をゆっくり解いた。しばらく、風に吹かれ、ぼんやりと石碑に目を落とす。
「……兄さま、私は騎士になりたいの。花嫁になんてならなくていいから」
返事は勿論返ってこない。
兄だったら、なんて言うだろうか。騎士を目指すことに反対するか賛成してくれるか、今までにも何度も考えたことだが、その都度、違う反応が思い浮ぶ。
兄が生きていたら二十七歳、父の横暴にも一緒に抗議してくれただろうか。
……それとも、嫁にいけって言うかしら……。
思い浮かべることができない。兄の望む自分になれなかったらという恐怖心が沸いて、考えはすぐに霧散する。
死んだ兄の様な騎士になりたい、それがずっとユーニスの夢だった。
「あの人もわかっていますよ」
ディーンが背後でそっと言うのが聞えた。ディーンは兄の親友だった。
「ディーンは? 知ってて、私を馬鹿にしてたの?」
落ち込むことがあると、ここへ来るのがユーニスの習慣だ。
「ディーンは私と王の結婚話があるって知っていたんでしょう? ――稽古が無駄になると知っていたのに、私の相手をさせて悪かったわね」
まるで子供みたいな拗ね方だと、自分に呆れてしまう。けれど、簡単にはいそうですか、なんて納得できない。
「……私は真面目だったのに」
ユーニスは歯噛みして呻いた。俯いたまま。
「お嬢様、自分はここでは嘘はつけません」
真っ直ぐな声音でディーンが続ける。
「王からの求婚があったことは聞いてはいました。しかし、お館様が応じるとは思っていませんでした。だから、ずっと、本気で稽古をつけてきました。……自分は、お嬢様を王にくれてやるなんて惜しくて仕方がない」
ユーニスはそろりと振り向き、ディーンを見上げた。視線は交わらない。ディーンはユーニスの後ろ、石碑を見つめている。
「お嬢様はとても強くなられたましたから」
「……っ」
剣のことについては、甘やかしてはくれなかった師匠だ。強くなったと言って貰えるのが嬉しくて――心底悔しい。強くなっても無駄だったなんて……思いたくない。
このオルコス王国では、女でも剣技や武術を嗜むことは変わったことではない。それどころか、奨励さえされている。先王の妃は弓の達人だったという話を聞いたこともある。王妃でも、剣を持つことを許されるかもしれない。
でも、それだけではだめなのだ。
騎士でなければ意味がない。騎士は民の希望そのものだから。
ユーニスは腰の剣の柄に手をかけた。城壁の外に出るときは必ず持つ、訓練用の物ではない。斬れる刃の本物の剣だ。
でも、この剣ではだめなのだ。騎士の剣でなければ異界からやってくる魔物と戦えない。
――兄を殺した魔物と戦えない。
それは、神話で語られる時代のこと。ある日、世界のあちこちに、虫食い穴のように異界と繋がる『接点』が開いてしまった。
そしてそこから人々を襲う異形の化け物――魔物――が現れた。
魔物たちは、この世界の生物より遥かに強く、凶暴だった。
異界と繋がる穴は主に森の深くや谷底に出来たので、すぐさまこの世界が滅びるようなことこそなかったが、魔物はどうしようもない脅威だった。
人々は『接点』を避けて街や畑を作り、偶さか出現する魔物たちには、騎士団を作り対抗した。厄介だったのは、常に異界と繋がっている『接点』の他に、突然『穴』が開いてしまうことだった。
大抵は暫くすると塞がるが、あらかじめ場所の分かっている『接点』と違い、人々はずっと対応に苦慮してきた。そういった突然発生する『穴』は『揺らぎ』と呼ばれ、天災として恐れられている。
ユーニスの兄、ジェイラスは揺らぎが原因で命を落とした。
そのことがあってから、ユーニスはずっと騎士を目指してきた。魔物と戦う騎士になるためには、試験を受けなければならない。性別は男に限ったことではないし、身分にもなんの制約はない。ユーニスの夢は決して高望みな事ではないのだ。
……王から求婚なんてされなければ。
顔も名前も知らぬ国王に対して怒りがわいてくる。なんで、よりによって私なのだろう。他にもいくらだって釣り合いの取れる貴族令嬢はいるだろうに。
「お嬢様、帰りませんか。少し、嫌な気配がします」
ふいにディーンが声をかけてきた。周囲を見回す表情が険しい。
「ディーン? ……まさか『揺らぎ』なの?」
「わかりません。ですが、念のため」
「わかったわ」
ユーニスは立ち上がり、ロンの元へ向かう。
父と国王に対してどうしようもなく腹が立っているが、兄の墓を見て気持ちを再確認することができた。ユーニスはやっぱり騎士になりたい。だから、なんとしても結婚話を断るのだ。それこそ父の腕の一本くらい負ってやる気概でいこう。
決意したユーニスがロンに騎乗しようとすると、
「ロン? どうしたの?」
愛馬の様子がどうもおかしい。
「お嬢様!」
ディーンの鋭い声にユーニスの全身が総毛立つ。短い耳鳴りのあと、丘の頂上の空中に突如、黒い穴が開いた。穴の向こうにも空が見える。黒く蝕まれた、歪んだ青空が。
「『揺らぎ』だわ!!」
城壁よりもさらに高い位置の『揺らぎ』から、犬のような魔物がぬるりと零れ落ちる。もっとも、形は犬に似ていても、大きさは桁が違う。ユーニスの背丈よりも大きく、赤い瞳が毒々しく光を放っている。魔物はのたりと身を起こすと、耳障りな咆哮を上げた。
ロンが怯えて棹立ちになる。
「ロン! おちついて!」
「ここは自分に任せて、お嬢様は逃げてください」
「そんな」と声に出しかけて、ユーニスは言葉を飲み込んだ。
そうするしかない。それは、よく思い知っている。だって、ディーンのように騎士でなければ、魔物のモノとは戦えない。
騎士の持つ特別な剣でしか、異界の生物である魔物に致命傷を与えられないのだ。
ユーニスは一瞬の躊躇の後、黙って頷くと、手綱を取った。急いで街へ行って、騎士団から助けを呼ぶ、それが今ユーニスに出来る最善だ。
「待ってて、すぐに助けを呼んでくるから!!」
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる