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しおりを挟む「嫌とかじゃなくて……。は、入るのか?」
思わず目線が愁の下半身に向く。
「えっと、たぶん……?」
今までグイグイ押してきていた愁が珍しく弱気を見せた。
「ウェブ上の情報を頭に入れただけで、実践した事がないからやってみないと何とも……」
「プッ、俺ら思春期の高校生みてぇだな」
その場の雰囲気と感情に流されて始めたのはいいが、核心に迫った所でオタオタして立ち止まってる。
男同士のやり方がわからないと戸惑っていたのは、自分だけじゃなかったと凛斗は気が楽になった。愁もホッと息をついたが凛斗とは違う意味で安心したらしい。
「さっきかなり引いてたし、抱かれる側で嫌気がさしたかと思いました」
「驚いてただけだ。俺はおまえとならたぶん平気だよ。後ろに挿れるって知ってびっくりしたけど、その……嫌だとは思わなかったから……」
自分が憧れる逞しい身体と優しい手つき。言い寄ってきた相手が愁だから許せた部分が大きい。もし目の前にいるのが賢治で、キスを迫ってきたとしたら殴ってしまうかもしれない。
男が好きなんじゃなく凛斗が好きと言った愁の気持ちがわかった気がした。
「凛斗……」
嬉しい、と抱き締められ愁の喜びと温もりが直接肌から伝わってくる。
「続きしても構わない?」
「おまえも全部脱いだらな。俺だけ全裸なのなんかヤダ」
「……ああ、もう凛斗さっきから可愛すぎる……!」
愁はチュッと軽くキスをした後、ズボンと下着を一緒に脱いだ。目に入った愁の屹立は今にも爆ぜそうなほど張りつめていた。
(でか……。アレ本当に入るのかよ)
リアルさを感じて少し怯んだが、今日は挿れないと宣言されたお陰か、情熱的な瞳で見つめてくる男をすんなり受け入れた。
「凛斗……」
熱く呼ばれた名前とともに厚みのある舌が凛斗の口腔に潜り込んでくる。もうすっかり馴染んだそれを目を閉じて受けると、会話で鎮まってしまっていた凛斗の中心が再びゆるゆると熱を持ち始めた。
芯を持ったペニスは凛斗の意思を無視して先走りの雫を垂れ流した。愁に与えられる快楽を覚えてしまった身体は、キスだけで簡単にスイッチが入るようになっていた。甘い痺れを期待して白い肌は色づき、唇から艶のある息が漏れる。
凛斗の顔と身体が快楽に溶けていくのを愁はジッと観察するように見下ろす。それは、どこをどう触れば凛斗が反応するのか確かめているようだった。
組み敷かれて密着しているため、さっきから愁のペニスが凛斗の腿にあたっている。おそらくわざとだろう。凛斗が熱く息を逃すたびに愁のペニスがピクピクと震え肌を刺激する。
愁からの愛撫で勃った凛斗とは違い、愁は凛斗に触って見つめて、その身体を欲する気持ちから高ぶってる。
(こいつ……本当に俺の事、好きなんだな……)
そう感じとり、自分の中のどこか奥の方で高揚感が生まれた気がした。
愁は凛斗の脚を割って間に身体を滑り込ませると腰をぴたりとくっつけた。それはまるで正常位で挿入されているかのようで、大きく吸った息が喉の奥で詰まったようになり目を瞠った。
(何これ、すっげぇエロい……)
衣類を全て脱ぎ去り、本能剥き出しのまま凛斗に向かってくる愁は雄そのものだった。元から備え付けられた男っぽさに欲情と色気を滲ませて凛斗の肌を舌舐めずりするように撫で回す。
愁のしたいようにと、力を抜いて投げ出していた身体がその卑猥な視界にぶるりと震えた。
「大丈夫だよ。乱暴にはしないから」
凛斗が怯えたと思ったのか、愁は猛々しい姿とは相まって気遣うような言葉をかけると、互いのペニスを一緒に大きな手に包んだ。二人の雫を混ぜるようにぬるりと塗り広げられ、全身の皮膚の上を走るような痺れが広がった。密着した熱い塊がドクドクと脈打つのを振動で感じ、愁と視線が絡むと同じ快感を分け合っているようにすら感じた。
