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しおりを挟む凛斗の頭から手足のつま先までひと通り撫で回した愁は、いとも簡単に凛斗の弱いところを探り当てた。それは凛斗自身も知らなかった性感帯ばかりで、攻められて従順に反応を示すたびに、まるで自分を作り変えられていくようで凛斗は少しだけ怖さを覚えた。
「っはあ……、ふっ…ンッ」
「凛斗は耳が弱いね。でも、もっと弱いところはココだよね」
脳を揺さぶるほど低く囁いた唇は、耳の形をなぞるように掠めたあと、理性など忘れて艶のある吐息を漏らしている唇に深く重ねられた。
たっぷりと唾液を送り込まれ、器用な舌先に口腔内を嬲られると、凛斗は目眩を起こしたようにクラクラした。確かにこの男に触れられた中では、口の中を刺激された時が一番身体の力が抜けてクタクタになってしまう。
舌を絡められ、粘膜が擦り合わさると心地よい痺れが全身を支配し、思考に霧がかかる。しかも愁はゆっくり、じっくりといたぶるように凛斗の唇やその奥を味わう。それは敏感だと思っていた下半身を弄られるより、身体の奥底にとてもクる。
「最初にキスした時も気持ちよさそうにしてたしね。ああ、可愛い顔して……凛斗、もっと欲しい?」
声も出せず、コクンと小さく頷く。飲みきれなかった唾液は口の端から流れてるし、表情だって虚ろだ。それなのに、こんな俺のどこが可愛いんだろう。こいつの美的感覚は絶対に人とズレていると思う。
残っている体力を全て持っていかれるほどの甘ったるいキスを受けながら、もうすぐ限界を迎えそうなペニスも愁のいやらしい手つきでねっとりと可愛がられた。あり余る快感を逃すためシーツを握った手に、より一層力が入る。
「はっ……はあっ……」
「凛斗、体制変えていい?」
「……っン」
愁は凛斗の両脚を揃えるとまとめて持ち上げ自分の左の肩に担いだ。そして脚の付け根に近い腿の間に反り立った自身をぬるりと潜り込ませてきた。
(え……これって、素股ってやつ?)
凛斗は試したことない体位だったが、昔友達と一緒に見たDVD内で行われていたから、その行為を知ってはいた。視覚的には挿れているのと変わらないくらいで、そんな事するなら一層のこと挿れればいいのにと思った印象がある。
挿れるばかりがセックスじゃない。
そう感じるのに時間はかからなかった。
愁が腰を押し込むと凛斗のペニスと愁のペニスが擦れた。片手で凛斗の脚をしっかりと固定しながら、愁はゆっくりと旋律を始めた。
「ふわっ……は、あっ、ン」
「……凛斗」
切ない声で求めるように名前を呼ばれ、返事を返すように顔を向ける。視線が絡まると愁は火がついたように腰を打ち付け、凛斗への欲望を露わにした。
「凛斗っ、凛斗っ……!」
突き上げられる振動や愁から伝わってくる熱量が、実際に挿入されて交わっているんじゃないかと錯覚させた。
「はっ、はっ……ん…ッ!!」
「……っく、凛斗」
凛斗が達したのを確認した愁は、後を追うように熱を放出した。一度目よりも強い快楽で果てた凛斗は、ベッドにグッタリと身体を沈ませた。甘い痺れの余韻で全身を震わせていると、愁は凛斗に覆い被さり落ち着きなく顔やら首筋にキスをしてきた。
止まない愛撫に、愁も達したと思ったが勘違いだったのかと思った時、思いもよらぬ所を触られ凛斗は一瞬で酔いがさめたように気を取り戻し、顔を強張らせた。
「っ……?! おい、なんでそこ……!」
最後までしないと言っていたのに、何だか雲行きが怪しい。
「ごめん、少しだけいい? 凛斗の中、触りたい」
「えっ、やっっ……!」
愁は凛斗のお腹についた精液を指で絡め取ると股の間に手を潜らせた。後ろの入り口をくるりと指先で撫でられ、身体がビクッと身じろぎした。柔らかさを確認するように指の腹で軽く押すと、何の躊躇いもなしに凛斗の内側へ進入してきた。
(えっ、えっ……嘘だろ。ゆ、指が中に入っ……)
「うっ……は、あっ……」
凛斗は驚きすぎて大人しくされるがままになってしまった。弱点を鷲掴みにされて身動きできないように弱々しく声を漏らした。
「思ったより狭い……。僕の指入ったのわかる?」
愁は額に汗を滲ませ真剣な眼差しだが、弄ってる先に顔を向け、興奮して息は上がっていてやっている事はとても淫らだ。
身体の中で一番恥ずかしいと思っている場所を、じっくり見られているうえに指を突っ込まれ、凛斗は羞恥心から顔を真っ赤にした。異物が入っている感じたことない圧迫感で、先ほどまでの快楽の余韻は跡形もなく消え去り、逃げ出したい衝動に駆られた。
「や、やめろ、指動かすなよっ……!」
「まだ一本で先っぽしか入れてませんよ。徐々に慣らしていかないと僕のは挿れられないですね」
その指一本でとてつもない違和感を感じてしまった凛斗は、サアッと青ざめた。
(いやいやいや、慣らしても絶対無理だ!愁の、あんな大きいのが入るわけないだろ……!!)
愁がいくら丁寧に優しく指を挿入しても、情欲が失せた凛斗の身体にはただの拷問でしかなかった。逃げようと身体をずらしたが、逆に脚を上半身に折りたたむように押さえつけられた。こういう時に身体の大きさや力の差がはっきりと出てしまう。
「恥ずかしがらなくてもいいですよ。すぐに慣れます。指、増やしますね」
「……っつ! い…った。痛い……」
愁は夢中になっていて凛斗の変化に気づかなかったらしく、ガチガチに身体を強張らせ、泣きそうな凛斗の訴える声でやっと我に返って慌てて指を抜いた。
「凛斗! ごめん! だ、大丈夫……?」
ベッドにうつ伏せになってプルプル震える凛斗に、愁が恐る恐る声をかけてきた。きっとやり過ぎたと自覚があるのだろう。愁は労わるように凛斗の肩に手を添えた。
二本目の指を入れられた時、ピリッと痛みを感じたが、愁が指を抜いたら痛みはすぐに消えた。身構えた分、指を受け入れるのを拒否して痛みがあったのかもしれないが、一度痛みで恐怖を感じてしまうともうその先は考えられなかった。
凛斗はベッドを離れると、汚れた身体のまま早急に服を身につけ始めた。愁は訳が分からずポカンと凛斗の動きを目で追っていたが、凛斗が部屋から出ようとしたのに気づき腕を掴んだ。
「凛斗!? いったいどうしたんですか!?」
「……ごめん。俺…無理だ」
「え? 無理って……」
「あんなの耐えられない!!」
凛斗が叫ぶようにして出した大きな声に、愁は怯んで掴んでいた手を緩めた。愁の手を勢いよく払いのけると凛斗はその場から走り去った。
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