「……ふ、っ…ンン、は…あっ」
愁の手が上下に動き出し、腰の奥がズンと重くなり射精感が高まった。気を抜くとすぐにでも達してしまいそうになったが、愁はまだ余裕そうだったので奥歯を噛み締めなんとか堪えた。愁が一方的に凛斗に仕掛けてくるのとは違って今回は同意でベッドに入った。リードしているのは愁だが、凛斗からも少しは相手に合わせて一緒に上り詰めるのもいいだろう。
少し身体を起こして愁が両手で二人のペニスをシゴいているのをまじまじと見た。
どちらからのものなのか、かなりグチャグチャに濡れている。お陰で滑りもよく愁の手はいいところばかりを掠めて、せっかく逃した射精感がまた凛斗を襲う。広い部屋には凛斗の限界に近い荒い息づかいと、クチュクチュと二人を汚していく水音。全てが刺激となって隅々の快感を拾い集めながら背筋を駆け上がっていく。
「おれ、も、だ……めっ」
「り……と…」
一緒に、と音にならない声が耳に届き、生暖かい飛沫が凛斗の腹に広がった。凛斗が密かに望んでいた通り一緒にイけたようだった。グッと力の入った身体を解放して、パタリと背後のシーツへ倒れ込む。
(やばい……すっげぇ気持ちよかった……)
弾む息を逃しながら腰を密着したまま動かない愁に視線をやると、なぜか先ほどよりも熱が上がったような目でぼうっと凛斗を見つめていた。
「……?」
ゆっくりと上半身を起こして愁の顔を覗き込むと、愁はハッと我に返った。
「どうかした?」
「凛斗があまりにも…か、可愛くて……」
と抱きしめようと伸ばした手をピタッと止めた。凛斗のお腹にべっとりくっついた二人分の白濁に、愁は赤らめていた顔をサアッと青く変えた。
「す、すみません!ベトベトして気持ち悪いでしょう。すぐ拭きますね」
「別にいいよ。それより……」
凛斗はあたふたして拭くものを取ろうとしていた愁を捕まえ、自分から愁の胸にしなだれかかった。愁も汚れてしまうから綺麗に拭き取ってからにすればいいものを、凛斗は我慢しきれずに肌を寄せた。
昨日、公園で愁に手でイかされた後、愁の腕の中で味わった余韻がとても心地よかった。恥ずかし気もなく愁に身を寄せたのは、まだ脳内が快楽に浸りきっていたからだと思う。抜けきらない甘い気持ちが愁の抱擁を求め、凛斗を動かした。
凛斗の予想外な行動に愁は一瞬ぎこちない動きを見せたが、背中に回された腕は優しく凛斗を抱きとめた。
なんだか妙に甘えたい。俺ってこんなんだったか?
過去に付き合ってた彼女との事を思い起こすと、終わった後は結構べったりくっついていた気はする。昔から気分や雰囲気に流されるタイプだったと改めて自覚した。
仮にも付き合ってる相手だから思う存分甘えていいだろう。ドクドクと強く心音が伝わってくる胸元に寄りかかっていた頬を、首筋まで持って行き肩口に顔を埋めた。自分とは違う汗の匂いが鼻腔をくすぐり、不思議と心が安らぎを覚えた。
マタタビを嗅いだ猫みたいに、急にゴロゴロと擦り寄る凛斗に愁は戸惑った。愁が触れると、何度か身体を預けるように大人しくはしていたがこんな風に自ら寄ってくることなどなかった。嬉しいことこの上ないが、凛斗が何を求めているのかがはっきりわからない。それに、好きな相手に煽られるようにこんな密着されてタダで済むわけない。
そんな愁の心の内など知りもしない凛斗は、久々の人肌に酔ったのか気分はまだ高揚したままだった。
「……愁」
消え入りそうな声で初めて口にした名前に、呼ばれた本人は堪ったもんじゃないと腕に力を込めた。
「はぁ……凛斗……、誘ってるの?」
そう思われても仕方ない状況だ。どっからどう見ても凛斗が誘ってる。そんなつもりはなかったが、そうしてもらおう。だって身体が疼いて鎮まらない。
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